第81話:皆仲良くド派手にいこうぜ!
「な、ななな……なっ!?」
「よう、これで信じて貰えたかい?」
その大爆発を見たアンネリーゼは顔を一気に青ざめさせていった。どうやら俺の言葉が嘘ではないと理解出来たようだ。
「な、何だよそれ!? それ全部ガルニトロ!? お、お前一体何を考えてるんだよ!? 一人で戦争でもおっぱじめる気かよ……?」
「はぁ? 戦争?? いやいや何言ってんだよ? 今俺達がしてる事はまさに戦争なんじゃねぇのかよ? それとも何だよ? お前はもしかして俺と戦争してるつもりなんて無かったのか?? あはは、それはちょっと生温いんじゃねぇのかなぁ??」
アンネリーゼは顔を強張らせながらそんな事を言ってきたので、俺は笑ってそう返事を返していった。
「な、生温いとかそんな話じゃねぇだろ!? と、というかさっきまでそんな爆薬を身体に巻きつけて戦ってたのかよ!? い、いや、お前……もしそれがさっきの戦闘中に一本でも割れたりしたら……どうするつもりだったんだよ?」
「いやそもそも俺はニーズヘッグさえ呼び出してくれたら、そのタイミングでわざと攻撃を食らってお前を巻き込みながら盛大に大自爆するつもりだったんだけどな。あはは」
「は、はぁ!? じ、自爆だって!?」
「あぁ、そうだよ。それなのにお前が中級とか上級のチンケな魔物しか出さなかったから自爆特攻する気も起きなかったわ。だってあれくらいの魔物だったら俺でも避けながら戦えるしな。あはは」
俺は楽しそうに笑いながらそんな自爆特攻についての話をしていくと、アンネリーゼの表情はどんどんとおかしくなってきた。
「い、いや何を言ってんだよお前……? じ、自爆特攻を考えてたとか……ほ、本当に人間の考える事かよ……? 先代の勇者でもそんなトチ狂った戦法は絶対にやらなかったんだぞ!?」
「はは、そんなの当たり前だろ。俺みたいな悪役と勇者を一緒にするなよな。まぁでもアンタがそんなにも驚いてくれたのなら俺も頑張ってガルニトロを沢山作りまくってきた甲斐があったってもんだ。よし、それじゃあ皆で仲良く一緒に吹っ飛んでいこうぜ……?」
「えっ!? い、いや、ちょ、ちょっと待てって!」
俺の身体に巻き付けてる試験管を叩き怖そうとしたその瞬間、アンネリーゼは焦った様子で慌てて制止してきた。
「ん? 何だよ? どうした? 何か言い残した事でもあるのか?」
「い、いや、どうしたって……お、お前はそれで良いのかよ!? そ、そんな大量の爆薬をモロに食らったらお前だってタダじゃ済まないだろ!?」
「まぁそりゃそうだな。俺も確実に大ダメージは食らうな。ってか自爆特攻ってそういうもんだろ?」
「そ、そういうもんって……何でそんな軽いノリなんだよ!? ガルニトロの爆発と爆炎に包まれたらお前だって確実に死ぬに決まってるだろ!! な、なぁ、だから一旦冷静になってここらで手打ちにし――」
「は? 甘っちょろい事言ってんだよお前??」
「……え?」
何とか手打ちにしようと懇願をしてくるアンネリーゼに向かって俺は真顔でそう言い放っていった。
「い、いや、お前こそ何言ってんだよ……? お前だって別にこんな所で死にたくはないだろ? だから私はお互いに痛み分けという事で手打ちにしようって提案をしてるんじゃないか。それがお互いにとって一番得な選択だって事くらいお前にも理解出来るだろ?」
「あはは、俺が死ぬかどうかなんてどうでも良いんだよ。というか俺とお前が今やってんのは戦争なんだぜ? 戦争ってのは敵陣に一つでも多くの被害を出させた方が勝ちなんだよ。って事は俺の一人の命でここにいるお前達全員をブチ殺せたらさ、もうその時点で俺の勝ちなんだからな?? あはは、だから俺にとって一番得な選択肢はお前ら全員をまとめて爆発に巻き込む事に決まってんだろ??」
「なっ……!? お、お前マジで気でも狂ってんじゃねぇのか……?」
「あぁ、そうだよ、俺が気が狂ってるなんて当たり前じゃん? 戦争なんて気が狂ったヤツらしかやんねぇに決まってるんだからさ。まぁでもそういう事なら遥か昔に人間相手に戦争をしかけたテメェら魔族も相当に気が狂ってるって証拠だよな? あはは、それじゃあ俺達気が狂った者同士さ……仲良くド派手にいこうぜぇ……?」
「ふ、ふざけんなっ! わ、私はテメェなんかと違って気なんて狂ってねぇよ!! 狂ったクソガキの自殺になんて付き合ってられるか! 死にたきゃテメェ一人で勝手に死ね!
俺は転移魔術で逃げようとするアンネリーゼの太ももに目掛けて短剣を投擲していった。
すると短剣はアンネリーゼの太ももに突き刺さっていき、すぐさまアンネリーゼは苦悶の表情を浮かべ始めていった。
「おいおい、俺を置いて逃げようとするなんて悲しいじゃん? ってかお前のペットを全員見殺しにして一人だけ生き残ろうなんて流石に最低過ぎじゃないか? ほら、お前はペット達のご主人様なんだからさ……だからちゃんとご主人様もペットと一緒に仲良くさ……はは、皆で楽しく爆炎に包まれていこうぜ?」
「うぁ……ぐっ……」
「あ、ちなみに俺の短剣には
「ぁ……ぅっ……」
俺はそう言いながらアンネリーゼに向かってゆっくりと近づいて行った。アンネリーゼが今から起きる大爆発の中心地になるようにするためだ。
「はは、それにしてもこんな狂った男と出会っちまうなんてお前も災難だったな。まぁでもこればっかりは運が無かったと思って貰うしかないな。こんな所で死ぬことになるなんてお前は本当に可哀そうなヤツだよ。うん、同情するよ」
「……ぅ……っ……」
「あ、でもよく考えたらお前って今までに数多くの人間を殺して来たんだよな? それれじゃあその報いを受けるのも当然の事か。まさか今まで数多くの人間を殺してきたクセに、自分だけは殺されないって思ってたなんて事ないよな? はは、流石にそれは道理が通らねぇもんなぁ?」
「……ぅ……ぁっ……」
「うん、やっぱりお前に同情するのは無しだな。お前にはちゃんと落とし前を付けて貰わなきゃ駄目だよな。ってことで今からお前は大きな爆発と爆炎に包まれて物凄く痛い思いをするかもしんないけどさ……でもお前の事は絶対に楽には殺さねぇから最後まで楽しんでいってくれよ? はは、それじゃあな……アンネリーゼ!」
「……ぁ……や、や……だ……やめっ――」
―― パリンッ……
俺はアンネリーゼの懇願を無視してそのまま身体に巻きつけてた試験管を全力で殴って叩き割っていった。
俺が試験管を叩き割っていくと辺りの地面に液体がポタポタと飛び散っていった。そしてそれから一瞬の静寂が訪れた後に……。
―― ドゴォォォォオオオオオオオオオオオォオオンッッ!!
先ほどの爆発音とは比べ物にならない程の巨大な爆裂音が巣穴全体に響き渡り、一瞬にして巣穴全体が火の海と化していった。
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