第5話 真の絆

 それから小一時間。ランデイズは改めて、この男を化け物と感じた。30人はいた猛者が、半分はやられている。多少体力は削ったが、まだまだ致命には至らない。


 そこに。


「ランディ、生きてるか?」

「おお、ジャンク!!」


 援軍のジャンクの部隊が追い付いた。まさに天の助けと感じたランデイズ。しかもジャンクは、



「…ジャンク!?お前、…その子を放せ!!」


 とっさにジャンクに叫ぶハルバード。先ほど捕らえたユカのこめかみに銃口を当てている。


「…ん?」


 だが、すぐにある異変に気付いた。ジャンクはあっさりユカを開放する。そして、ランデイズではなく、ハルバードの横へと丘を滑り降りる。


「芝居はここまでだ!!加勢するぞ、ハル!!」


「え…じゃ、ジャンク?これは一体…?」


 事情が呑み込めないハルバード。


「この際だから、とことん裏切り者をあぶりだそうとしたまでさ。俺の担当は頭を使ってナンボだろう?」


 これを機に膿を全て出してしまう、ジャンクの作戦。彼は初めからハルバードの味方のままだった。


「でも、僕は君の造った銃で撃たれて…」


 ジャンクはけたけたと、


「敵を騙すにはまず味方からってな。でも油断していたとはいえ、撃たれるなんてお前らしくも無い…」


 ジャンクはハルバードの間抜けさに、


「ヒヤヒヤしたよ。英雄と呼ばれて驕ってたんじゃないか?」


「それに後ろにいるのは…」


 そこにいたのは、先ほどハルバードがしたためた手紙の信頼のおける猛者たちだった。


 皆、ハルバードを信頼、尊敬する者たち。とまどっているランデイズ。


 絆の強さというものは、知っているつもりだ。だが、ランデイズの野心は高ぶっていた。彼にはバンカスター王国の騎士団の援軍、総勢600人の戦士がついている。


 それに比べ、こちらはハルバードに相棒ジャンク、そしてこの危機に駆け付けた猛者18名。


 数では圧倒的に不利。流石にハルバード陣営の旗色の方が悪かった。


 しかし皆、お互い、命燃え尽きるまで戦い抜く覚悟だ。戦況はどう転ぶか分からなかった。


「戦えるか、皆?」

「…当然!!」

「行くぞーーーーォァッ!!」


 ハルバードの号令で、本当の最終戦が始まった。

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