第7話:ダグラス支部長と話をしていく

 それから程なくして。


「査定完了したぞ、セラ坊主! これが今日の買取金だ! 受け取っていってくれ!」

「うん、いつも買取ってくれてありがとう、支部長」


 俺はダグラスに呼ばれたのですぐに受付の方に戻っていき、それからポーションを売り払ったお金を受け取っていった。


「いやそんなのこちらこそだ! いつも良品質のポーション薬を持ってきてくれてありがとな、セラ坊主! ギルド職員としてポーション薬を沢山売ってくれるヤツがいるのは本当に助かるよ! でもあんなにも品質の良いポーションを毎日作り続けるなんて凄く大変なんじゃないのか?」

「全然そんな事はないよ。それに俺としては調合の勉強も沢山出来て一石二鳥だしね。だからこれからも沢山作っていくから買取りよろしくね、支部長!」

「勉強熱心なのは良い事だな! あぁ、わかった、それじゃあ俺達ギルドがいつでも沢山買い取ってやるから安心してこれからも調合の勉強を頑張っていきな! あはは!」


 ダグラスは豪快に笑いながらそんな頼もしい事を言ってきてくれた。という事でこれからもポーション調合&売買の金策ムーブはずっと続けられそうだ。これやるだけで金策は一生困らないかもな。


「いやでもよー、凄く今更なんだけど……セラ坊主は貴族の息子なのに何でこんな薬師みたいな真似事をしてるんだよ? いやそもそも何で冒険者になったんだよ? 別にこんな危険な職業につかなくても貴族なんだから何も不自由なく一生遊んで暮らせるんじゃねぇのか?」

「え? あ、あぁ、いや、何というか……」


 でもそれからすぐにダグラスはちょっとだけ不思議そうな表情になりながら俺にそんな事を尋ねてきた。


「えぇっと……ま、まぁ働かざる者食うべからずっていう感じかな? それと貴族たるもの困ってる人は積極的に助けるべきだと思ってるからね! だからポーション薬を沢山作ってるのもその一環だよ! ほら、怪我とかで困ってる人達を助けたいと思ってさ!」

「へぇ、流石はセラ坊主だな! まだまだ子供だってのに、その人助けの精神は凄く立派だよ! はは、それじゃあこれからも沢山勉強を頑張って沢山の困ってる人達を救う立派な貴族様になってくれよ!」

「う、うん、ありがとう」


 本当は楽して金を稼げるポーション薬の調合&売却ループをしてるだけなんだけど……でもそんな本当の事を言う訳にもいかないので俺は適当に誤魔化していった。


 でもダグラスはそんな俺の適当な言葉を信じてくれたようで、いつものように豪快に笑いながら俺の事を全力で応援してきてくれた。


 まぁ冒険者ギルドには一年近くもお世話になっているし、ダグラスもそんな俺の事を多少は信頼してくれているようだな。


 そして俺はこんな身近に俺の事を信頼してくれて応援もしてくれる優しい大人がいるという事を知って、俺はちょっとだけ感動を覚えていった。


(うん、やっぱりダグラス支部長は俺のクソ親父とは全然違うよなぁ……)


 その時、俺の脳裏にはクソ親父の顔が現われてきていた。


 ちなみにだけど俺は生活費を稼ぐために冒険者ライセンスを取得するって親父にもちゃんと伝えたんだ。すると……。


『金がないから冒険者ライセンスを取得するだと!? ふん、そんなの勝手にしろ! ただし! 貴様が冒険者になって深い傷を負ったり死んだとしても我々は一切関知しないからな! もしも死ぬなら一人で誰にも迷惑をかけずに勝手に死ね!』


 するとクソ親父は俺に向かってそんな事を言ってきやがったんだ。普通血の繋がった息子に対して“死ね”って言う親いるかよ……?


 まぁ別に俺は自分の事は自分でやるつもりだったし、クソ親父が俺に何も支援をしてくれなくても全然構わないと思っていたけど、それでも流石に自分の血の繋がった息子にここまで酷い事を言うなんて絶対に終わってるよな……。


 ちなみにクソ親父が俺に生活費を全然恵んでくれない本当の理由も知っている。クソ親父はアルフィード家の金を使って街に住んでる若くて可愛い女をメイドに雇っているんだ。


 そしてそんな若くて可愛いメイド達と夜な夜なエッチな遊びを楽しんでるんだってさ。そんなクソ過ぎる話を従者達がコソコソと話しているのを前に聞き取っていった。


 という事でクソ親父は若くて可愛いメイドを雇うのに金を散財しているので、俺みたいなゴミクズに使う金は残ってないってだけの話らしいんだ。はは、マジで笑えるよなー……って、全然笑えねぇよ!!


 いやマジでいつか必ず地獄に落としてやるからな。あのクソ親父……。

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