第5話 ただ独りになるのが怖くて。
放課後、私は独りで屋上に居た。虹菜はモールス信号の機械が校内に持ち込めないからと休みだ。
やはり、携帯の方が便利に感じる。
しかし、独りか……。
ここのところ虹菜が張り付いていたので余計に寂しく感じる。こういう時にクマたんのぬいぐるみが恋しくなる。
確か県立博物館の倉庫にあるとか。悪の組織の情報だ、本当かどうか怪しいものだ。
大体、何故、私の思い出のクマたんの事を知っているのだ?
ブツブツ考えていても仕方がない、帰るか、私はノスタルジックな放課後の屋上から家に帰る事にした。
帰り道の途中で虹菜を拾った公園に立ち止まる。虹菜は私と出会ったことは偶然だと言うがお互いに欠けた存在を探していた気がする。
私は何気無く公園の写真を撮る。画像加工アプリにお気に入り登録して帰路に立つ。
そう、この写真が重要になる予感がしたからだ。
『何にもない、何にもない♪』
私は鼻歌を歌いながら、夕食の用意をしていた。今日は父親も母親も残業のようだ。このような日は私がご飯の支度をするのだ。
「ミキティー姉様、義妹の虹菜ですよ」
などと、メス猫の様に虹菜が甘えてくる。
「悪の組織との通信は終わったのか?」
「はい、有意義なモノでした」
ま、虹菜が楽しいなら問題ない。
私が料理に戻ると。
「私の姉様!!!」
虹菜が更に大声を出して甘えてくる。
ここは、虹菜の頭をポンポンしてなだめる。
雨が上がり、半分だけの太陽が出ると朝がやってきた。目覚ましアラームの五分前に目が覚める。
私は冷蔵庫のドアを開けるとフルーツゼリーを取りだす。椅子に座りフルールゼリーを食べ始めると虹菜がやってくる。
「ミキティー姉様、私もフルーツゼリーを食べたい」
「残念、これが最後だ」
「ガビーン」
大げさなヤツだ、ここは虹菜に五百円を渡してコンビニで買ってくる様に言う。
「釣りはいらんぜよ」
私がワンコインを渡すと。
「何故、坂本龍馬風なのです?」
「それは私が大物だからだ」
虹菜はジト目で見てくる。大物発言は問題であったか。ただ気前よく五百円を渡して気分が良かったからだ。
「なら、一緒にコンビニに行こう」
「それは、ミキティー姉様とデートですか?」
イヤ、違うし。しかし、否定するのも気が引ける。
「コンビニに行く途中で手を繋ぎましょう」
私が答えに迷っていると虹菜のペース巻き込まれる。
「仕方がない、少しだけだぞ」
結局、一緒にコンビニに手を繋いで行くことになった。
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