第49話:妻のレインに滅茶苦茶ブチギレられる(父親視点)
「レ、レイン? 一体どうしたんだ?」
眉間に皺を寄せてかなり怒った表情をしているレインにそう尋ねていった。するとレインは……。
「……まぁ色々と言いたい事はありますが、単刀直入に申し上げます。離婚しましょう」
「は……はぁ!?」
レインは淡々とした態度でそんな事を私に伝えてきた。しかし私はそんな事を言われるとは思わなかったのでビックリとしてつい大きな声を出してしまった。
「い、いや、何を言っているんだレイン? 私たちは今までずっと夫婦として仲良くやって来たじゃないか? それなのに突然と離婚だなんて……そんなの認められるわけないだろ!」
「今までずっと夫婦として仲良くやって来たですって? 私は血の繋がった実の息子を無一文で家から追放するような鬼畜男と夫婦になったつもりは無いのだけど?」
「え……って、なっ!? な、何故それを?」
レインは今日までずっと外交の仕事で地方の領地に出張に行っていたはずだ。だからレインはまだセラスが追放された事は知らないはずだろ。
それなのに……何故レインはその事を既に知っているんだ!?
「その様子だとアナタがセラス君を追放したという話は本当のようね?」
「えっ!? い、いや、それはその……って、い、いや、そもそも何故レインがその話を知っているんだ? い、一体誰からその話を聞いたんだ?」
「セラス君がよく出入りしていた建物の職員の中に仲良くしてる友人が一人いるのよ。それでセラス君が追放された時にその建物の職員さん達と色々な話をしたらしくてね……さっき私がアルフォンス領に帰ってきた時に職員の友人からその話を詳しく聞かせて貰ったのよ」
「な、何だとっ!?」
あ、あのゴミクズめ……! そんな余計な話を外部に漏らしていたのか!?
クソっ! そんな噂が広がってアルフィード家の品位が落ちていってしまったらどう責任を取るつもりなんだ!
(いや、今はそんな事は考えてる場合じゃない!)
今レインにそんな事を言われてアルフィード家から出て行かれては非常に困る。今は家族皆で一致団結してセラスを連れ戻さなければならないのだから!
という事で私は焦りながらもレインに向かってこう言っていった。
「い、いや、ちょっと待ってくれ! それはきっと誤解なんだ! おそらくレインは何か変な勘違いをしている! だからここは夫である私からちゃんとイチから説明をさせてくれ!」
「ふん。誤解とかこの際どうでも良いわ。セラス君を追放したのは事実でしょう? それに私が結婚したのは勤勉で真面目な魔術家系であるアルフィード家の当主とであって、実の息子を見殺しにするような鬼畜男とじゃないから。だから今すぐにでも離婚しましょう」
レインは凍てつくような冷たい視線を私に向けて送りながらそう言ってきた。
「い、いや、だからちょっと待ってくれ! そんな誤解をしたままの状態で離婚だなんて話が成立するわけないだろ! だからまずはちゃんと落ち着いて話をしようじゃないか!」
「ふん、あくまでも誤解という方向に持っていくのね。まぁ別にどうでも良いけど。それじゃあこっちはどう説明する気かしら?」
「え……こっち?」
―― バサッ……
レインはそう言うと私達の目の前にある机の上に何かを放り投げてきた。それはどうやら写真の束のようだ。
「こ、これは写真か?」
「えぇ、そうよ。良かったら写真の中身を確認して頂戴よ」
「あ、あぁ、わかっ……って、なぁっ!?」
その机に放り出されていった数々の写真には……裸になっている私と若い女達との夜伽の瞬間が映し出されていた。これらの写真の束は全て私の逢瀬の写真が映し出されていた。
「な、なんだこれはっ!? ど、どうしたんだこれは!?」
「これはセラ……じゃなかった。まぁ善意ある匿名の第三者が私に送ってくれた写真よ。アルフィード家の現当主は妻である私に隠れて沢山の若い女性と不倫しまくってるぞってね」
「ぜ、善意の第三者だと!? いや、ちょっと待ってくれ! そ、そもそもこれは盗撮じゃないのか!? 犯罪だろこんなものは!!」
「えぇ、もしかしたらそうかもしれないわね。それじゃあアナタが盗撮されてたかもしれないという事で、この写真の出所についてしっかりと調査してみる事にしましょうか? 別に私は良いわよ? こんなの変態な写真の束を幾ら調査されても私は一切困らないし。でもアナタはどうなのかしらね? クスクス……」
「え? い、いや、それは!?」
そう言うとレインはクスクスと何だか怖い笑みを浮かべながら私を見てきた。
「ふふ、それにしてもアナタ……私一人に凄く大変な外交の仕事を全部やらせておいて、アナタは随分と楽しそうな事をしてたのね? あぁ、それとも……これらの写真も全て、アナタの言う所の誤解というヤツなのかしら??」
「い、いや、それはその……」
「ふふ、そんな訳ないわよね? だって私は夫のアナタや大切な息子達がこれからもずっと平和に暮らせるようにするためにも、毎日頑張って色々な領地に出張して夜遅くまで会議や仕事をしているのよ? そのせいで毎日寝不足になってきて身体の調子もどんどんおかしくなってきてるっていうのに……それなのにアナタは毎日若い女の子と楽しく遊んでたって言うのかしら? ふふ、そんな訳ないわよね? きっとこれもアナタの言う誤解ってヤツなのよね? ふふ、それじゃあ早く私の誤解を解いてちょうだいよ? ねぇ? ねぇ?? ねぇって? ちょっと聞いてるのかしら??」
「い、いやだから、えっと、それはそ――」
「ノロノロと喋ってんじゃねぇよ!! もっとハキハキと喋れよ!! ぶち殺すぞテメェ!」
「って、ぐはぁっ!?」
そう言うとレインは恐ろしい表情を浮かべながら私の胸ぐらを掴んできた。私は一瞬にして息が出来なくてなってしまい慌てふためいていってしまった。
(そ、そうだった……すっかり忘れていた……)
最近のレインはずっと温厚だったからすっかりと忘れてたけど……そういえばレインは昔からキレると非常に怖い女だった……。
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