第29話:アーシャが野盗に襲われている!?

 それから数時間後。


 俺は王都から旅立って、今は深い森の街道の中を駆け抜けている所だった。


 そしてこの森の街道を抜けていくと次の領地に辿り着くはずだ。確かゲームのマップ的にはそんな感じだったからな。


「ふぅ、それにしてもやっぱり俺の体力ってかなり上昇しているんだな」


 俺はさっきから何時間も全速力で森の中を駆け抜けていってるんだけど、未だに息切れしそうな感じは一切なかった。


 やっぱりこの六年間必死に鍛錬を続けてきた事で俺のステータスは全体的に引き上がっているという事なんだろうな。


 ちゃんと今まで鍛錬を続けてきた事による成果が出てくれているなんて本当に嬉しい限りだ。


「よし、それじゃあこのままのペースを維持してさっさと森の街道を駆け抜けよう……って、あれ?」


 そんな事を考えながら森の中を走っていると……その時、森の奥から小さな声が聞こえてきた気がした。


 なので俺は一旦その場で立ち止まって耳を済ましていってみると……。


―― きゃあああああああああっ!!


 耳を澄ましてみると、今度はしっかりと女の人の声が聞こえてきた。しかしその声は明らかに悲鳴のような声だった。


「な、何だっ!? 今の声は!?」


 森の中で誰かが危ない目に遭ってるのかもしれないと思った俺は急いでその声が聞こえた方向に走っていった。


◇◇◇◇


「い、いや……は、離してくださいっ……!」

「ははは! 離すわけねぇだろ! ほら、さっさと馬車の中から出てくるんだ!」

「い、いやっ……や、やめて……!」


 俺はすぐに悲鳴が聞こえた場所の近くにやって来れたので、そのまま森の茂みからその喧噪の正体を探っていった。


 するとその喧噪はどうやら野盗の集団が馬車を襲撃している最中に発生したもののようだった。


 馬車の御者は既に野盗に殺されていて辺りには血だまりが出来ていた。そして馬車の中から一人の少女が野盗に引っ張られて外へ連れ出されてきた所だった。


(……って、えっ!? あ、あれは……アーシャじゃないか!?)


 俺はこんな深い森の中であまりにも意外な人物を発見してしまい思いっきり驚愕していった。


 でも流石に俺にとっての最推しキャラを見間違えるわけはない。あの美しくて白い編み込みヘアと青色の瞳はまさしくアーシャそのものだった。


 あの馬車に乗っていた乗客というのはまさかのアーシャだったのだ。


「お頭っ! 馬車の中身はこの女一人と荷物だけでした! 他に金品になるようなもんは全然入ってないです!」

「ちっ、こんな豪華な馬車なんだからもっと金目になるもんを用意しろよな! まぁでもこんな上物の女が手に入ったんならそれだけで十分得かもしれんけどな!」

「あぁ、確かにそうだな。前に襲撃した村の女共も田舎の割には上玉揃いだったけど、このお嬢ちゃんはあんな田舎女共よりも遥かに綺麗だな! はは、これは高く売れるだろうぜ!」

「っ!? しゅ、襲撃って……この近くにあった村を襲撃して若い女性達を攫ったのはアナタ達だったんですか!? あの村の若い女性達は今は何処にいるんですか!」

「んー? あはは、そんなの三日三晩かけて全員ブチ犯したさ。そんで犯すのにも飽きたからそのまま変態御用達の奴隷商に売り払ったよ。今頃は変態な貴族共の玩具にでもされてんじゃねぇかな? ぷははっ!」

「そ、そんな……」


 アーシャはそんな話を聞いてみるみるうちに絶望した表情に変わっていった。


「あはは! 良いじゃねぇかその顔! そういう絶望した顔の女をブチ犯すのが最高に楽しいんだよなー!」

「っ……!?」

「あぁ確かに確かに! やっぱり泣き叫ぶ女をブチ犯すのってめっちゃ快感だよな! しかもこのお嬢ちゃんの着てる服ってシスター服だろ? って事はこのお嬢ちゃんはきっと処女だよな??」

「っ……そ、それは……」

「おぉ良いねー! 処女の女をブチ犯すのが一番楽しいもんな!! よし、それじゃあ処女のお嬢ちゃんには今から俺達全員の相手して貰うぜ? まぁでも大丈夫、三日三晩もヤッたら飽きるだろうからさ……だからそれまで我慢してくれよな? そしたらちゃんと変態貴族に売り払ってやるからよ! ぶはは!」

「い、いやです……やめてください……」

「あはは、別に泣き叫んでくれて構わないぜー? だってこんな深い森の中じゃあ幾ら泣き叫んだ所で助けなんて来るわけねぇもんな。よし、それじゃあ早速お嬢ちゃんの処女を頂くと――」

「残念だけどそんな事させねぇよ……じゃあな」


―― ザシュッ!


「頂くと……って、ぐはっ!?」

「えっ?」

「な、なんだっ!? どうした!?」


 俺はすぐに森の茂みから飛び出ていき、アーシャの事を犯そうとしていた大柄の男の喉元に短剣を突き刺していった。


―― ドサッ……


 大柄の男はその一撃で完全に絶命したようでそのまま地面に頭から倒れ込んでいった。


―――――――――

・あとがき


いつも読みに来て頂き誠にありがとうございます。

今まで毎日二回更新を頑張ってきましたが、これからは仕事の都合上、毎日二回更新は厳しくなってきました……。

なので明日からは毎日18時の一回更新に変更させてください……。

いつも楽しみに待ってくださってる読者の皆様には非常に申し訳ありませんが、何卒宜しくお願い致します。

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