第22話 パイロットの発表
パイロット選手権が終わり、運動会もついにクライマックスを迎えていた。
選手たちは数々の厳しい競技を経て、その実力を存分に発揮してきた。疲労が漂う中、僕は運動会の最後を締めくくるため、専属パイロットの発表を行うべく壇上に立った。
「さて、これよりカイ王子専属のパイロットを発表いたします」
リンの声に、会場が再び静まり返った。
緊張感が漂い、参加者たちは固唾を飲んで僕の口から発表される結果を待っていた。僕は深呼吸をしてから、ゆっくりと結果を告げた。
「まず最初に一人目、ライラ・ヴァンデル」
ライラはその名前を聞くと、驚きと喜びの表情を見せ、すぐに前へと進み出た。
彼女は今まで誰よりもスピードに優れ、体力も突出していた。僕の専属パイロットとして彼女が選ばれたのは、当然と言っていいだろう。
「ライラ、君は僕のパイロットとして、今後もその能力を生かしてくれることを期待しているよ」
「はい!カイ様、全力でサポートさせていただきます!」
ライラは力強く頷き、その瞳は燃えるように輝いていた。
「次に二人目は、エリス・シュトラウス」
エリスは冷静で安定した判断力が光っていた。彼女の落ち着いた態度と、鋭い洞察力は、まさに戦場で必要な資質を持っている。
「エリス、君の冷静さと判断力にはいつも感心させられている。今回の全競技で好成績を収めて全ての能力値が高かった。これからもその強みを発揮してくれ」
「ありがとうございます、カイ様。常に最善の判断を下せるよう努力いたします」
エリスは控えめながらも自信に満ちた表情で、一礼した。
「そして、優勝者は君だよ。フェイ・アルトマン」
フェイの名前が呼ばれると、彼女は驚きながらも嬉しそうに前に進み出た。射撃の正確さとパイロットの腕前は、フェイでオリヴィアに匹敵するほどであり、この選手権で見事な成績を収めていた。
「フェイ、君の射撃の腕前は素晴らしかった。僕の専属パイロットとして、これからもその技術を磨いてくれ。優勝おめでとう」
「ありがとうございます…! カイ様にそう言っていただけて、とても嬉しいです。これからも全力で頑張ります!」
フェイは頬を赤らめながらも、感激した表情で深くお辞儀をした。
三人の研修生たちが正式に僕の専属パイロットに任命されたところで、会場全体が一度拍手と歓声に包まれた。
しかし、まだ一人、僕には発表する名前が残っていた。
「そして最後に、もう一人、パイロットを発表します」
会場が再び静まり返る。僕はその視線をステージの脇にいた、まだ名前を呼ばれていない一人の女性に向けた。
「シラユキ・ヨミ、君だ」
シラユキ・ヨミは、氷のように冷たい表情を持つ、不思議な雰囲気をまとった女性だった。
彼女の特徴的な狐の耳が揺れ、会場全体に少しざわめきが広がった。今まで競技の中で目立つことは少なかったが、彼女の実力は三人やオリヴィアに並ぶものがある。
その見た目の美しさと神秘的なオーラに、多くの者が惹きつけられていたが、何よりも彼女の冷静さと鋭い感覚が評価されていた。
「シラユキさん、君は常に冷静で、魔力のコントロールも完璧だった。君の能力は、僕のチームにとって重要な役割を果たすと思う」
シラユキは無表情のまま、淡々と僕の方へ歩み寄ると、冷たい声で静かに応えた。
「ありがとうございます。カイ王子の期待に応えられるよう、全力を尽くします」
彼女の声には感情の起伏が感じられず、まるで機械のように正確だった。
しかし、その冷徹さの裏に秘められた実力は疑いようがなかった。
こうして、僕の専属パイロットとしてライラ、エリス、フェイ、そしてシラユキを加えた四人が選ばれた。
彼女たちはそれぞれ異なる強みを持っており、僕のチームとして今後の研究に協力してもらえるだろう。
僕は壇上で彼女たちを見つめながら、この先の研究が楽しみで仕方ない。
心を新たにして、彼女たちの力を最大限に引き出し、僕の技術を生かして共に未来を切り拓いていくことが、今後の僕の役目だと強く感じていた。
「これから、僕たちで新しい未来を作り上げていこう」
僕がそう呼びかけると、四人は力強く頷き、それぞれの決意を胸に刻み込んだ。
「「「「はい!」」」」
こうして、僕の専属パイロットを四人。リンとミカを交えた六人が僕の研究を協力してくれようになった。
既存のパイロットたちも、三人の能力が高いことは認めてくれたようなので、十分に意味のある大会だったと思う。
何もより、それぞれの能力が把握できたことで、新たな職場を斡旋された者たちも多くいて、大会を開いた意味はアラタの国とってはよりより人材発掘につながったようだ。
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