第2話 好きな人が俺のことを知ってくれてた……

 ……まさか風華のやつ……高崎さんに俺の変な事を吹き込んでないだろうな……


 それは昔の話……

「正義の味方!! ウルトラヒーロー参上!!」


「いいね! すーくん!!」


 俺はよく正義の味方ウルトラヒーローとして、よくヒーロごっこをしていた。

 それによく風華も付き合ってくれた……


「俺は世界を救う! 勇者!! 姫、俺の後ろに!」


「はい! すーくん!!」


「違う!! 俺はすーくんじゃなくて勇者! いい勇者なの!」


「うん! すーくん!!」


「違うーー!! 勇者なの!」


 確か……勇者ごっこもしてたっけか……

 俺が勇者役で風華がお姫様役……

 懐かしいな……てか、今思えばなんとなく恥ずかしいな……


 てか、こんなこと高崎さんに知られたら……

 幻滅されるかも……


 嫌だ!! 

 何としても……風華にバラされないように昔の事をバラされないように阻止しなければ……


 すると、俺は誰かに肩をトントンとされた。


「だ、誰?」


「どうしたの? 鈴木っちょ!! そんなに慌てて!!」


「た、平さん!?」


 彼女の名前は平真由美たいらまゆみ……彼女は、武蔵同様高崎さんととても仲がいい……


「なになに? 悩み事? このあたしに相談したまえ!!」


「早く言ってみてよ!! 鈴木っちょ!!」


 ……って言えるか! 仮にも彼女は高崎さんととても仲がいいんだぞ!!


「何でもないよ……本当に!! あ! そういえば用事思い出した!!」


 俺は焦りつつそう言った。


「ごめんね! 平さん!! また明日!!」


 そう言って俺は平さんから逃げた。


 「……また明日? 鈴木っちょ早退でもすんのかな?」



 ーーそしてお昼休み


 ……はぁ、何だか今日は疲れた……

 俺は昼休みいつもの日課である、学校のお花の水やりをしながらそう思った。


「相変わらず……頑張ってるね!」


「高崎…さん!?」


 俺に話しかけてきたのは、俺の好きな人である、高崎さんだった。


「ふふ、そんなに驚かなくても! というかこれほとんど毎日水やりをやってあげてるんでしょ! きっとお花さんたちも喜んでるよ!!」


 高崎さんがこんな近くに……

 高崎さんは俺の近くに来るとそう言った。


 何だか夢みたいだ……好きな人が……高崎さんがこんな近くにいるなんて……


「鈴木くんってさ……」


「優しいよね!!」


 彼女は光り輝く笑顔でそう俺に言ってきた。


「え?」


「……だって、この水やりだって……自主的にやってるんでしょ! 優しくないとそんなことできないよ!」


 何だか知らないけど……お花たちよ……ありがとう

 すると彼女は続けて……

 

「……それに……」


「この前だって、先生が重そうに持っていたプリント持ってあげたり、道で重そうにしてたおばあさんの荷物を持ってあげたりしてたじゃない!」


 高崎さんが俺のことを知ってくれてる!?


「あ! ワタシそろそろ行くね!!」


 そう言って彼女は歩き出した。少し彼女が歩く止まって前を向きながら……


「ワタシ……鈴木くんの優しいところとか知ってるから……」


 そう言って校舎の方に歩いて行った。


「…………」


「はワワワワワ!!」


 今高崎さんが俺のこと知ってるって! 俺のこと高崎さんが知ってくれてたなんて最高すぎる!

 ありがとう……


 俺は思わず声を出して喜んだ……


 ……てか、高崎さんと二人きりで話すの初めてだったかも……


「なぁ、昴もこっち来いよ!! お前もこのテレビ番組見てるだろ!!」


「鈴木っちよ! 今穂乃果と話してたんだけど! 鈴木っちょも一緒に話そうよ!!」


 そういえば……高崎さんとちょっと話すことはあっても……話すと言っても……いつもは、武蔵や平さんを介して話していたからな……




 ーーそして放課後


「すーくん!! 一緒に帰ろ!!」


 俺が帰りの支度をしていると元気いっぱいの風華が俺に一緒に下校しようと誘ってきた。


「うん!」


 俺は二文字でそう返事をして、帰る支度を終えて、彼女と一緒に下校した。


「すーくん!! しばらく見ない間に大きくなったね!!」


「え? まぁ、それは成長するだろう……成長期なんだし……」


「前まで私と同じぐらいだったのに、私嬉しい! たくましくなったね!!」


 そう彼女は俺の肩に手を置き言う。

 ……幼馴染にそう言われるのも悪い気もしないな……俺は何だか嬉しい気持ちになった。


「あ! すーくん! そういえば! 和奏わかなちゃん元気?」


「うん! 和奏は、相変わらず元気だよ!!」


 和奏というのは俺の妹の鈴木和奏すずきわかなのことだ……

 風華は、昔……まだ小さかった和奏の事をめちゃくちゃ可愛がってた記憶がある……


「ねぇ! ねぇ! 今度すーくんのお家行っていい? 久しぶりに和奏ちゃんにも会いたいし!」


「うん! きっと和奏も喜ぶと思うよ!」


 俺と風華は、そんな約束を交わした。


「やっぱり昔と全然変わらないね! この街並みは」


 そう風華は、周りを見渡してそう言った。


「そうか? お前がいた頃より結構変わってると思うんだけどな……」


「うんうん! そんなことないよ! そこに見えるコンビニだって昔なかったでしょ!」


 彼女はあそこにあるコンビニを指さした。


「え? いや、昔からあったぞ、あのコンビニは」


「そうだっけ?」


「ああ、よくお前あそこで、アイスとかからあげさん買って食べてたじゃないか」


「あ! そういえば! そうだったね! すーくん! よく、ハヒコ二人で割って食べてたよね! 懐かしいな……」


「ああ! そうだな……」


 本当に懐かしいな……


「そういえば、風華は、今どこら辺に住んでるの?」


「え? 今私は、駅から20分ほどの場所に住んでるよ!!」


「そうなんだ……てか、このまま歩いてていいの? いま駅と真反対に進んでるけど……」


「ふえ? そうなの? ごめん! じゃあ! 私行くね!!」


 何となく心配だ……こいつ《幼馴染》が無事家にたどり着けるか……


「なぁ、よかったら俺駅まで着いて行こうか?」


「え? いいよいいよ! 悪いし!! 一人で行けるよ!! 多分……」


 そう言葉では、風華は、そう言うが……なんとなくこいつは、ついてきて欲しそうにしていたので、俺はにっこり笑って彼女を駅まで送り届けることにした。



「今日はありがとね! すーくん! また明日!」


「おーう! また明日な!」


 俺と風華はそう言って、駅で別れる。

 ……なんか今日は色々あったな……

 幼馴染が転校してきたり、好きな人と二人だからで喋ったり……

 俺は今日のことを思い出しながら家へと向かった。



「おかえりーー! お兄ちゃん!!」


 家に帰ると和奏が俺に出迎えの挨拶をした。


「ただいま〜〜」


 俺もそれに答えて、ただいまと言う。


「そうだ! お兄ちゃん! いちごミルク飲む?」


「ん? ああ、飲むよ……」


「お兄ちゃんならそう言うと思ったよ!! じゃあ後でデーブルに三百円置いといてね!」


「金とんのかよ……」


 妹は小悪魔的な笑みを浮かべて


「嘘だよ!! お金は取らないからお兄ちゃんは、そこで休んでていいから!!」


 そう言われて俺は手を洗って、リビングに行き、テーブルの椅子に座って、和奏がいちごミルクを作るのを待っていた…………


 そして、妹がいちごミルクの入ったコップを二人分テーブルに置いた。


 そして、二人でそれを美味しく味わった。





  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る