第12話:再び決意を固める
という事でかつてプレイしてたソードファンタジアの仲間キャラと出会えて興奮しまくっていた俺は、そのままアーシャとフランツにこの街の案内をしていったり、お昼ご飯を一緒に食べたりなどして楽しく過ごしていった。
そしてそんな楽しいひと時を過ごしていった後……。
「よし、それじゃあ僕達はもうそろそろ次の目的地に向かうとするよ。美味しいご飯屋さんを紹介してくれてありがとう。凄く美味しかったよ。それにアーシャにもお土産のハチミツをプレゼントしてくれて本当にありがとね」
「はい。こちらこそ今日はこの街に立ち寄ってくださってありがとうございました。少しでも楽しんで貰えたのなら僕も嬉しい限りです」
隣の領地に向かう馬車の停留所近くにて俺達はそんな会話をしていっていた。
さっき一緒にお昼を食べてた時に聞いた話なんだけど、どうやら今日のアーシャ達の目的地は隣の領地らしい。詳しくは聞いてないけど、まぁおそらく軍か聖女関係の仕事があるんだろうな。
それでアーシャは前々からお爺さんのために美味しい食べ物を探していたので、せっかくだから美味しい食べ物で有名なアルフォンス領にも立ち寄ってみたいと思って、今日はこの街にぶらっとやって来たという話だった。
という事で俺が今日アーシャとフランツに出会えたのは本当にただの偶然だったっていう事だ。いやこれはマジで運が良くて相当ラッキーだったな。
「うぅ……私、もっとセラス君とお話がしたかったのになぁ……」
「そうは言ってもアーシャ達は早く隣の領地に行かなきゃいけない用事があるんだから仕方ないよ。まぁ俺はいつでもこの街にいるからさ、だからアーシャに時間が出来たらまたいつでも遊びに来てよ」
「うん、絶対にまた来るよ! だからその時はまた一緒にお話しようね、セラス君!」
「はは、そんなのもちろんだよ。そしたらまたハチミツレモンの炭酸水を奢ってあげるから一緒に飲もうね」
「えっ!? 本当に!? うん、絶対に一緒にまた飲もうね! 約束だよ!」
「うん、約束だよ」
そう言って俺達はお互いに笑い合いながら再会の約束を交わしていった。そしてフランツも続けて笑みを浮かべて俺にこう話しかけてきてくれた。
「ふふ、この街には偶然訪れただけだったんだけど、でも君みたいな心優しい貴族の少年と出会えて本当に良かったよ。それにセラス君のような素敵な男の子がアーシャと友達になってくれて凄く嬉しいよ。実はこの子って結構シャイで恥ずかしがり屋だからさ……友達も少なかったからちょっと心配だったんだよね」
「ちょ、ちょっと!? お、叔父様! セラス君になんて事言ってるの!?」
「はは、ごめんごめん。でもまぁ……アーシャの兄代わりの僕としても今日の出来事はそれだけ嬉しい事だったんだ。だからアーシャと友達になってくれて本当にありがとう。そして僕もまたいつか君と再会出来る日を楽しみにしているよ。また会おうね、セラス君」
「はい、もちろんです。僕もフランツさんとまた会える日を楽しみにしています」
そう言って俺はフランツと固い握手を交わしていった。これはソードファンタジアが大好きだった俺にとっては一生忘れる事のない体験になりそうだ。
「よし、それじゃあそろそろ馬車の中に入ろう、アーシャ」
「わかったわ、叔父様。それじゃあ今日は本当にありがとう、セラス君! 今日の事は私……一生忘れないからね! 絶対にまたセラス君に会いに来るからね!」
「うん、俺もアーシャ達の事は一生忘れないよ。それとまたアーシャに会える日を楽しみにしてるよ。それじゃあまたね」
「うん! またね!」
別れの挨拶を済ませてからアーシャとフランツは隣の領地に向かう馬車に乗り込んでいき、そしてそのまま馬車は出発していった。
俺はその馬車が見えなくなるまでずっと手を振って見送り続けていった。
「……んんー。ふぅ……」
そして馬車が見えなくなるまで手を振っていった後、俺は一息つきながら軽く背伸びをしていった。
何だか今日はとても濃い一日だったけど、それでも今日は本当に最高の一日だった。
だって今日は俺の大好きだったゲームに登場する仲間達に出会えたわけだし。しかも俺の最推しキャラであるアーシャと出会えるなんて本当に奇跡過ぎるよな。
「でもアーシャはゲーム本編だと……凄惨な結末を迎えるんだよな……」
ふと俺はまたゲーム本編のアーシャの結末を思い出してしまった。でも俺は絶対にそんな結末だけは迎えさせたくない……。
だから俺は絶対に闇堕ちしないようにこれからも身体を鍛えていこう。絶対に野盗を返り討ちに出来る程の力を今のうちに手に入れるんだ。
「よし、それじゃあ今日も家に帰って鍛錬を頑張ってやらなきゃだな!」
俺は自分の頬を叩いて気合を入れ直しながらそう決意を固めていった。これからは俺のためだけじゃなく、アーシャのためにも全力で頑張っていこう。
そして願わくば、この世界でのアーシャは誰にも傷つけられる事なく幸せな一生を過ごせるようにと……俺はそう祈りながらアルフィード家に帰宅していった。
―――――――――
・あとがき
ここまで読んで頂きありがとうございました。
十一歳編はここまでとなり、次回からは十六歳編になります。
そしてここからも楽しく読んで頂けるように毎日頑張っていきますので、これからも引き続き応援をして頂けると嬉しいです!
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