第18話 女性ばかりの大運動会 3

 第三競技:水中競技


 第二種目が終わり、候補生たちは一息つく間もなく、次の競技の準備が始まっていた。


 僕は再び壇上に立ち、彼女たちの様子を見守っている。


 次の競技は水着を着て行うもので、プールが舞台となる。

 

 第一競技は反射神経。第二競技は身体能力チェック。

 そして、第三競技ではバランス感覚が試される。


「次の種目は、水中競技と水上戦闘です。みなさん、水着に着替えてプールサイドに集合してください」


 僕がそう告げると、候補生たちはそれぞれ指定された更衣室に向かい、準備を始めた。僕は一瞬、彼女たちがどんな水着を着てくるのか想像してしまい、慌ててその考えを振り払った。


「カイ様、次の競技も準備が整っています。水中競技では、地面ではないバランスの悪い場所で彼女たちの体幹の強さと、バランス感覚を試します。そして水上戦闘では瞬発力と戦術を試されます」


 リンが詳細な説明をしてくれた。


「ありがとう、リン。しっかり見届けるよ」


 ほどなくして、候補生たちが水着に着替えてプールサイドに集合した。

 彼女たちが揃ったところで、僕は改めて説明を始めることにした。


「さて、皆さん、次の種目ではまず水中競技から始めます。プールを何度も往復することで、皆さんの持久力と機敏さを測定します。その後、水上での戦闘競技に移行します。水上でのバランス感覚や、戦闘中の冷静さが重要になります」


 僕がそう説明すると、候補生たちの中には少し不安そうな顔をする者もいたが、皆やる気に満ちた表情で頷いていた。


「それでは、まずは水中競技を始めます。皆さん、プールに入って準備をしてください」


 候補生たちは次々とプールに飛び込み、スタート地点に並んだ。


 彼女たちの水着姿は思いのほか目を引いた。中には大胆なデザインのものもあり、僕は再び視線をどこに向ければいいのか迷ってしまう。


 こちらで用意したもののはずなのに、なぜ派手な物や際どい水着が多いのだろう。


「うわぁ…これ、目のやり場に困るな…」


 しかし、競技は始まる。僕は気を取り直し、心を集中させた。


「よーい、スタート!」


 僕の掛け声とともに、候補生たちは一斉に水中競技を開始した。


 プールの水面が激しく波立ち、彼女たちは一心不乱に泳ぎ始めた。


 最初のラウンドでは、純粋な泳力が試される。ライラがその得意な体力を活かし、先頭を泳いでいた。彼女は水を切るように進み、他の候補生たちを圧倒していた。


「さすがライラ、スピードは抜群だな…」


 しかし、その後ろでエリスが冷静にペースを上げ始めた。

 彼女は最初こそ控えめにスタートしたが、徐々にスピードを上げ、ライラとの差を詰め始めた。持久力ではエリスの方が上かな。


「エリス、やるな…戦術的だ」


 エリスは戦場での冷静な判断力を活かし、他の候補生たちが疲れてくるタイミングを見計らってペースを上げている。彼女のストロークは力強く、的確だった。


 一方、フェイはその少し後ろで懸命に泳いでいた。


 彼女はスピードこそ二人には劣るものの、丁寧な泳ぎのフォームが非常に美しく、水面に上がるたびに浮き上がる乳袋が躍動的だった。


 彼女は水中でのバランス感覚に優れており、スムーズにプールを進んでいく。


「フェイも悪くない…彼女のバランス感覚は素晴らしいな」


 泳ぎが進むにつれて、候補生たちの間に徐々に差が出始めた。


 ライラが依然として先頭をキープしているが、エリスがそのすぐ後ろにつけている。そしてフェイも遅れを取りながらも、自分のペースで泳ぎ続けていた。


 ここでも三人が抜きん出ていることが窺える。


 プールを何往復も繰り返す中で、候補生たちの疲労が見え始めた。中には水着がずれてしまう者もいて、プールサイドからは野次が上がっていた。


「やばい…ポロリが起きてる…」


 女性ばかりなので、気にしていないようだけど、僕は一瞬顔を赤らめた。


 すぐに競技に集中するよう努めた。なるべくガン見する!


 水中競技が終盤に差し掛かると、エリスが一気にスパートをかけ、ライラに迫る。 二人はほぼ同時にゴールに飛び込み、最後までどちらが勝ったのか分からないほど接戦だった。


「エリス、最後に追いついた…! 二人ともすごいな」


 その後、フェイも無事にゴールに到達し、彼女は息を整えながら笑顔を見せた。

 彼女もまた、自分のペースを守り切ったことに満足している様子だった。


「みんな、よく頑張った! 次は水上戦闘だ!」


 僕は彼女たちに休む間もなく、次の競技の準備を始めるように指示を出した。

 候補生たちはプールから上がり、今度は水上での戦闘に備える。


 ♢


 次のステージは、水上に浮かぶ特別な装置の上で行われる。


 これはまるで浮かぶリングのようなもので、候補生たちはここでバランスを保ちながら、戦闘技術を競うことになる。


「次は、水上戦闘です。この装置は不安定に揺れるよう設計されており、ここでバランスを保ちながら戦闘を行うことが求められます。一対一で相手を水中に落とせば勝ちです。両者同時に落ちた際には、先に水面についた方を負けとします」


 リンが装置の説明をしてくれた。


 この装置は、戦場での不安定な足場や、予期せぬ状況下での冷静さを試すためのものだ。


 候補生たちは装置の上に立ち、僕の指示を待っていた。


 水着のままで行うため、先ほどよりも水着がハダケるリスクが高い!


「それでは、水上戦闘を始めます! 用意…スタート!」


 合図と同時に、候補生たちはそれぞれ戦闘体勢に入った。


 まずはライラとエリスが対戦することになった。


 ライラはそのスピードを活かしてエリスに素早く攻撃を仕掛ける。

 

 しかし、エリスはその冷静さでライラの動きを見極め、巧みに防御していた。


「ライラ、スピードはいいけど…エリスも冷静だな…」


 戦闘が進むにつれて、装置はますます不安定になり、二人は必死にバランスを取りながら戦い続けた。


 エリスはライラの攻撃をかわすだけでなく、反撃も繰り出し、ライラをじりじりと追い詰めていく。


 そして、ライラが一瞬の隙を見せたその瞬間、エリスは見事なタイミングで反撃し、ライラはバランスを崩してプールに落ちてしまった。


「エリスの勝ちか…見事だな!」


 次に、フェイが金髪縦巻きロールの美女と対戦することになった。


 フェイはそのバランス感覚を活かし、最初は慎重に金髪縦巻きロール美女の動きを観察していた。


 金髪縦巻きロール美女が攻撃を仕掛けるが、フェイはそれをスムーズにかわして、絶妙なバランスで装置の上に留まっていた。


「フェイ、すごい…バランス感覚が光るな」


 そして、金髪縦巻きロール美女が再び攻撃を仕掛けようとした瞬間、フェイは素早く反撃し、金髪縦巻きロール美女をプールに落とすことに成功した。


「フェイの勝ちだ! このバランス感覚は武器になるな」


 最終的に、エリスとフェイがそれぞれの強みを発揮してこの水上戦闘を制した。

 彼女たちの冷静さとバランス感覚が、この種目での勝利をもたらしたのだ。


「みんな、素晴らしいパフォーマンスだった! 特にエリスとフェイ、君たちの技術は見事だったよ」


 僕は彼女たちを称賛しながら、次の種目に向けて気持ちを切り替えた。


 まだまだ運動会は続く。この先、どんなドラマが待っているのか、僕は期待と不安を胸に抱きつつ、再び壇上に立った。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る