第7話 低気圧ではなぜ天気が悪くなるのか?
それで。
低気圧だと、どうして天気が悪くなるか?
低気圧というのは、地上近くの気圧がまわりより低いということだけど。
なぜ地上近くの気圧がまわりより低いかというと、地上近くの空気が空の高いところに上がっていくから、または、地上近くの空気が空の高いところに吸い上げられるから。
つまり、低気圧の中心で上昇気流が起こっているから。
温帯低気圧でも熱帯低気圧でもこの点は変わらない。
それで、上昇気流が起こると、雲が発生し、雲が分厚くなり、ついに雨や雪が降り始めることになる。
では、上昇気流だと、どうして雲が発生するかというと。
空気は上昇して上空に行くわけだけど、その上空のほうが寒いから。
空気は、温度が高いと水蒸気を多く溶かし込むことができる。
水蒸気がいっぱい溶け込んだ空気というのが夏の空気というもので、蒸し暑くてじめじめして日陰にいても汗たらたらで、「しんどいんですけど!」という空気だ(今年はそういう日が多い。これを書いている現在も現在進行中で多い。かんべんして!)。
ところが、温度が低いと、空気は水蒸気をあまり多く溶かし込むことができない。
そこで、水蒸気をたくさん含んだ空気が上昇気流で高い空に上がっていくと、溶かし込めなくなった水蒸気が水分に戻ってしまう。
水分に戻ったらどうなるかというと、水の細かい粒になったり、氷の細かい粒になったりする。そういう水の細かい粒や氷の細かい粒が集まってできているのが雲だ。
だから、もともとからからに乾いた空気ならば、高い空に上がっても雲はできず、雨を降らせることもない。でも、日本列島は海に囲まれているので、普通は上空で雲が生まれるくらいには湿っている。
雲は上昇気流に乗っているので、雲を構成している水の粒や氷の粒は常に下から吹き上げられている状態で、落ちてくることはない。
しかし、より湿った空気が供給されるか、より温度が低くなるかして、水の粒や氷の粒が増えると、雲を構成している水の粒や氷の粒の一部分がぶつかって合体して巨大化する(氷の細かい粒どうしがくっつきあうと雪の結晶になる)。巨大化すると、上昇気流では吹き上げることができなくなり、雲から落ちてくることになる。
そうやって、巨大化した水の粒や氷の粒がたくさんできて地上まで落ちてくるのが、雨だったり、雪だったりする。
低気圧が来ると雨が降ったり雪が降ったりするのはそういう仕組みだ。
ところで、日本列島あたりだと、地上の温度は、雨粒や雪の結晶にとってはじゅうぶんに暖かい。暖かい空気に触れると、雨粒は表面から蒸発して水分が逃げて行ってしまうし、雪の結晶は分解して蒸発してしまう。だから、上空の雲からは雨が降っているのに、それが地上に届かずに蒸発してしまうこともある。
こういう、雲からは雨か雪が降っているのに、地上に届いていない、という様子を横から見ると、雲からざっと下に幕のような濃い灰色の領域が広がり、それが地上に届く前に消えている、というように見える。こういう雲を「
地上の温度が高いと地上まで雨が届かないようなばあいでも、地上の温度が低くなって雨が届いてしまうことがある。夕方までは曇っているものの雨が降らずにすんでいたのが、夜になったら降り出す、ということにときどき出会う。これは、夜になって地上の温度が下がったので、それまで途中で蒸発していた雨が地上に届き始めることによって起こる。
※ 次回の更新は9月23日です。よろしくお願いします。
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