第19話:シュバルツが実の母親を馬鹿にしてくる

 という事で数日前にクソ親父とそんなやり取りをしたので、今日は生まれて初めての王都に行く事となったのだ。


 ちなみにアルフォンス領から王都までは馬車で二日かかるので結構な距離がある。


(でもそういえばこんな長い間シュバルツと二人きりになるなんて初めてかもしれないな)


 だっていつもはクソ親父が隣に必ずいるしな。だからこんな長い間シュバルツと二人きりで行動するのは凄く新鮮な気分だった。


「あ、そうだ」

「ん? どうしたよ?」


 そんな事を感慨深く思ってたら急にシュバルツが俺に話しかけてきた。


「そういえば兄上はちょっと前に別邸前でオバサンと話してましたよね? 一体どんな話をしてたんですか?」

「え、オバサン? って、あぁ、もしかしてレイン義母さんの事か? いやお前……実の母親に向かってオバサンはねぇだろ……」

「? 何言ってるんですか? 女性の価値は二十代までなんですよ? 三十歳を過ぎた女には価値などないんですから別にオバサンと呼んで良いに決まってるでしょう?」

「は、はぁ? いやお前さぁ……」


 シュバルツは真面目な顔をしながらそんな酷い事を言ってきた。女性に対してオバサン呼ばわりするのは滅茶苦茶失礼だし、そもそもレインは全然オバサンじゃないからな。


 だってレインは俺が見ても物凄く美しくて綺麗な女性だからな。まぁ若干怖い目つきはしてるけど。でも見た目は二十代半ばにしか見えないしな。


 でもそんな酷い事を堂々と発言してくるなんて……これはおそらくクソ親父の情操教育の成果だろうな。女の価値は若さだけだとか、顔の美しさだとか、そんな事を毎日のように言われ続けてきたんだろうな。


(はぁ、全く……でもコイツ将来絶対に奥さんの事をイジメるパワハラ夫になるだろうな……)


 俺はそんな事を心の中で思いながら深くため息をついていった。


「どうしたんですか兄上?」

「……いや、何でもない。それで俺が義母さんと話してた内容についてだったよな? 実は義母さんは最近上手く眠れなくて困っているっていう話を聞いたんだよ。それで俺は義母さんに花の香りがする香り袋をプレゼントしてあげたんだ」

「ふぅん、そうなんですか? やっぱり三十歳を過ぎてオバサンになると身体も衰えが来るんですね。あ、これが更年期障害ってやつですかね?」

「は……はぁっ!? いやお前さ……自分の母親の事をそんな風に言うなんてマジでヤベェだろ……。それに義母さんが眠れなくて困ってるって言うのにお前は心配とかしないのかよ?」

「? いやだからさっきから言ってますけど、女性の価値は二十代までですよ? 三十過ぎの価値の無いオバサンの事をどうして心配しなければならないんですか?」

「……っ!?」


 俺はその言葉を聞いて絶句してしまった。シュバルツはそんな当たり前の事を聞くなよと言った感じでそう言ってきたんだ。


―― 血の繋がってない私の事を母親だとセラス君が言ってくれて嬉しかったんです。ふふ、本当に……セラス君は本当に優しく立派な男の子に成長してくれましたね。


 そしてその時、俺は……レインが俺を優しく抱きしめながらそう言ってきてくれた事を思い出した。


 俺はあの時にレインの優しさに物凄い感動を覚えたというのに、何でその実の息子はこんなにも性格がねじれ曲がってんだよ……。


「あぁ、まぁでも兄上はまだ女性経験の無い童貞だからその言葉の意味がわからないんでしょうね。ふふ、もうすぐ十七歳になるというのに未だ童貞だなんて本当に哀れですねぇ?」

「……お前さぁ、童貞を捨てて大人になれたって喜んでるのかもしんねぇけどさ……でも流石にそれは調子乗り過ぎじゃねぇか?」

「? いや僕は全然調子に乗ってませんけど? アルフィード家の嫡子として立派な行動を日々しているつもりですが?」

「ふぅん? そうなんだ? でもお前童貞を卒業してから夜な夜な若いメイドを自分の部屋に呼び出して毎日逢瀬を楽しんでるらしいな? はは、毎日盛りのついた猿のようにヤリまくってるなんてさぁ……それはアルフィード家の嫡子として立派な行動とは言えないんじゃないか??」

「え……って、なっ!? 何故兄上がそのような事を知ってるんですか!?」


 俺がそんな事を言っていくと、シュバルツは途端にビックリとした顔をしながら大きな声を出してきた。


「はは、そりゃあ毎日そんなエロい呼び出しをしてたらメイド達に噂されるに決まってんだろ? 毎日猿のように身体を求められてしんどいだの、独りよがりのセックスで痛すぎるだの、変な所を舐めてくるからキモイだの……正直お前とはもう二度とやりたくねぇって言ってるメイドも多いぜ??」

「なっ!? い、いやそんなのはありえませんね!! だって僕と逢瀬をしたメイド達は皆“今までで一番気持ち良かった”と言っていますから! 兄上はそんなデタラメな嘘を付くのはやめてください!」

「あはは、そりゃあ雇い主に対して“テメェのセックス下手くそ過ぎて痛いんだよ、マジで死ね!”なんて本心を伝えるわけぇだろ。でもそんなメイド達の本心もわからないで独りよがりなセックスをしてるとかさぁ……お前マジでガキ過ぎんだろ! ぷはは!」

「なっ!? ガ、ガキっ!? そ、そんなわけないでしょ! 僕はもう立派な一人前の大人です! 兄上のような無能なゴミクズにそのような事を言われるなんて不快です!」


 俺は笑いながらそんな事を言っていくとシュバルツは顔を真っ赤にしながら滅茶苦茶に怒ってきた。まぁ無能な兄貴にそんな事を言われたら激怒するに決まってるよな。


 でも俺だって義母であるレインの事を侮辱されたのが相当に許せなかった。だから俺はその腹いせに満面の笑みを浮かべながらシュバルツに煽るような事をどんどんと言っていったんだ。ちょっと子供じみた事をしてしまった気もするけど反省は絶対にしない。


(でもあんまり煽り過ぎるのもシュバルツが可哀そうだしこれくらいで止めておく事にするか)


 という事で俺は煽る事を止めて最後に弟の事をちゃんと注意していく事にした。


「はは、まぁ俺が無能なゴミクズなのは全然否定しねぇけどさ、でもお前だって毎日エロい事ばっかりしてたら本当のお猿さんになっちまうぜ? だからこれからは貴族学園に入って少しは真面目に生きろよな? お前は俺と違って優秀なんだからさ」

「ふん、何をそんな当たり前な事を。というか兄上はそんな悠長な事を言っている場合じゃないですよね? 貴族学園の入学試験に落ちたら父上からどんな目に合わされるか……ふふ、僕は知りませんよ?」

「そんなの別に良いよ。今まで何度も全身を焼かれ続けてきたんだ。だから今更新しい折檻を受けさせられた所でなんともねぇよ」

「……ふふ。そう言ってられるのも今の内ですね……」

「?」


 俺がそう言っていくとシュバルツは何やら含みのある笑みを浮かべ始めてきた。一体何があるっていうんだよ?


―――――――――

・あとがき


今回の童貞卒業して調子乗ってるシュバルツ話を書いてたら唐突にセラス君とヒロイン達とのえっちぃシーンをガッツリと書きてぇ……という欲求がめっちゃ出てきてしまいました。


セラス君×アーシャとか、セラス君×義母さんとかめっちゃ書きてぇ……んですけど、でも読者的にえっちぃシーンって見たいのかどうかはわからないので、そこら辺の意見を頂けると非常に助かります。


もし見たいという声が多ければ、本編でえっちぃ展開になった時にノクターンノベルかpixivノベルにてガッツリとえっちぃシーンを投稿します。


えっちぃシーンなんて別に見たくないという声が多ければ、本編でそういう展開になったら朝チュン描写で終わらせてサクっと次の話に進める感じにします。

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