第4話 最後の死闘
日は昇り、川の水で喉を潤す二人。そこはうっそうとした山の中だった。逃げ場はないに等しい。
ここまでか…。
ハルバードは覚悟を決めた。…しかし、この子だけでも、なんとか生かして返さねば。
そこでハルバードは、これまでの旅で礼になった武人たちへの紹介状をしたため、ユカに託す。
「いいかい、ユカ。もし生き延びたら、この手紙の所へ行って、そこでたくさん勉強するんだ。そうすれば君の求めていた、お友達もたくさん見つかる」
「ほんとう?」
「ああ、君なら大丈夫だ。心配いらない」
ユカはおっとりしているが、とても聡明な子だ。現状もしっかり把握していた。
「…ありがとう。ライ麦パン、美味しかったよ」
そういうと無言でユカは駆けだした。しかし、一度だけ振り向く。すでにハルバードは山中に分け入っていた。
(さて…どうする…?相手はランデイズにジャンク、他にも猛者がいると思っていい…戦るしかないか!!)
ユカは山を駆け下りていく。だがそこで男にぶつかった。
「何だい、お嬢ちゃん?ここは危険だよ?」
その男は…。
◇ ◆ ◇ ◇ ◆ ◇ ◇ ◆ ◇
日が傾いて夕暮れ。ついにハルバードはランデイズ率いる軍勢に囲まれていた。ランデイズは大剣に手を掛け、構える。
「ランディ…お前…」
「悪いな、ハル。所詮、王なんてなるもんじゃない。程々の身分がちょうどいいのさ」
「がっかりだな。君はもっと器の大きい男だと思ってたよ」
挑発するハルバード。笑顔ながらも怒りがのぞくのはランデイズだった。じりじりと間合いを詰めてくる猛者たち。
「…やれ!!」
ランデイズの号令で一声に襲い掛かる猛者たち。ハルバードの最期の戦いが始まった。
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