変人養成学校
この街はヘンテコな人で溢れかえっている。
街にの壁に落書きする人。
深夜問わずギターを奏で歌い踊る人。
ヘンテコなオブジェクトを作る人。
とにかく、芸術に頭をやられている人が多いのだ。
しかし、私は至ってまともだ。
この街、唯一の数学学校に通う女学生なのだから。
名前は、マリアとでも名乗っておこう。
この街のヘンテコなところを上げればきりがないが最もヘンテコなのは、市長である。
銅像が一夜にして決壊した際に何故か匿名希望と縦に積まれた銅像を建てたり。
会話をすべて短歌にしろなどといったヘンテコなことをする人なのだ。ちなみにこの政策は、流石に市民からの反感を買いまくり3日ほどで幕引きとなった。
まあ、この街がイカれているのは、今に始まったことではない。
私が生まれた頃からずっとこの調子だ。
その原因は、この街の成り立ちにあるとかないとか。100年ほど前この街のとある画家が一世を風靡しこの街を豊かにしたのだとか。
それ以来、芸術に頭をやられた人が多く住むようになったのだ。私の両親も例に漏れずだが。
しかし、私は違う。芸術などといったものには目もくれずひたすら数字と相対している。
将来は、この街を出て数学者にでも成ってやろうと企んでいる。
しかし、一つ気に入らないことがある。
この街の人たちは私達を変人と呼ぶのだ。
私からすればそちらのほうがよっぽど変人だと思う。
特に、道路を挟んで向かい合っている芸術学校の生徒からは、見るだけで変人だと言われる。
しかし、私は知っている。
きっと、お互いに変人だと思い合っているのだと。
簡単に言えば、お互い理解できないものを変人と定義してジャンル分けしているだけなのである。
つまり、両者とも見方を変えれば、変人養成学校の生徒なのである。
そして、数学を極めようとしているのにこのような哲学じみた事を考えている、私が一番の変人なのである。
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