「ウニョー!」バスが、バスがぁっ!

「えーっとですね」

 一方バス組は時刻表を調べていた。高速バスに乗るのは犬と人である。スタッフの目黒と朝山(スタッフ全員覆面。テツと二人だけのあのひとも。)は普通のバスに乗るらしい。J吉は偶然「ローカル路線バス・ちゃがわ」を予約していた。


      *


「まぁじですか!」

 人たちが値段に驚愕した。

「芋塚ですと、ここから四千九百円くらいでしょうか」

 平然とした顔で運転手はいった。

「乗りますか」

「乗りま〜す! 芋塚ってここからどのくらい遠くですか?」

「はい?」呆れ顔の運転手は、仕方ないというふうに答えた。「84,5,6,7くらいじゃ……?」

「決まりー!」棒人間が飛び乗った。先住民の一人が、あからさまに嫌な顔で棒人間を眺めている。

「え〜っとそこの『パグ・デブ』さんは?」

 幼稚園生のような名刺を胸につけているのですぐに名前がわかった。チューリップの型に黒いマーカーで「パグ・デブ」と書いてある。右上にはねているパグ特有の字が印象的だ。

 テツは「支那」をカタカナで書いて、とパグに頼んだことがある。そしてテツはそれをみて、こぼした。「ツナ……じゃん……」

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