第30話 女性たちのアピール合戦
オリヴィアが僕の陣営に加わったことで、これまで僕を支えてくれていた女性たちの態度が変わり始めた。
「今はただのオリヴィアですわ。よろしくお願いしますわ! オーホッホッホ!!!」
オリヴィアは勝ち誇る様子で、僕の腕を組んだ。
その大きな胸と、ふわふわの髪から良い香りがする。
ただ、このオリヴィアの態度がいけなかったのか、それまで丁度良い距離感を保っていた。
彼女たちはそれぞれが僕に対するアピールが強くなった。
それぞれ自分の存在感を示そうとしていた。まるでオリヴィアの登場が、彼女たちの心に火をつけ、僕に対する感情を表に出すきっかけになったようだった。
「カイ様! 今日の訓練、私が一番だったでしょ?」
パイロットのライラは、オリヴィアが来てから何かと一番にこだわるようになった。
相変わらず自信満々の態度で僕に近づいて、自分の得意な戦闘に対しては非常に勝気で、オリヴィアに負けたくないという思いが強いようだった。
訓練では常に一番になろうとし、僕の注目を引こうとしていた。
「ライラ、今日は確かに一番だったよ。素晴らしい動きだった」
僕が彼女を褒めると、ライラは得意げに大きな胸を張り、僕の前で体を揺らしてアピールしてくる。
「でしょ? 私が一番だから、カイ様も私に注目してくれないと困るぜ。オリヴィアなんかに負けないんだからな!」
ライラはいつも強気だが、僕に対する感情も他よりも直接的で明らかに強い。
それをオリヴィアに見せつけるかのように、彼女は僕に積極的にアピールしていた。
♢
「カイ様、少し休憩しませんか? お茶を淹れました」
エリスは穏やかな様子で話しかけてくれるが、その内心には、オリヴィアに対する優越感が見え隠れしていた。
彼女はあまり感情を表に出さないものの、僕に対する思いは確かに強く、常に冷静な振る舞いで僕を支えてきた。
「ありがとう、エリス。君のお茶はいつも美味しいよ」
僕が感謝の言葉を口にすると、エリスは微かに微笑みながら、僕にお茶を差し出した。細身で慎ましやかな彼女は胸ではなく、僕の膝に座って、そのお尻の柔らかさと温かさを伝えてくる。
「オリヴィアは確かに強いですが、彼女のように感情を振り回す人は、いつかミスをするでしょう。私は、カイ様に安定を提供したいと思っています」
エリスはお茶と心の癒しを提供しようとしているようだが、お尻の感触に癒しよりも興奮を提供されてしまっている。
僕の足に座ったまま可愛い瞳で、じっと見つめてくるのは反則だと思う。
彼女の落ち着いた態度とのギャップがなかなかにくるものがある。
他の女性たちと異なるアプローチだったが、それがかえって彼女の魅力を際立たせていた。
♢
「カ、カイ様…今日の訓練、どうだったでしょうか…?」
フェイは内気で恥ずかしがり屋なので、他の二人に比べればアプローチは少なめなのだが、もっとも大きな胸をもつ彼女は、存在自体が目線に困ってしまう。
そして、彼女はパイロット技術では、ライラよりも繊細で、オリヴィアを凌駕している。
最近は少しずつ僕に積極的に話しかけるようになっていた。
彼女は訓練でいつも頑張っているが、オリヴィアの存在が彼女にとっては大きなプレッシャーになっていたようだ。
「フェイ、いつも頑張っているね。動きも良くなってきてるし、成長してるのが分かるよ。それに今の僕の陣営では君がエースだと思うよ」
僕が優しく声をかけると、フェイは真っ赤になりながらも、少し嬉しそうに微笑んだ。
「よ、よかったです…でも、私、まだまだ頑張ります…カイ様にもっと認めてもらいたいから…」
フェイは恥ずかしそうに顔を伏せながらも、僕に対する思いを少しずつ表に出してきた。彼女の控えめな態度は他の女性たちとは違い、その純粋さが逆に僕の心に響いていた。
パイロットたちの技術だけでなく、それとなく自らの肉体を近づけて、アピールしてくる仕草にドギマギさせられながら、日々の業務がちょっとピンク色になりつつあるよう思えてならない。
「カイ様、今日は新しい技術の研究が進展しました。ぜひ見てください!」
そんな際にもリンは研究を提示してくれるので気持ちを切り替えさせてくれる。
リンの知識はやっぱり凄いので、僕を研究者へと引きずり戻してくれる。
彼女は僕の研究をずっとサポートしてくれており、その知識と技術力はアラタ一といってもいい。
「リン、君がいなければ、ここまで研究が進まなかったよ。本当にありがとう」
僕が感謝すると、リンは少しだけ顔を赤くして、満足そうに笑った。
最近は反応速度の向上は望めていないが、今回の宇宙戦で思ったことを書き出して、リンと共に宇宙船開発に乗り出そうと思っている。
これまでとは異なる規模の宇宙船を作るつもりなので、魔導ロボット以上の価値があると思う。
どうしても魔導ロボットはパイロットの腕に重要性が高い。
だが、宇宙船を開発することで、多くの人たちの移動手段になって、また安全に戦争が行えるようになれば、アラタの民を守ることにも繋がるはずだ。
「もちろんです。私がカイ様の一番のサポーターですから。オリヴィアには負けませんよ。知識で勝負するなら、私が一番です」
オリヴィアは研究の方には口を出してはいないが、リンなりの意地があるのかもしれない。
リンは自分の強みを最大限に活かし、僕に対して常に知識と技術でアピールしてきた。彼女の存在は僕にとって欠かせないものだった。
女性たちからのアピールは僕の心を疲れさせている。
女王である母上に言えば、全員を嫁にするなり手を出してしまえばいいと言われそうだ。
「カイ様、お疲れ様です。今日の訓練で疲れたでしょう? マッサージをして差し上げます」
部屋に戻ればミカが僕の側でいつも献身的に支えてくれる。
彼女はオリヴィアが現れた後も、僕の世話を焼くことを欠かさなかった。
その優しさは、僕にとってとても癒しになっている。
「ありがとう、ミカ。君のおかげで毎日が楽になるよ」
ミカは微笑みながら、僕はベッドに横になって、マッサージをしてもらう。
研究中に資料を読み漁っているとどうしても肩は痛くなるし、腰も辛くなる。
そんな時に彼女のマッサージは凄く心地よい。
「カイ様、振り返ってはダメですよ」
「えっ?」
なぜ? そう思ってこっそりと視線を向ければ、メイド服を脱いで、ネグリジェ姿のミカが、ゆっくりと僕の上に跨り、マッサージをしていた。
その姿は動きやすさを重視しているのだろうが、ドキドキとさせられてしまう。
彼女の手は柔らかく、その献身的な態度が僕の疲れを癒してくれるのだが、その日はどうしても違う部分が元気になってしまう。
「オリヴィアがどれだけ優秀でも、私はずっとカイ様のそばにいますからね。誰にも負けません」
どうやら、彼女もオリヴィアに刺激を受けたようだ。
いつもは控えめな彼女が、僕への強い忠誠心を持ったまま刺激的なマッサージをしてきていた。
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