第15話:レインにプレゼントを贈っていく
「あ、そうだ。それじゃあ義母さんが次にアルフィード家に帰ってくるのはいつ頃になるんですか?」
「えぇっと、そうですね……今は魔族や魔王関連の会議がずっと続いていますので、しばらくは帰ってくるのは難しそうです。でもあと半年もすれば私の担当してる仕事は終わるので帰ってこれるかなと……っつぅ……」
「えっ? どうしましたか?」
「つっ……あ、あぁ、いえ、何でもないです……」
その時、唐突にレインは頭を抑えながら苦悶の表情を浮かべ始めていった。
「もしかして頭痛ですか? それに顔色もかなり悪いですし寝不足なんじゃないですか? 仕事が忙しいのもわかりますけど……それでも少しは休まなきゃ倒れてしまいますよ……?」
「えぇ、それはわかっているんですけど……ですが毎日仕事が沢山あって色々と考えなければならない事も沢山あるせいで、ここ最近はベッドに入っても色々と考え事をしてしまい全然眠れないんです……」
「そ、そうなんですか。それは非常に辛いですね……って、あ、そうだ! それじゃあちょっとだけ待ってください」
「? どうしましたか、セラス君?」
俺はレインにそう言って自分の上着のポケットに入れてた“とある物”を探していった。
「えぇっと、確かここに……あ、あった! はい、それじゃあこれをどうぞ!」
「……え? な、何ですかこれは?」
俺はそう言ってレインに小さな布製の袋を手渡していった。
「これは少し前に僕が作った“香り袋”です。花の良い香りが込められるのでリラックス効果があるはずです。なのでこれを枕元に置いとけばきっとぐっすりと眠れると思いますよ」
「え、セラス君がこれを作ったんですか? そ、それは凄いですね……って、あ、本当だ……確かに凄く良い香りがしますね……」
レインはキョトンとした表情をしながらもその小さな袋を手で仰いで匂いを嗅いでいってみた。すると想像以上に良い香りだったようで、レインはちょっとだけ驚いた表情をしていった。
これは俺が少し前に調合で作った“香り袋”というアイテムだった。効果はリジェネ(小)の効果があるので、頭痛や寝不足で辛そうにしてるレインに役立つかもしれないと思ってレインにプレゼントしていった。
「なるほど、この香り袋を使用すれば今夜は久々にぐっすりと眠れるかもしれませんね。それじゃあ今日はこの香り袋を使って早めに眠れるように頑張ってみます」
「あぁ、それなら良かった。それじゃあ僕もレイン義母さんが今夜はぐっすりと眠れるように祈っていますね」
「ふふ、そう言ってくれてありがとうセラス君。でも私の事をそんなにも労わってくれるなんて……本当にセラス君は優しい男の子ですね」
「そんなの当たり前ですよ。母親の事を大切に思わない子供なんて居ませんからね。だからこれからもずっと元気で居てくださいね、レイン義母さん」
「セラス君……」
俺は素直な気持ちでレインにそう言っていくと、レインはビックリとした表情を浮かべてきた。でもそれからすぐに柔和な笑みを浮かべていって……。
―― ぎゅっ……
「わわっ。ど、どうしたんですか、レイン義母さん?」
「血の繋がってない私の事を母親だとセラス君が言ってくれて嬉しかったんです。ふふ、本当に……セラス君は本当に優しく立派な男の子に成長してくれましたね」
そう言ってレインは俺の身体をぎゅっと抱きしめていってくれた。それはとても温かみのある優しい母の抱擁だった。
「ふふ、本当にありがとうセラス君。セラス君の優しさのおかげで私はこれからもお仕事を頑張って行けそうです。そして仕事がひと段落したら……今度こそ家族一緒に屋敷で暮らしましょうね?」
「……はい、わかりましたレイン義母さん」
レインからそんな優しすぎる言葉を貰った俺は、レインの目をしっかりと見つめてから深く頷いていった。
まぁクソ親父がいる時点でそんな願いが叶う事はないのはわかっているんだけど……でも俺はそんな義母からの無償の愛を感じ取って心の中で感動を覚えていった。
(うん、やっぱりこの人は……誰よりも優しい人なんだよな)
という事でそれからもしばらくの間はレインにぎゅっと抱きしめられながらも、楽しく他愛無い話をしながらノンビリとした時間を過していった。
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