第13話 気になる

 研究に没頭している間に二年の月日が流れた。


 アラタの空は相変わらず美しかった。


 だけど、格納庫の中で忙しく働く人々の姿には、確かな変化が見られた。


 リンは短かった髪を伸ばして、作業着の上に白衣を纏うようになった。

 

 さらに洗練された研究者としての姿を見せていた。


 僕が研究した代表も務めてくれている。以前よりも堂々とした雰囲気が漂い、メガネの奥で鋭い眼差しが輝いている。


 技術者としての成長は目覚ましく、僕の助手として、技術やアイデアを形にするために全力を尽くしてくれている。


 ミカもまた、大きな成長を遂げていた。


 ミカと、リンは同い年なんだけど、二人ともこの二年で大人の女性として雰囲気が変わって成長してしまった。


 今では、僕の専属メイドとしてしっかりとした自信を持ち、僕の身の回りだけでなく、リンやパイロットたちの面倒をみるお姉さん的存在だ。


 何事も手際よく作業を進めるその姿には、二年間の経験が確実に生きていることが感じられた。


 彼女は今はメイドの立場を守って、控えめな態度を崩すことはない。

 リンとの連携は抜群で、研究の進展に大いに貢献してくれている。


「よう、カイ。こんな感じでいいか?」


 ライラは背が伸び、ボーイッシュさは変わらないまま、引き締まった体と突き出した胸元が女性らしさのアンバラスさを際立たせていた。


 元々、露出は多い方だったけど、最近はピッチリとしたパイロットスーツが物凄い色気を発揮している。


 彼女の短髪は一層シャープになり、その凛々しい表情には、自信と決断力が感じられる。男勝りな性格はそのままだが、女性としての魅力も確実に増している。


 今は、僕の作り出す魔導ロボットの専属テストパイロットとして、その実力を存分に発揮してくれている。


 エリスはパイロットと研究者の二足の草鞋で、僕が使う武器や魔法について解析を担当してくれていた。


 元々冷静で落ち着いた雰囲気を持っていたけど、腰まで伸びた髪は、清楚な雰囲気と、クールな印象を与えてくる。


 ただ、その内に秘めた情熱は確かに存在する。


 ライラと違ってほっそりと慎ましやかながら、一番女性らしい雰囲気が強い。

 美しさに磨きがかかり、周囲の者たちを自然と引きつけるカリスマ性を持っている。


 フェイは依然として恥ずかしがり屋ではあるが、その可憐な魅力は一段と増していた。


 少し長くなった髪をゆるく結び、その内気な微笑みは周りを和ませる。


 ただ、五人の中で一番僕にとっては目のやり場に困ってしまう。


 胸やお尻など女性らしい成長が一番素晴らしく。

 パイロットとして鍛えているので、腰は細いと言うギャップが凄い目のやり場に困る。


 こっちの方が意識して緊張してしまうほどだ。


 フェイは遠距離武器のテストパイロットとして、最近は弓だけでなくスナイパーライフを作って何キロ先まで狙い撃てるのか挑戦する日々だ。


 他の者にはできないことをしてるからか、最近は少しずつ自信を持ち始めている。


 この二年間、僕は彼女たちと共に研究を進め、魔力消費を減らす新たな技術を開発することに成功していた。


 その副産物として、反応速度の向上が得られたが、僕自身はその変化を「些細なもの」と捉えていた。


「たった5%の向上なんて、大したことないよね。反応速度なんて、もっと劇的に改善できればいいんだけど…」


 開発の進捗をまとめた報告書を眺めながら、そう呟いた。


 だが、僕の言葉を聞いていたリンは、即座に反論してきた。


「カイ、それは違うわ。この5%の向上は、特にパイロットにとっては非常に大きな意味を持つの。戦場では、ほんの一瞬の違いが生死を分けることもあるんだから」


 ミカも同意する。


「そうですよ…カイ様、実際にテストしているのを見れば、パイロットではない私でもわかります」


 二人の言葉に少し考え込んだが、納得した様子で頷いた。


「分かったよ」


 テストが始まると、ライラ、エリス、フェイの三人はそれぞれの機体に乗り込み、新技術が施された魔導ロボットの動作確認を行った。


「よし、スタートするぜ!」


 ライラが興奮した声で通信を始めた。


 エリスは冷静に操作する。


「確かに、動作が滑らかになったわね。この5%の違い、戦場では大きなアドバンテージになるわ」


 感心した声を上げた。


 フェイも緊張しながらも魔導ロボットを試している。


「私…この新しい反応速度、すごく好きです…! 今までよりも、ずっと素早く動けるし…戦闘中の不安も減ると思います…」


 三人がそれぞれに感想を述べる中、ライラが再び声を上げた。


「カイ、これマジですげえぞ! 新人パイロットがこの機体に乗ったら、既存のベテランを凌駕するかもしれないくらいだ! あんた、天才だな!」


 カイは通信を聞きながら、少し照れくさそうに笑った。


「そう言われると嬉しいけど、まだまだ改良の余地はあると思うよ。でも、これで戦場での生存率が少しでも上がるなら、それで良かった」

「カイ、謙遜しなくていいわ。この技術は、今後の戦闘において間違いなく革命的なものよ。私たちの機体が他のどの機体よりも優れていると、自信を持って言えるわ」

「はい…カイ様の技術のおかげで、私たちはもっと安心して戦えると思います。ありがとうございます…」


 エリスとフェイにも褒められて、リンさんが通信に割り込む。


「カイ、みんなが言っているように、この5%の違いはとても重要よ。それに、この技術をさらに発展させていけば、もっと驚くような結果が得られるはず。これからも一緒に頑張ろうね!」


 カイは皆の言葉に感謝しながら、次のステップを考えていた。


 二年間の努力は確かに成果を上げている。


 年単位ではあるけど、自分で魔導ロボットを作り出せるところまではきた。


 十三歳になった体は思春期として、女性を意識するようになって、周りに綺麗だったり、可愛い子が多いのが本当に最近の悩みだよ。

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