fff

イタチ

第1話

静かな湖畔に、奇妙なオブジェクトが、出現したのは、大みそかを過ぎたあたりであろうか

近くの山寺、等出湖畔からの参拝客が、石段の向こうへと目を向けると

そこにそれは存在した

日本三大湖畔に位置する

その場所に突如現れたそれは、湖の推移を、十センチ上昇させ

ボートが、二隻、迷い出た

しかし、その小規模な事件は、到底意味を、見いだせずにいた

なぜなら、その水位上昇による船の脱走よりも、その先

湖畔の中央に浮かぶカギリ山の横手に

それは、奇妙に、出現していた

「緑山」

そんなあだ名をつけられたそれは、高さ三十メートル

横幅三十センチという

棒状の物であろうが、それは、奇妙な蛍光色に輝き

妙な音を、発していた

「あれは一体何なのでしょうか

国は、その存在を、断行するように、近づかせず

その存在に、近づかないように、漁や遊泳を、させないようにさせた

しかし、問題は、それ以前に、その棒状の何かから光が漏れ出し

その音が、異常に、辺りを、散りばめ続けた

ただ、問題は、その異音ではなく、その内容であるのだ

それは、名前住所暗号番号秘密

等々

直ぐに、様々な、行動がなされた

防音 防壁

しかし、そのすべては、まるで、通り抜けるように、漏れ出し

コンクリートは、埋めた端から溶けだし壊れたのだ

そして、最終的に、国が行動に出たのは、国家機密が、流出した

その点において、この棒状から漏れ出す音声が聞こえる

半径に十キロにおいて、住人の移住が、強制され

大きな批判を、受けることになる

「それで、あれは、何なのでしょうか」

とある大学教授が、インタビューを受けたが

その結果は、毎回同じである

あれがどの方面の専門家に聞いても、分からないのだ

他国の工作だと言うものも居れば

宇宙人の陰謀だと言うものも居た

しかし、それが一体何なのか

誰にもわからなった

なぜなら、国はその場所を、隔離してしまっているし

国でさえ

それを、壊そうとしても、全く歯が立たず放置の一点張りでしかなかったのだ

「拝辞 三十六番地 98474 貯金残高三千六十 一番の秘密」

音声は、すぐさま文字化され続ける

しかし、いまだに、他国の秘密が、漏れ出すことなく

自国の機密が駄々洩れしだす

「これは、いつまでも続きますね」

監視と言っても、監視する内容が、変わることはない

言っていることは、飛んでもないが

しかし、だからと言って、変わりようもないように思える、ただ、面白い物でもないのである

幾ら生真面目に、其れの統計をとっても、点でバラバラだとしか思えない

しかし、それが、給料に見合っているのかは分からない

「さあな、全く良く分からない原理で動いているんだ

いつ何時、軍事機密やらが、漏れ出すかもわからない

そんな事を、放置するのは、出来ないんだよ」

「鳥山 静 三十六歳 経歴詐称」

振り返る職員

「・・・・」

「あの良く分からないものと、私

どちらを信じるんですか」

ゆっくりと、電話が、別部署にかけられた

「わっ私は」

その時、上司の名前が、読み上げられていく

「黒川佐一・・・」

女の手は、ゆっくりと電話を握られている







声が聞こえる

誰かがそう言った

湖の中に、ネオンが輝くように

しかし、それと同時に、あれは一体何の声だろう

誰かがそれに気が付いた時





「それで、あんた、へそくり、どうしてくれてんの」

何のことだ

冷や汗が男の額を落ちる

「おっお前こそ、あれだな、その、男がいるそうじゃないか」

女の顔が、白くなる

「そっそんなこと、何の確証が」

ふたりのしかいの先には、あの塔がテレビの先に、映って居た

それは相変わらず、奇妙な色を、浮かべスピーカーを震わせていた

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fff イタチ @zzed9

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