第5話:転生の転生
俺はなぜか薄暗い行き止まりで、誰かを待っていた。
すると、行き止まりの壁が動き扉のように開き、誰かが入ってきた。
「お待ちかねだったようだな。」
入ってきたのは、丸坊主の中肉中背の男だった。
革鎧を着けており、腰には何本かナイフを携帯している。
「ええ待っていましたよ。薬は持ってきましたか?」
「ああ、10個でいいんだな?」
「十分です。これで蘇生魔法の研究も進みます。」
男は飴玉型の薬が入っている小瓶を見せ、俺に渡した。
「使いすぎには気をつけろよ。元気にはなるが、死を早めるからな。」
「研究を早めるためですよ。問題ありません、死なないギリギリまで頑張ってもらいます。」
「怖いねえ、恨みというのは。」
「何か問題でも?」
「だからこそ信用している。お前が何をしようと構わないが、約束の期日は守ってくれよ。」
「わかってます。後一週間ですね。」
「一週間後にまた来るが・・・逃げるなどとは考えるなよ?」
「冗談でしょう?奴らに復讐が出来て、私は富を得る・・・そんなチャンスを無駄にするわけがない。」
「それを聞いて安心したぜ、サイラス。」
◇・◇・◇
「ハッ!」
また俺は目覚めた。
死んでも夢を見るのだろうか?
何故かパンツ一丁だが、ちゃんと体があり自由に動く。
その時、体中から小さい痛みが走った。
よく見ると、細かい傷や痣などが各部位にあるのがわかった。
(なんだこれは?それに体の感覚が今までと違うような・・・それどころか俺は死んだはずだ。)
とりあえず周りの状況を確認する。
タンスや机、そして俺が寝ている簡素なベッドなどがあり、天井には謎の光の玉が浮いている小部屋。
雰囲気は祭壇がある部屋に近い。
「!」
その時、部屋の扉が空いて誰かが入ってきた。
入ってきたのは西洋人形のような姿をした美少女・・・の取り巻きの一人にいそうな、タレ目のぽっちゃりとした少女だった。
(まさか、エテルナ?祭壇ではよく見えなかったが、こんな顔だったのか。)
彼女は急いで駆け寄ってきて声をかけてきた。
「大丈夫ですか?」
「ああ・・・大丈夫。君はエテルナだよね?」
「?・・・はい、そうです。」
彼女の蘇生は成功していたようだ。
ただ、俺を殺したサイラスは彼女を殺さなかったのだろうか?
それとも全ては夢だったのだろうか?
「その、すまないが頭が混乱している。今の状況を聞かせてくれないか?」
「状況?それは私が聞きたいぐらいです。」
たしかにその通りだ。
彼女からしたら、蘇生したばっかりで状況などわかるはずもない。
ただ、彼女は冷静だった。
「では私の状況についてお話します。それですり合わせをしましょう。」
「まず・・・私は黒づくめの連中に殺されました。しかし、気付いたら違う部屋の祭壇の上に寝ていました。周りを見ると、男性3人が倒れていました。」
(俺と同じで黒づくめの連中に殺されたのか。)
「おじい様とお父様はすでに亡くなっていましたが、あなたは息がありましたので、こうして介抱したのです。」
(お父様は亡くなっていた・・・という事はやはり俺は殺されていた。じゃあ生きてる俺は誰なんだ?)
「さあ、私の知っている事は話しました。次はあなたの番ですよ、サイラスさん。」
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