第5話
危なかったーー。
銃が効かないのはわかったけどあんなユニークスキルがあるとは。
<マスターの助言がなかったら終わってましたね>
(どんなスキルがあるかわからない状態での情報漏洩は怖いからな。)
<同感です、一応あのスレを【
(そんなことができるのか、ぜひ頼む>
<了解しました>
(えっと確か新スキルが解禁されたんだっけ)
<はい! 魔石を得たことがカギだったようです。>
(予想通りか、すぐに確認しよう。 【魔石交換】)
いつもと同じように青いボードが出てきて権能が発動される。
(これは、 文字通り魔石と物を交換する機能なのか、)
<ゴミが多いですね、あと魔石にはランクがあってゴブリンはGらしいです。>
(今はEランクまで見れるのか。となると、これは収納するか。)
<【魔石収納】発動させておきます。>
権能【魔石収納】 先ほどの【魔石交換】についていた権能だ。
………
……
…
「全員携帯の確認終わったかー」
みんなの意識を現実に戻したのは、裕也だった。
「そろそろ3時になっちまう、今日寝る場所ってどこだ?」
え……、忘れてたな。
「忘れてたねー」
「夢中になりすぎてた」
「どうしましょう」
どうしよう。みんなが困っている中最初に口を開いたのは珍しいことに裕也であった。
「取り敢えずは安全そうなこの丘の上で寝るぞ。寝る場所は一緒になってしまうが大丈夫か?」
「大丈夫だわ。」
「大丈夫です。」
「なら蓮、後は頼む」
「何で俺なんだ?」
「だってまとめるの得意じゃん。」
確かにまとめるのは得意だ、でも
「たまには、裕也がやってみてよ。」
「・・・わかったよ」
示し合わせたようなみんなの期待に満ちた目に耐えられなかったのか。あっさりと陥落した。
「よし、俺は中を確認してくるから梓は布類、美穂は洋服、湊音と連は食べれるものを探してきてくれ。くれぐれも安全第一にな、魔物が居たらすぐに逃げろよ・」
「「わかった。」」
さてと、食べ物か。そこら辺の自転車を借りて住宅地へと下っていった。
目指すのはコンビニなどだが......、想像以上に崩壊しているな。
もう人の死体など見飽きたと言ってもいいほど遺体のレパートリーだ。
建物に押しつぶされたことで直視できないようなものもある。
なるべく目に入らないように進んでは行くが、だいぶきついな。
魔物も少ないがいるため警戒は怠ってはいけない。
今もゴブリンの群れがすぐ隣の道を走っている。
おそらく人を追っているのであろう。
「助ける?」
「不可能だ。」
自身の能力もろくに試していない状況で他の人間を助けるのは自殺行為であろう。ゴブリンが単体であったらまた話は違ったのかもしれないが。
「蓮、来たよ」
湊音が焦った声で指さす方角にゴブリンの集団が見える。
向こうもこちらに気づいたのか、速度を上げてこちらに向かってきている。
急いで影に隠れるが追いつかれたらバレるだろう。
「どうする?というか、向かい打てるか?」
「厳しいかな。能力がイマイチわかんない。」
「了解。じゃぁ、巻くぞ。」
言うが同時に、2人は隠れていた瓦礫から飛び出して住宅街だった場所に走り出した。
「正面いるよ。」
「右曲がるぞ。」
明らかに高くなっている身体能力に感覚を適応させながら2人は街中を走り回った。
だが、
「これ無理じゃね?」
「そうだね。これ匂いで追いかけてるっぽいよ。」
あまりにも長い時間追いかけっこしていると途中で気づいたことがある。
こいつら、執着が半端ではない。
一度姿を見失おうが警戒体制を全く解かない。
やはりゲームのように簡単にはいかないようだ。
【読書家】発動。
「【火球】4連」
逃げていた連が突如振り向き、その手に召喚した本から魔法を発動した。
魔法を撃つための魔力が十分に戻っていなかったので見せかけだけの魔法ではあるが牽制には使える。
火を見て怯むゴブリン達に一気に襲い掛かった。
手に小さな炎を生み出して顔を殴ったり、致死量の毒をぶっかけたりするとたちまちゴブリン達は逃げていく。
「これ俺達が悪いように見えるだろ。」
「いや、実際やってることは相当ヤバいよ。」
妙な後味の悪さがあったが、魔石を回収してその場を離れた。
十分な戦闘能力があると確認できてからは積極的に交戦して魔石を得ている。
スーパーやコンビニを回ってまだ大丈夫そうな食料や飲み物を順番に運んでいった。
「意外とあるんだね」
他人の家から使えそうな物を漁っていた湊音が突然聞いてきた。
手には防災グッズを握りしめている。
「ま、何年までに地震があるって政府が言ってたからな。みんな備えてたんだろうさ。」
「そうだったのか、しかし起きた地震がこんなに大きいとは思わなかっただろうねー。」
俺らは生き残ったが、運が良かっただけだろうな。死んでいったクラスメイトたちが思い浮かんでくる。さてと。
「ほら、再開しようぜ。このままじゃ間に合わない。」
「そ、そうだね。」
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