第12話 武器の開発

 リンの態度があまりにも気の毒だったので、僕は母上から女性に対して興味を持つ、大切にしてあげてほしいと告げられたことを話した。


「そっ、そう。そう言うこと! ハァ〜なんだ」

「うん。それで、僕の近くにいる女性って、ミカとリンが、一番長くいるなって」

「ミカってメイドさんの?」

「うん。ミカも僕にとっては大切な人だけど、リンにはたくさんのことを教えてもらっているからね。次が、パイロットの三人かな?」 


 僕の言葉を聞いてなのか、リンは頬を赤く染めてしまった。

 

 この話はいつかしないといけないけど、今ではないかな? 僕はこれ以上問い詰めるのはやめて、武器を作ることにした。


 僕の目標は魔力に依存しない武器の開発だ。


 既存の魔導武器は強力だが、魔力を大量に消費するため、パイロットにとっては負担が大きすぎる。


 そこで、僕は前世で見たような科学技術を応用し、魔力を使わずに強力な攻撃を行える武器を考えた。


「これならどうだろう…?」


 僕は一つのアイデアをスケッチにしてみた。


「レイザーソード…?」


 名付けをリンが読んで、僕のスケッチを覗き込む。


「そう、レイザーソードだよ。これなら、魔力の代わりにエネルギーを集束して攻撃に転用できるんだ。しかも、従来の魔力を使わないから、パイロットの魔力消費が抑えられる」


 僕のアイデアにリンさんは目を輝かせた。


「面白そうね。今まで、なかった考え方だわ。どうしても魔力に依存してしまう傾向にある世の中で、これなら、魔力量が少ないパイロットでも扱えるわね。それに魔力切れを心配する必要がないものね」


 僕たちはすぐにレイザーソードの設計に取りかかった。


 前世、仕組みを参考にしつつ、魔力ではなく純粋なエネルギーを利用して刃を形成するように改良を加えた。


 エネルギーの供給源として、小型で高効率なエネルギーコアを武器に使用する。

 それを集束して強力な刃を作り出すというコンセプトだった。


「これなら、いけるかな?!」


 僕は完成した設計図を見つめながら、リンの顔を見る。


「なんでも実験が大事よ」

「うん。そうだね」


 僕らは試作品を作って、格納庫に持っていった。


 まだ魔導ロボットに搭載するほどの大きさは作れないので、普通の人でも扱える小型のレイザーソードを作った。


「何しているの?」


 幼馴染のライラ、エリス、フェイの三人がやってきた。


「新しい武器を作っているんだ。レイザーソードって言って、魔力を使わずに扱える武器を考えているんだよ」


 エリスは設計図を見つめる。


「魔力を使わない? それなら、楽ができるかも」

「カイ様が考えることなら、きっと成功するよ! 私も協力します! 弓はありますか?」


 フェイの問いかけにレイザーソードばかり考えていたけど、確かに遠距離で飛ばせる武器もありかな?


「ありがとう、みんな」


 僕は彼女たちの意見も貴重なのだと再認識できた。


 僕が部屋で研究を続けていると、メイドのミカも協力してくれるようになった。


 身の回りの世話してもらって、食事や休憩の合間に手伝ってくれるようになった。


 ミカは繊細な手先の技術を持っており、魔力もそれほど多くない

 パイロットたちとは違う部分に気づいてくれて、細かい部分や調整を担当してくれた。


 こうして、僕は五人の女性たちに協力してもらって、新アイテムの開発を頑張った。


 魔導ロボットの最適化と新しい武器の開発という大きな目標に向かって、日々の研究が始まった。



 魔導ロボットの搭載できる、レイザーソードのプロトタイプを完成させた。


 格納庫に集まった僕たちは、緊張と期待で胸を高鳴らせていた。


「さあ、いよいよ試す時が来たわね」


 リンさんが言い、僕にレイザーソードを手渡した。


 僕は深呼吸をし、慎重にエネルギーコアを起動させた。


 デバイスのスイッチを入れるとエネルギーコアが回転して、ソードを作り出す。

 青白い光の刃が勢いよく伸びて、ソードの形を成した。


「すごい…うわ〜…!」


 僕はその刃の美しさと力強さに、言葉を失った。


「さあ、試してみて」


 ライラはその言葉に頷き、前方に設置されたターゲットに向かってレイザーソードを振り下ろした。


 光の刃がターゲットに触れると、瞬時にそれを切り裂き、二つに割れた。


 魔力を一切使わずに、これほどの威力を発揮できるとは想像を超えていた。


「やった…成功だ!」


 僕は思わず声を上げた。


「さすがカイ! これなら戦場でも大いに役立つぞ!」

「凄いわね! 私も試してみたい!」

「カイ様、私は弓の方が!」


 三人娘も興奮した様子で反応してくれた。


「これで皆さんがもっと安全に戦えるようになりますね」


 最後にミカが言ってくれた。



 一つの成功を作れたことで、僕は母上と再び食事を共にしていた。

 今日は特別に、研究の成果を報告するためだった。


「母上! 今日は聞いてほしいことがあるんです」

「ふふ、何かしら?」


 母上は穏やかに微笑んで僕の話を聞いてくれる。


「魔力を使わない新しい武器を作ったんだ。レイザーソードっていうんだけど、これならパイロットたちの魔力を消耗せずに戦えるんだ」


 母上は驚いた様子で僕の話を聞いていたが、やがて誇らしげに微笑んだ。


「カイ、本当に凄いわね。誇らしいわ」


 僕はその言葉に胸が温かくなり、もっと頑張ろうと思えた。

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