騒がしい街の曲がり角
mayu
匿名希望と名誉ある銅像の襲名
この街にはとあるヘンテコな画家の銅像がある。
その画家というのが100年ほど前この街を中心に一世を風靡したマルコと言う画家である。その画家の絵というのが癖の強い抽象画であり到底一般人には理解し難いものであった。しかし、ヘンテコな画家がいると言うことでヘンテコ画家と言うあだ名で親しまれ、名声を得ていった。
しかし、ここ最近この銅像の取り壊しが計画されている。理由は、約100年前に建てられた銅像であるため、あちらこちらにガタが来ておりもう補修でどうこうなる状態ではないからである。今までにも取り壊しの案は出たそうだが取り壊したところに何を飾るかで頓挫してきたと言う。しかし、ここ2、3年名声をあげ出している画家がいる。その画家は、街の至る所にキャンバスいっぱいに書かれた抽象的な太陽や草木、海などの絵を置いていくのである。しかし、その絵には名前がなく代わりに匿名希望と書かれていた。そのため、いつのまにか匿名画家と言うあだ名で呼ばれていた。なぜ、名前がなくてもその人の絵か分かるかというと、これまた癖の強い抽象画なのである。
そして、いつしか、その画家の銅像を取り壊した銅像の代わりに飾ろうと話になっていた。
しかし、匿名画家というだけあって、誰も素性を知らないのである。
そして、その計画も停滞していたある日の夜事件が起こったからである。
一夜にしてその銅像が決壊し粉々になったのである。
そして、落ち落ち匿名画家の素性を調査している場合では無くなった。
この街の市長が銅像の無いこの街など認めないと言ったため早急にとある銅像が建てられた。
それからである、この街がヘンテコな画家の銅像がある街と呼ばれるようになったのは。
それもそのはず、その早急に建てられた銅像は、"匿名希望"と縦に積まれた銅像なのだから。
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