最終話
戦いが終わり、静寂が宇宙を包んでいた。セリーヌ・ブラックホールとの戦いは一段落したが、彼女が脱出したことで、僕たちは完全な勝利を掴んだわけではない。
しかし、今は目の前にある平和を喜ぶべきだろう。
「カイ様、本当にお疲れ様でした」
リンが微笑みながら僕に声をかけてきた。
彼女の顔には安堵の表情が浮かんでいる。
フェイも、エリスも、ライラもそれぞれ疲れた様子だったが、全員が達成感に満ちていた。
「これで一息つけるな」
ライラが深呼吸をし、肩の力を抜いた。戦いが激しかっただけに、彼女も緊張を解いているようだった。僕は彼女たちの表情を見て、少しほっとした。
「そうだな、まずはこの勝利を喜ぼう」
僕も彼女たちに微笑み返し、みんなの顔を見渡した。彼女たちと一緒にここまで来れたことが、何よりの喜びだった。
アラタ王国の母上の元に戻った僕たちは、戦いが終わったことを報告した。
「カイ、本当にお疲れ様。セリーヌを追い払ったことで、しばらくは安心できるわね」
母上は温かい笑顔を浮かべ、僕を労ってくれた。その言葉に僕は一瞬、緊張が解けた気がしたが、次に母上が言った言葉が僕を再び現実に引き戻した。
「ただし、セリーヌはまだ逃げたまま。彼女がまた戻ってくる可能性がある以上、油断はできないわ」
そうだ、僕たちは一度勝利を収めたものの、セリーヌが再び攻撃を仕掛けてくる可能性は十分にある。それを考えると、僕たちは次の戦いに備える必要があった。
その夜、僕は宇宙を見上げながら考えていた。セリーヌの言葉が頭をよぎる。
彼女は銀河の覇権を狙い、僕たちの技術を手に入れようとしていた。そして、彼女が言った「次に会うとき」がいつか来ることも間違いないだろう。
「カイ様、ここにいらっしゃいましたか」
リンの声が静かに響いた。振り返ると、彼女が僕の隣に立っていた。
「リン、どうした?」
「カイ様、何かお考えのようでしたので、少し心配になりまして」
彼女は僕の考えを読み取るかのように優しい表情で僕を見つめている。僕は少し笑って、彼女に答えた。
「ただ、これからのことを考えていたんだ。僕たちの戦いは、まだ終わっていない。セリーヌはいつか戻ってくるだろうし、その時に備えなきゃならない」
僕は宇宙を見つめ続けた。次に彼女が攻めてきた時、今以上の力が必要になるだろう。そして、その時には僕たちはもっと強くならなければならない。
「そうですね。でも、カイ様はこれまでに多くの技術を開発し、私たちの星を守ってくださいました。きっと次の戦いでも、私たちは勝つことができると信じています」
リンの言葉は、僕にとって大きな励みだった。彼女の言葉があったからこそ、僕はこれまでやってこられたし、これからも戦い抜く覚悟ができる。
「ありがとう、リン。君たちがいるから、僕はここまで来られた。これからも、よろしく頼むよ」
僕は彼女に感謝の言葉を伝えた。リンは微笑み、僕の手を取って軽く握った。
♢
数日後、アラタ王国では新たな船団を編成する準備が始まっていた。
僕たちは新たな脅威に備え、さらなる技術開発に取り組むことになるだろう。これからも僕たちは挑戦を続け、銀河の平和を守るために戦い続ける。
しかし、その前に僕たちには一つの選択があった。オリヴィアや他の仲間たちとの関係だ。僕が彼女たちの思いをどのように受け止めるか、そして彼女たちとどのように未来を築いていくか。
「さて、これからはどうしようか」
僕は自分の未来を見据えながら、ゆっくりと歩き出した。
これが、僕たちの新しい未来の始まりだ。銀河を守りながら、僕自身もまた成長していく。そして、僕の仲間たちと共に、さらなる冒険が待っているだろう。
異星メカニクス - 貞操逆転の宇宙戦記 イコ @fhail
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