第41話:国王陛下から直接会いたいと言われた!(父親視点)
とある日の昼下がり。
「ふふふ……」
私ことジョルノ・アルフィードは一人で馬車に揺られながら王都へと旅立っている所だった。
つい先日には無能なゴミクズのセラスを追放出来てとても嬉しく思っていたんだが……今はそんな事よりもさらに嬉しい事が起こっていた。
「ふふ、まさかジルク王から呼び出されるなんてな……」
実は国王陛下であるジルク王から是非とも王都に来てほしいと直々にお願いをされてしまったのだ。こんなのはどう考えても良い知らせに決まっている。
そしてそんなお願いがやって来たのは数日前の事だった。我がアルフィード家にジルク王からの直筆の手紙が届いたのだ。
『今回は私の生誕祭を行う事が決まった。そしてその生誕祭では様々な功労者に対して表彰式を行う予定となっている。表彰式に関してアルフィード家と事前に話したい事があるので一度王都に来て打ち合わせをさせて欲しい』
ジルク王から届いた手紙を要約するとそんな感じの内容だった。まさかジルク王から王都に来てくれとお願いをされるなんて凄くビックリとしてしまった。
でもその手紙の内容からして悪い話ではないのは確実だ。むしろどう考えても良い話だ。だって表彰式の件について打ち合わせをしたいなんて、それはつまりアルフィード家を表彰したいという事に他ならないからだ。
「おそらく私の研究論文を国王陛下も読んでくださったんだろうな」
おそらく表彰を行うという事なのだから、私が今まで書いてきた業火の魔術についての研究論文を表彰してくれるという事だろうな。
「国王陛下からアルフィード家が表彰される日が来るなんて……ふふ、これは御先祖様達に良い報告が出来そうだ!」
これまでに国王陛下から表彰を承った人物なんてほんの一握りしか存在しない。だからこの表彰は最高峰に誇りある素晴らしき栄誉となるんだ。
当然アルフィード家は今までに国王陛下からそのような表彰を受けた事は一度も無い。なので私は物凄く興奮としていたわけだ。
「それにしても無能なゴミクズのセラスを追放してからすぐに国王陛下からアルフィード家が表彰されるなんて……あぁ、とても素晴らしい事じゃないか!」
もしかしたらあの無能なゴミクズがいなくなったおかげでアルフィード家にも幸運が訪れ始めたのかもしれないな。
はは、それならアイツを追放して正解だったな!
◇◇◇◇
それから程なくして。
私は王都に到着した。そして王城にやって来ると、門番の兵士に連れられてて国王陛下が待つ執務室へと案内されていった。
「おぉ、よく来てくれたな! ジョルノ殿!」
執務室の中に入ると国王陛下であられるジルク王が中央に立っていた。そして周りには護衛のような者が4~5人程並んでいた。
その護衛は全員屈強そうな身体をしているのでおそらく軍の人間だと思われる。
「い、いえ、恐縮です。お元気そうになられたようで本当に何よりです。陛下」
「あぁ、ありがとう。それではそこのソファに座ってくれて構わないぞ」
「はい、ありがとうございます。それでは失礼します」
私はそう言って少し緊張しつつもゆっくりとソファに座っていった。するとジルク王も対面にあるソファに座っていった。
そしてジルク王はそのまま私に向かってこんな事を言ってきた。
「あぁ、そういえば今年はアルフィード家の子供達が貴族学園の入学試験を受けたらしいじゃないか。試験官から聞かせて貰ったが試験結果は非常に良い成績だったとの事だったぞ」
「えっ!? ほ、本当ですか!」
なんと唐突にもジルク王は微笑みを浮かべながら“シュバルツ”の事を褒めて下さってくれた。
な、なるほど。貴族の間でも有名になってきてるシュバルツだ。だからジルク王もシュバルツの噂を聞いたのかもしれないな!
(い、いや待てよ? こ、これは……もしかしたら凄いチャンスかもしれないぞ!!)
という事で私はすぐにジルク王に向けて息子のシュバルツのアピールを全力でしていく事を決めていった。
だってこの全力のアピールでジルク王は息子のシュバルツに凄い興味を持ってくれるかもしれないしな。
それで運良くジルク王がシュバルツの事を気に入ってくれて王族の関係者との縁談でも進みだしたら……もしそうなったらアルフィード家は一気に伯爵家から公爵家への大出世にも確実に繋がるからな!!
「あぁ、本当だよ。試験官から聞いた話だと非常に優秀な成績を収めたそうだし、面接での受け答えも素晴らしかったそうだ。さらに性格もとても優しく勇敢な若者だったと聞いてる。そんなにも素晴らしい若者がこの国に居るなんて……ふふ、この国の王である私にとっても凄く喜ばしい事だよ」
「は、はい! そうなのです!! 私の息子は幼少の頃からとても優秀な子でした! で、ですから是非とも……是非とも陛下にも私の息子を紹介させて頂きたく存じます!!」
「おぉ、そうか! ふふ、それなら話が早くて非常に助かるな!」
「え? は、話が早い?」
私はシュバルツの事をジルク王に紹介しようと躍起になっていると、突如ジルク王は嬉しそうな顔を浮かべながらそんな事を言ってきた。
「あぁ、まぁ手紙にも書いたと思うんだが、今回の生誕祭では私から様々な功労者に向けて表彰を送る予定となっているんだ」
「は、はいっ! それはもちろん存じております! で、ですがそれと陛下に息子を紹介したいという話がどう繋がるのでしょうか?」
「うむ。それでアルフィード家の者を王都に呼び寄せた時点である程度は察していると思うが、実は今回の表彰にはアルフィード家の者から一人選出されているんだ」
「っ!? ほ、本当ですか!? 我がアルフィード家が陛下に表彰をして頂けるなんて身に余る光栄です! ぜ、是非ともその表彰を承りたく存じ上げます!」
「うむ、それなら良かった! ふふ、それではアルフィード家からは……貴殿の優秀な息子であるセラス・アルフィード君に表彰を送らせて貰う!」
「はい! ……は、はい?」
私にはその言葉の意味が全く理解出来なかったので、思わず素っ頓狂な声を上げていってしまった。
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