第16話 女性ばかりの大運動会 1
《sideカイ・アラタ》
開会式
僕、カイ・アラタは、母さん…女王の命により、アラタ全土から集まったパイロット候補生たちを前にしていた。
今日は、彼女たちの中から未来の僕専属パイロットを選抜するための特別な運動会が開催される。僕がその開会式で挨拶をする役割を担っている。
広場には数百人の女性たちが集まっていて、その全員が僕の登場を心待ちにしているのが感じられた。
壇上に上がると、すぐに無数の目が僕に集中し、そして瞬く間に歓声が沸き起こった。
「カイ王子様! 素敵!」
「なんてイケメンなの!」
「カイ様、私を見て!」
高らかに響く女性たちの声援が、僕の周りを包み込む。
ピンク色の声援が飛び交う中、僕は少し照れくさそうに微笑んで、手を軽く振った。
「みなさん、今日はこのパイロット選抜に参加してくださってありがとうございます」
僕がマイクを通して声を発すると、さらなる歓声が広場を覆った。言葉を続けようとすると、興奮した女性たちがまたもや声を上げる。
「カイ様、カッコいい!」
「どうしてこんなに素敵なの!」
「抱いてー!!!」
僕はなんとか落ち着いて挨拶を続けようと、微笑みを浮かべたまま言葉を紡ぐ。
「今日は、このパイロット選抜を通じて、皆さんの中から未来の専属パイロットを選抜することになります。選抜された方々は、アラタの未来を担う重要な役割を果たすことになりますので、ぜひ全力を尽くして競技に臨んでください」
僕の真剣な言葉に、少しずつ会場が静かになり、女性たちの集中が僕の言葉に向けられた。
「また、この運動会は皆さんが自分の力を試し、成長する機会でもあります。失敗を恐れず、挑戦することが大切です。皆さんが持つ力を存分に発揮し、アラタの未来を輝かせてください」
僕がそう言うと、女性たちの間から感動のため息が漏れ、再びピンク色の声援が湧き上がった。
「カイ様、素晴らしい!」
「頑張ります!」
「私も全力で挑みます!」
「お嫁さんにして〜!!!」
僕は再び手を振り、彼女たちの熱い視線を受け止めながら、最後の一言を付け加えた。
「それでは、アラタの未来を担うパイロット選抜運動会、始めます!」
僕の宣言と同時に、会場は再び歓声に包まれ、女性たちの熱気が一層高まった。
その中で、僕は少し誇らしい気持ちで壇上から降り、これから始まる運動会の展開を期待していた。
女性たちがピンク色の声援を送り続ける中、僕はこれからの競技を心から楽しみにしていた。若干、ここまで熱烈なラブコールを受けるとは思わなかった。
♢
第一種目、高速反射テスト
開会式が無事に終わり、会場には選抜試験の第一種目が開始される緊張感が漂っていた。
僕は再び壇上に立ち、マイクを握りしめて、女性たちに向かって第一種目の説明を始めた。
「さて、皆さん、これから第一種目を始めます。第一種目は、高速反射テストです」
僕の言葉に、会場がざわめく。
候補生たちの間には緊張が走り、真剣な表情が浮かび上がった。
「この種目では、パイロットとして最も重要な能力の一つである反射神経を測ります。戦場では、一瞬の判断が生死を分けることもあります。このテストでは、皆さんの瞬発力と判断力を試します」
僕が説明を続けると、後ろでリンが用意した装置がスクリーンに映し出された。
最新鋭の反応速度測定装置で、これは単に速さを測るだけでなく、光や音に対して瞬時に反応し、さらに色や音の違いによって異なるアクションを取る必要がある仕組みになっている。
「皆さんには、この装置を使っていくつかの課題に挑戦してもらいます。ランダムに表示される光や音に対して、正確に対応することが求められます。反射速度だけでなく、判断力も同時に測定されますので、しっかりと集中して挑んでください」
候補生たちはそれぞれ指定されたポイントに移動し、スタンバイを始めた。
彼女たちの表情は真剣そのもので、緊張がピークに達しているのが感じられた。
「今回の採点は、最新の科学技術を用いて行われます。反応速度はミリ秒単位で測定され、正確さや判断力もスコア化されます。これにより、各候補生の実力を公平に評価することができます」
リンが詳細な説明を加えると、候補生たちはそれぞれに深呼吸をし、集中力を高めているのが見て取れた。
僕自身も、この装置を使ったテストには期待していた。
新しい技術がどれほどの精度で彼女たちの能力を測定できるのか、それを確認するのは僕自身も楽しみだった。
「それでは、準備が整ったようなので、始めましょう。全員、スタンバイしてください」
僕が合図をすると、スクリーンに映し出された装置が作動し始めた。
画面には様々な色の光が点滅し、音が鳴り響く。
候補生たちはそれぞれの位置に立ち、全神経を集中させてその反応を待っていた。
「よーい、スタート!」
僕の掛け声と共に、テストが開始された。
各候補生たちは光や音に瞬時に反応し、指定されたアクションを次々とこなしていく。その動きは驚くほど速く、まさにパイロットにふさわしい瞬発力が求められているのが分かる。
「すごい…みんな真剣だ…」
僕は彼女たちの動きを見守りながら、感心していた。
特にライラの動きは目を引いた。
彼女は光や音に対して全く迷いなく反応し、そのスピードと正確さは際立っていた。
「ライラ…やっぱりただ者じゃないな…」
その一方で、エリスは冷静に色と音を分析し、的確にボタンを押している。
その動作には一切の無駄がなく、まるで戦場での指揮官のような冷静さが感じられた。
「さすがエリスだな…冷静な判断力は一級品だ」
フェイは少し緊張しながらも、一生懸命に集中してテストに取り組んでいた。
彼女の反応速度はそれほど速くはないが、その正確さは他の候補生たちにも引けを取らなかった。
「フェイも頑張ってる…すごい集中力だ」
テストが進むにつれ、候補生たちの間で明らかな差が出始めた。
反応が遅れたり、判断を誤ったりする者もいたが、全体的に高いレベルでの競争が繰り広げられていた。
やがて、全員がテストを終え、スクリーンにそれぞれのスコアが表示された。その瞬間、広場は再び歓声とざわめきに包まれた。
「ライラ、エリス、フェイの三人がトップか…やっぱり強いな」
僕はスクリーンに表示されたスコアを見ながら、彼女たちの実力に改めて感心した。
そして、彼女たちの成長を感じつつも、次の種目に向けて気持ちを切り替えた。
「皆さん、第一種目の結果はご覧の通りです。次の種目でも引き続き頑張ってください!」
僕がそう告げると、候補生たちはそれぞれに次の種目に向けて準備を始めた。まだ運動会は始まったばかりだ。
彼女たちの中から、未来のパイロットが誕生する瞬間を見届けるために、僕もさらに気を引き締めていた。
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