第4話 続くと思ってたんだ…

登場人物


山西やまにし太希たいき

性別:男

年齢:24

身長:178


神川かみがわ水樹みずき

性別:女

年齢:24

身長:162


中星なかぼし圭吾けいご

性別:男

年齢:24

身長:182





「じゃ、行ってくるよ。」


そう玄関で太希たいき水樹みずきに声をかける。


「うん。中星なかぼし君によろしくね。」


そう水樹は微笑む。


その後、水樹は静かに目を閉じる。

そんな水樹の唇に太希は優しいキスをする。


「行ってきます。」


「行ってらっしゃい。」


そう見つめ合いながら2人は言い合うと

太希は家を出る。


今日、太希が会う約束をしているのは

中星圭吾けいごと言う男だ。

圭吾とは中学時代からの付き合いの親友である。



太希が待ち合わせ場所の喫茶店に入ると

圭吾はもうすでに来ていた。


「よっ。久しぶり。」


そう太希は圭吾に声をかける。


「おぉ。久しぶり。2年ぶりぐらいか?」


そう圭吾は明るく言葉を返す。


「多分、そんぐらいだな。」


そう答えながら太希は圭吾の目の前の席に座る。


四条しじょうから聞いたぞ。

神川かみがわさんと同棲してるんだって?」


そう圭吾は話を始める。


「ん?あぁ。4ヶ月ぐらい前からな。」


そう太希はメニューを見ながら答える。


「どうよ。7年ぐらい付き合ってる彼女との同棲は。」


そう聞きながら圭吾はコーヒーを口に運ぶ。


「幸せだよ。24年間で1番。」


そう太希は正直な気持ちを答える。


「それは何よりだ。」


そう圭吾は笑顔を見せる。


「だから、圭吾には感謝してるんだ。」


「え?」


そう圭吾は驚いた顔を太希に向ける。


「水樹に告白する時、応援してくれただろ?あの応援がなかったらオレは告白できないまま高校を卒業してたよ。

そしたらきっと…水樹とは2度と会えなかったと思う。オレは水樹とちがって大学には行ってねぇから。」


そう太希は感謝の気持ちを話す。


「・・・親友の役に立てたなら、良かったよ。」


そう圭吾は微笑む。


その後も太希と圭吾は2時間ほど昔話などで盛り上がった。



会計を済ませて2人は喫茶店を出る。


「じゃ、また時間が合ったら会おうぜ。」


そう太希は圭吾に右手を挙げる。


「あぁ。」


そう圭吾が返事をすると太希は圭吾に背を向けて歩き出す。


その背中に圭吾は声をかける。


「これからも神川さんと幸せにな。」


その言葉に歩みを止めた太希は振り返る。


「ありがとう。」


そうお礼を言うと太希は再度、歩き出す。



太希が家に帰ると水樹の姿はなかった。

そのわりに手紙が1枚置かれていた。


〔少し買い物に出かけます。

夕方には帰ってくるから待っててね。〕


「買い物か。」


そう小さく呟くと太希はソファーに座って、くつろぎながら水樹の帰りを待った。


だが…水樹が帰ってくる事はなかった。



静かな病院の椅子で太希は生気せいきが抜けた様に座っていた。


そんな太希の横に七海ななみは黙って腰を落とす。


「・・・いつもの日々が…続くと思ってたんだ…。」


そう太希は風で消えるほど小さな声で話し始める。


そんな太希の話を七海は黙って聞く。


「・・・水樹が買い物から帰ってきたら…いつもの様に2人で夕飯作って…圭吾とどんな会話したか話して…その流れで高校の時の思い出話なんかもしてたろうなぁ・・・そんなオレの瞳にはいつものあの水樹の微笑みが映ってるんだ。

オレに…元気をくれる…あの微笑みが…。そんな日々がこれからも…続くと思ってたんだよ…。なのに…なんで…。」


太希の言葉は細く細く消えていく。


何も話せなくなった太希の心を黒い闇が包む。その闇は太希に吐きを感じさせる。


その吐き気にえられなくなった太希はトイレに駆け込むと便器に吐き出す。


「おぇ。おぇ。おぇぇぇぇ。」


かなしみが溢れ出して止まらない。

7年間付き合った恋人を…。

7年以上愛した人を…太希は今日…事故でうしなった。


もう2度と彼女との日々は戻ってこない。

その残酷な現実が太希の心を強く苦しめ続ける。

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