第5話 幼馴染彼女と過ごすある日の朝②

(朝の牛丼屋。店内のテーブル席)

「んー、冷奴に漬物に納豆か。選べる小鉢何にしようかな。もう決めた?」

「追加課金で牛皿……なるほどそういうのもあるのか」

「よし、決めた! 牛皿にする。やっぱり牛丼屋だから牛肉食べたい」

(タッチパネルを操作し食券を入手)

「こういう牛丼屋の朝定食って、なんだかちょっと特別感あるかも。この時間はいつも家か大学だし」

「あまり人いないね。平日のこの時間だとサラリーマンの人はもう出社かな?」

「うーん。なんだか休みなのが申し訳ない気分」

(スマホを見る彼女)

「ふふっ見てこれ。友達みんな休講のこと呟いてる。しかもそれを他学科の人が悔しそうにしてるし」

「あっ見てこれ。犬と猫の動画。ちょー可愛くない? ちょっとアホっぽいのが良い」


――数分後――


「あっ呼ばれた。取りにいこ?」

(カウンターで定食を受け取り、席に座る)

「美味しそう! いただきます!」

(小鉢でたまごを割りながら)

「ねぇ、卵かけごはんってどうやって食べる派?私はね黄身と白身と醤油を全部混ぜてからご飯にかける派。味が絡みやすくなるから好きなんだよね」

(彼女が一口食べる)

「ん〜!やっぱりシンプルな朝ごはんが一番だね。これだけで実家を思い出す」

「へえーそうやって混ぜる派か、いいね」

「あとはたまごがけご飯を味付き海苔で巻いて食べるのも美味しい。うん、こっちも美味しい!」

(二人で食べ進めながら)

「味噌汁美味しい。普段インスタントだから余計にそう感じる」

「焼鮭も美味しい。やっぱりちょっとしょっぱいくらいがちょうどいい。この焼き目の付いた皮の部分、子供の頃は嫌いだったけど、今はここ食べるために鮭食べてる感まであるね」

「牛皿も単品で食べると普段牛丼で食べるときより贅沢な気がしない?」

「こうして紅ショウガと七味唐辛子と一緒に口に運ぶと、うーん、米が進む! あぁご飯大盛りにすれば良かった」

「朝からこんなにいい思いしていいのかな。反動で何か悪いこと起こりそう」

(彼女が最後の一口を食べ終えて)

「ごちそうさまでした。日本に生まれたことに感謝したい気分」

「今にして思えば毎朝朝食が食べられた実家ってありがたかったなって思う。実家再評価路線」

(お店を出る)

「やっぱり朝ごはんって大事だね。また今度、一緒に朝ごはん食べに来ようね。次は喫茶店の逆見本詐欺のカツサンドが食べたいな」

「うん! 今日も一日頑張れそう!」

(スマホの通知音)

「あ、また大学からメール来た。えっと……補講は行いません。別途記載のURLからオンデマンド動画を視聴し、レポートを……」

「提出期限みじかっ!? レポートの文字数多いし!」

「……はあ。なんかいい気分が台無しだよ。とほほ」

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