第7話 幼馴染彼女と過ごすある日の昼②
「お待たせー。着替えてきたよー」
「うん、走るわけではないけど動きやすい格好の方がいいでしょ? どうどう? 可愛いかろう」
「いやそこは素直に可愛いって言えし」
「はいよくできましたー! 偉い偉い」
「えっと、ウォーキングで脂肪燃焼させるには二十分以上歩かないと駄目なんだって」
「だからここから隣の駅まで歩こうかなって。大丈夫、走るわけじゃないし余裕だよ」
「あっでも最初はゆっくり歩こう? 無理をすると続かないので楽しくやるのが大事ですってこのサイトにも書いてあるし」
「うん。一緒にゆっくり歩こ」
「こうやって一緒に歩くのなんかデートみたいだね。そう思ったらちょっと楽しいかも」
「こんなにゆっくり話しながら歩くのはデートだよ、うん」
「デートしながら痩せられるって考えるとウォーキングも全然苦じゃないかも。……むしろご褒美?」
「そうだ。ねえねえ、ちゃんと褒めてくれるともっとやる気出るから時々褒めてよ」
「え~いいじゃん。私ってやればできる子じゃん? やっぱり何事も応援されると頑張れるんだよね。ほら、私が痩せて綺麗になったら彼氏のあんたも得をするんだし?」
「ふふっ。てことでよろしくー」
「あ、見て見て。あそこのカフェ知ってる?」
「友達がね、あそこの紅茶とケーキが美味しいって言ってたの。詳しく場所聞いてなかったけど、そっかここにあったのか」
「今度、ウォーキングのついでに寄ってみようよ。ああでもダイエット中だから甘いものはちょっと我慢かなぁ」
「……でも、頑張ったらご褒美ってことで許してもらえるよね? なんて」
(スマホが鳴る)
「あ、私のだ。電話きた。妹のユキから」
「もしもし、どうかした? ユキから電話って珍しくない?」
「うん……うん……。へえ東京であるんだ」
「それで私の部屋を宿代わりにしたいってこと? 分かった。いつ?」
「来週!? ずいぶん急だな……。今度からはもっと早く言ってね」
「今? ウォーキングしてる。ダイエットじゃなくて気分転換だよ。別に体重増えてないし!」
「え、うん隣にいるよ? どうかした?」
「いや待って! なんか余計なこと言うつもりでしょ。その手には乗らないから」
「あーいい、いい。お父さんとお母さん呼ばなくていいって」
「あーもうその話は来週来たときにしてあげるから。もう切るよ」
「はいはいじゃあね」
「まったく、最近ますます生意気になってきたな」
「えっと、ユキの好きなアーティストのライブが東京でやるから、その時に泊めてほしいんだって」
「そう来週に。ホント急だよね。誰に似たんだか」
「いや私には似てないと思うけど」
「そのあと? ……彼氏とはどうなのか、って聞かれた」
「ほら、あの年齢だとそういう話に興味あるみたいで」
「一回親には内緒にしてね、って色々話したら当日のうちに話しやがったからなぁ」
「来週、色々聞かれるかもしれないけど余計なこと言っちゃ駄目だからね」
「ええ勘弁してよ。絶対妹経由で両親に伝わるし。この前だって帰省したら両親にからかわれてめちゃくちゃ恥ずかしかったし」
「ふ、ふーん……。そういうこと言うんだ。あ、あーなんかちょっと走りたくなってきたな。先行ってるよ!」
「うるせっ、ついてくんなばか! あははっ」
【ASMR】幼馴染彼女と過ごすある日 来栖シュウ @SIGUMA671213
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