第3話 追加してもいい?

登場人物


山西やまにし太希たいき

性別:男

年齢:24

身長:178


神川かみがわ水樹みずき

性別:女

年齢:24

身長:162


四条しじょう七海ななみ

性別:女

年齢:24

身長:156





次の日の朝。太希たいきが目を覚ますと隣で寝ていた水樹みずきの姿がない。


「・・・もう…起きたのか。」


そう太希はボーッとする頭で呟く。


そして、リビングへと足を進める。


「あら。おはよう。思ったより早かったわね。」


そうキッチンで朝食の準備をしている水樹が太希に声をかける。


「おはよう。早いのはそっちだろ?

まだ朝の6時半だぞ?

今日のバイトは昼からって言ってなかったか?」


そう太希が言うと水樹は太希の方へ体を向ける。


「だって太希君、朝の7時半には家を出るって言ってたじゃん。見送りたいもん。

それに…朝のハグしてもらわなきゃ。」


そう言って水樹は両手を広げる。


そんな水樹を太希は優しく抱きしめる。


「今日も私の事、好き?」


そう水樹は太希の耳元で尋ねる。


「もちろん。好きだよ。」


そう太希は迷いなく答える。


その太希の言葉が嬉しくて水樹はさらに強く太希を抱きしめる。



「じゃ、行ってくるね。」


そう言って家を出ようとする太希の腕を水樹は掴む。


「ど、どうした?」


そう太希は驚いた声で聞く。


「ねぇ。同棲ルールにもう1つ追加してもいい?」


「え?」


「出かける前に私に優しくキスする事。」


そう言うと水樹は目を閉じる。


そんな水樹に太希は優しくキスをする。


「ありがとう。行ってらっしゃい。」


そう嬉しそうに微笑みながら水樹は太希を見送る。


「行ってきます。」


そう返事を返すと太希は家を出る。



太希が働いているのは近所のスーパーである。名前は“業績ぎょうせきスーパー”。


「おはようございます。」


そう挨拶あいさつをしながら太希はスタッフルームに入る。


そんな太希にスタッフルームに居た3人の従業員達が挨拶を返す。


その挨拶を聞きながら太希は自分のロッカーの前に立つ。そして、ロッカーの中に荷物を入れ、エプロンを取り出す。


そんな太希の後ろから「おはようございます」と女性の声が聞こえる。


その声に太希が振り返ると1人の女性がスタッフルームに入ってくる所だった。


彼女の名前は四条しじょう七海ななみ

水樹の幼なじみで太希とは高校の時の同級生でもある。


「四条。おはよう。」


そう太希が挨拶を返す。


「おはよう。聞いたわよ。」


「なにを?」


「水樹と同棲始めたんだって?」


そう七海が言うと近くに居た女性従業員が反応する。


「同棲?!彼女とですか?!」


そう女性従業員は食いぎみに尋ねる。


「う、うん。そうだよ。」


そう太希は少し女性から身を離して答える。


「詳しく。詳しく聞かせてください。」


そう女性従業員は興味津々である。


「お、おい。四条、ヘルプ。」


そう太希が七海に助けを求める。


「頑張って~。」


そう七海は冷たく太希をつきはなすとスタッフルームを出て行く。



「へぇ。そんな事があったんだ。」


そう夕飯を食べながら話を聞いていた水樹が言葉を返す。


「なぜあんなに他人の恋愛に興味を持てるんだ?女は。」


そう太希は理解できないと言った感じで口にする。


「う~ん。共感する能力が男より高いからじゃない?」


「え?」


「つまりは他人の幸せに触れて自分も幸せな気持ちになりたいのよ。

まぁ、私個人の意見だけどね。」


そう水樹は優しく微笑む。


「なるほど。それも一理いちりありそうだな。」


そう太希は言葉を返す。


そして、2人は楽しそうに笑い合う。


太希と水樹の幸せな同棲生活はそれから4ヶ月ほど続く。


そして…あのの日がやってくる。

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