第79話:アイツ魔力ねぇのかよ!?(アンネリーゼ視点)
「はぁ、はぁ……! クソッ……何だよアイツ……!」
私は息を切らしながらも全力で森の中を駆け抜けていた。
理由はアイツが私の呼び出すペットを続々と倒しまくってくるからだ。だから私は一旦様子を見るためにアイツからなるべく距離を取ろうとしていた。それなのに……。
「おいおい、そんな逃げる事ないだろ? もっと一緒に戦いを楽しもうぜ?」
それなのにアイツは汗一つ流さずに私の走りに全力で付いてきていた。
「はぁ、はぁ……アンタ……本当に一体何者なのよ……?」
「あはは、だから俺は普通の人間だって言ってるだろ? というかさっきから逃げてばっかりだけどさ、アンタのペットの軍勢ってもうあれで終わりなのか?」
「はぁ、はぁ……そ、そんなわけないでしょ……」
私は肩で息をしながらそう言っていった。アイツは笑いながらそんな事を言ってきてるけど、でも私の呼び出すペットを次々と打ち倒してくるなんて、そんなの普通の人間じゃあり得ない。
だからおそらくアイツは自身へ
それに私にだって魔力の限界がある。だからこれ以上無暗に魔物を召喚するわけにいかない。
(クソ……アイツの能力がわからないから……まだカー君を出すわけにはいかない……!)
今までのアイツとペット達の戦闘を冷静に分析した限り……今の強化状態のアイツは確かに強いけど、でもカー君の方がもっと強いという確信はある。
だから今現在アイツが使ってる強化魔術がマックス状態なのだとしたら、おそらくカー君をぶつければブチ殺す事は出来ると思う。
でもアイツの強化魔術がさらにもう一段階上まで伸ばす事が出来る可能性だって否定できない。そしてその可能性がある限りはカー君を出すわけにいかない。
だってカー君が倒されでもしたら……私がアイツに勝つ算段が一切なくなってしまうから……。
(クソ……アイツの手の内がわからない限り……まだ私の切り札は使えない……いや、でも待てよ?)
私はその時ある事を思いついた。アイツの使える魔術がわからなくて困ってるのなら……そもそもアイツが魔術を使えないようにすれば良いだけじゃないか。
「……ふふ」
「ん? 一体どうしたよ? 逃げるのはもう止めたのか?」
「えぇ、そうねぇ。ちょっとだけ良い事を思いついちゃった……のよ!」
「っ!?」
そう言って私は全力で駆け抜けてアイツの背後へと近寄っていった。そしてすぐに私はアイツに向かって魔術を唱えていった。
「これでアンタの手品も終わりよ!
「っ!?」
私はアイツに目掛けてそう唱えていった。
これは対象の相手の魔力を吸収する技だ。どんなに凄い強化魔術が使えたとしても、魔力が0になってしまったら発動する事は出来ないからね。
だから魔力さえ枯渇すればもうコイツに対する脅威なんて一切なくなる。そうしたらカー君に食べさせてしまえばそれで終わりだ。
「ふふ、これでアンタも終わりねぇ……って、あ、あれ……?」
しかし私はその時に違和感を覚えていった。
私はちゃんと魔力吸収魔術を発動している。それなのに何故か私は……この男から魔力を一切吸収出来ていなかった。
「え……え? あ、あれ……? ど、どうして……?」
「もしかして魔力を吸収出来なかったか? はは、それは残念だったな。俺さ……魔力なんて一切持ってないんだよ」
「え……って、なっ!?」
私はそれを聞いて驚愕としていった。そ、それじゃあコイツ……ただの筋力バカだったって事なの!? な、何だよそれ!? ふざけてんのかよ!!
(……いや、でも待てよ?)
という事はつまり……この男は魔術を一切使えないという事だ。それならこれ以上強くなる可能性はほぼ確実に無いという事だ。
「……ふふ。そっかそっかー。なんだよ、それならもっと早く言ってよねぇ……」
「? 急に笑いだしてどうしたよ?」
「ふふ、だって君が魔術を使えないってわかったらさぁ……もうこんなにも身構える必要が無いって事じゃないの。あーあ、無駄に君の事を過大評価しちゃって損したわぁ……」
「過大評価をさせて悪かったな。でもその割にはお前のペットがだいぶ被害に遭ってるけどな? それは問題ないのか?」
「ふふ、そうねぇ。今回は君のせいで私のペットがだいぶ失っちゃったわ。うんうん、確かに私の可愛いペット達を次々と殺した報いはちゃんと受けて貰わないとだねぇ……」
「ふぅん? 報いって……具体的にどういう報いなんだ?」
「ふふ、そんなの決まってるでしょ……? テメェを八つ裂きにするって事だよ! それじゃあ今からペット達の巣穴に案内してやるよ!
「っ!?」
このゲロカス男に報いを必ず受けさせる。だから私はコイツを対象に取って転移魔術を起動していった。目的地はもちろん……。
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