第20話 女性ばかりの大運動会 終
最終競技:魔導ロボットタイムアタック
運動会もいよいよ最終競技を迎えた。
候補生たちがこれまでの種目で体力も魔力も消耗している中、僕は新たな期待と少しの緊張感を胸に抱いていた。
この競技は、僕が開発した魔導ロボットではなく、既存の魔導ロボットを使ってのタイムアタックだ。
つまり、これまで体力面で劣っていた物たちにも技術という自分の一番自信のある種目を披露できる。
三人の候補生たちを超えるようにベテランの技術を見せてほしいというのが本音でもある。
また、自身の魔力量を使うので、操作だけでなく、魔力で作り出した武器を使うので、そちらにも興味がある。
それぞれの魔法で作り出した武器で、決められたターゲットを破壊しながらコースを走破していくのだ。
「次の競技は、魔導ロボットを使ったタイムアタックです。皆さんには、自身の魔力武器を使ってターゲットを破壊し、いかに早くゴールに戻れるかを競ってもらいます」
僕が説明すると、疲労が見える候補生たちの顔に、再び集中した表情が戻ってきた。
今までの競技で彼女たちは十分に実力を発揮してきたが、この最終競技は魔力の使い方が勝敗を決定づける。
魔力を効率よく消費しながら正確にターゲットを破壊し、さらに速さを競わなければならない。これは誰もが容易にクリアできるものではない。
「それでは、準備が整い次第、スタートしてください!」
僕が声をかけると、各候補生たちは既存の魔導ロボットに乗り込み、自分の魔力でそれを操作し始めた。
ロボットの機体はそれぞれのパイロットに応じてメカニックたちが調整しているが、魔力を適切に使いこなせないとすぐにリタイアすることになる。
競技が始まり、最初のターゲットに対して候補生たちは魔力武器を放ち、次々と破壊していった。
最初はみんな順調に進んでいるように見えたが、コースの中盤に差し掛かると、魔力切れの兆候が次々と現れ始めた。
「これは厳しい…」
一人、また一人と候補生たちが魔力を使い果たし、魔導ロボットが停止してリタイアしていく。
消耗戦のような展開となり、残りの参加者たちは魔力の節約とタイミングを慎重に計りながら進んでいた。
フェイ、エリス、ライラ、そしてあの金髪の縦巻きロールの美女だけが、次々とターゲットを破壊し、ゴールを目指して突き進んでいた。
「フェイ、エリス、ライラ、頑張れ…!」
僕は彼女たちの姿に声援を送りながら、最終局面に向けて心の中で期待を膨らませた。
しかし、コース終盤で次々と候補生たちの魔力が尽きていく中、最終的にゴールにたどり着いたのは、わずか四人だった。
フェイ、エリス、ライラ、そして…金髪の縦巻きロールの美女。
「…最後まで残ったのはこの四人か」
ゴールにたどり着いた彼女たちは、疲れ果てた表情を見せながらも、達成感に満ちていた。
フェイは魔力をうまくコントロールしながら、最後まで集中力を切らさず走り切った。一方、エリスとライラもその冷静な判断力と瞬発力で見事にコースをクリアした。
しかし、最も目を引いたのは、やはり金髪の縦巻きロールの美女だった。
彼女は最後のターゲットを破壊し、堂々とゴールラインを切った。
その姿はまるで勝利を予感していたかのような自信に満ちていた。
「それでは、最終競技の結果を発表します」
僕が壇上に立ち、最終的な順位を発表しようとした時、空気が張り詰めた。
「今回の最終競技、優勝者は…」
会場が静まり返る中、僕はゆっくりと結果を口にした。
「…金髪の縦巻きロールの美女、あなたです!」
発表された瞬間、彼女は満足げな微笑みを浮かべ、優雅に僕の方へ歩み寄った。
何かを決心したかのような彼女の目には、強い意志が宿っていた。
「カイ王子様…ようやく私の正体をお話しする時が来たようです」
彼女は静かに言葉を紡ぎ始めた。僕は思わず目を見張り、その場に釘付けになった。
「私は、隣の星の王族…オリヴィア・セリア・ヴァンフォード。ずっとあなたにお会いしたいと思っておりました」
その言葉を聞いて、僕は一瞬言葉を失った。まさか彼女が隣の星の王女様だとは夢にも思わなかった。
「ヴァンフォード王女様?! 隣の星の王女様だなんて…」
彼女は優雅に頭を下げ、再び僕を見つめた。
「カイ王子様、私はあなたの技術力とその素晴らしい人柄に惹かれております。そして、隣国としても私たちの未来を共に歩んでいただきたく思います。どうか、私のお婿さんになってくださいませんか?」
「お婿さん!」
「はい。私からの婚約をお受けください」
僕は驚きと戸惑いの中で彼女を見つめた。まさか運動会の最終競技の結果が、こんな形で新たな展開を生むとは思ってもみなかった。
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