第2話 戦友の裏切り
そして英雄王の逃避行の13日目。追手が後を絶えない。業界でも知れた猛者たちが、次々と襲ってくる。
「ぐはっ!?」
「…ち、ちきしょう、やっぱ…強ぇ…」
だが、やはり正攻法では彼に勝てるものはいない。あっけなく追手を倒し、その剣を納めるとハルバードは尋ねた。
「…わからないな。無駄だと分かっていながら、何故僕に挑むんだ?」
「し…知らないのか?お前の首には30億リドルもの金が懸けられてんだよ」
30億リドル。普通に暮らせば、働かなくても一生安泰な金額だ。
こういう欲に目がくらんで命を捨てた者を見なかったわけじゃない。だが、ここまで執拗に狙ってくるとは。
「…もういい、これも報いだ。やれよ」
「…無益な殺生は、好むところじゃない」
ハルバードは振り向き歩み始めた。その時、
ダァアーーーーーンッ…!!
「はっはーッ!!や、やったぞ!!」
追手の一人の持っていた隠し拳銃の弾が、ハルバードの腹部を貫いた。幸い致命傷ではないが、それ以上に思うところがあった。
この世界では銃はとても高価。しかも隠し拳銃ともなると、売られている武器屋はまずない。もしやと思い、問いただす。
「その…銃…まさか…!!」
「ひっ!?し、死んでねえ!?」
ハルバードの居合い抜きが、隠し拳銃を弾き飛ばす。
「話が違うぜ、ジャンクの旦那!!」
「…ジャンク…お前も敵なのか…?」
その銃は銃士ジャンクの手製の物。味方と思っていた者に裏切られた痛みが、傷をさらに痛めつける。
とりあえず応急処置をし、よろけながらも、とある村に辿り着いた。
しかし、空腹と痛みでハルバードの意識はそこで途絶えた。
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