恋という字は十画数

アカペン

第1話 俺のクラスに転校してきた幼馴染

 俺には好きな人がいた……その子の名前は高崎穂乃果たかさきほのかと言って、容姿端麗……そして、みんなに優しく……クラスのみならず学校のみんなから男女問わず好かれていた。


 俺からすれば彼女は高嶺の花のような存在……それはわかっているが……彼女の太陽の光のようなとても可愛く、優しい笑顔を見てしまうと高嶺の花だからと彼女の事を諦めることができなかった……


 そしてその子はなんといっても俺の幼馴染の黒瀬武蔵くろせむさしのとても仲がいい女友達だった……


 俺の名前は鈴木昴すずきすばる

 俺は今日も何事もなく学校に着く、そして教室に入ると仲良く喋っている高崎さんと武蔵そして、高崎さんの友達の平さんが目に入った。


 相変わらず……仲がいいな……


 俺はそんな彼女と話す武蔵をとても羨ましく思っていた。

 

 俺は自分の席に座ると……スマホを開いて、昨日発表された新作ゲーム情報を見る。


「昴〜〜!!」


 すると俺の名前を武蔵が呼びながら彼は俺の席にやって来た。

 

「昨日の新作ゲーム情報見たか!! しかもあれ! あのシリーズの続編だって!! ついにかって感じで! ちょー嬉しいよな!!」


 武蔵は昨日のゲーム新作が発表されてワクワクと嬉しさを隠しきれていない様子だった。


「うん! 昨日の発表を見て驚いたよ!!俺も楽しみ!!」


 俺は武蔵の問いにそう答えた。

 

「発売して買ったら!! 一緒にやろうな!! あはは! 楽しみだな!!」

 

「はーい! みなさん!! 席についてください!!」


 武蔵がそう言うと、先生が教室に入ってきた……そう、朝のショートホームルームをするためである。


「昴……また後でな!」


「……おう」


 武蔵はそう言って自分の席へと向かって歩いて行った。


「はーい! みんな席に着いたね! じゃあ! 今日はみなさんに重大発表がありまーす!!」


「なになにー? 中間テストがなくなるとか?」


「もしかして! 先生結婚するんですか?」


 クラスメイトが先生の重大発表の言葉を聞いて、憶測で語り始める。


「はーい! みなさんお静かに!! 先生は今、結婚したわけではありません! 今日はこの学校に新しい仲間!! 転校生が来ます!」


「転校生〜〜!!」


「やっほーー!!」


 クラスのみんながそう言って騒ぎ始める。


「はいはい!! お静かに……はい! それ入っていいわよ!!」


「……失礼します!」


 先生が転校生にそう言うと転校生の人はドアを開けて教室に入ってきた。


 転校生は足音を響かせて、教卓はと向かう。


 どうやらクラスのみんなは、その転校生に見惚れているようだった。

 かたや俺も見惚れてしまっていた。



「はーい! みなさん!! こちら転校生の姫野風華さんでーす! みなさんこれから仲良くしてあげてね!」


 ……すげー可愛い……

 ……は!

 なにを言ってるんだ! 俺は高崎さんが好きなのに!! 俺は頭を抱えてそう思った。


「みなさん! 姫野風華と言います!! これからよろしくね!」


「オオオオオぉぉぉーー!!」


 姫野さんと言う転校生が自己紹介をすると、クラスメイトの連中がラブコメとかで見る美少女転校生がやってきた時のような反応をする。


「姫野さんは……あそこの席ね!」


 そう言って先生は教卓から見て、一番左奥にある席を指さして言った。


「はい!!」


 すると彼女は左側の通路から席に行けば近いのに何故か右側の通路を通ってきた。

 そして、教卓から見て一番右奥にある俺の席の横を通り過ぎようとすると……俺は姫野さんと目が合う。


 それから俺は姫野さんにしばらくじーと見られた。


「……すー……」


 すー……?


「久しぶりー!! すーくん!」

 

 彼女はにっこりと笑った。


「……は?」


 俺は何のことだからわからず思わずは? そう言ってしまった。


「すーくん!! 私のこと忘れちゃったの? 私だよ!! 風華だよ!!」


 そう言って彼女は機嫌が悪そうに言った。


 てか、待てよ……このすーくんって呼び方……

 俺はこの言い方に聞き覚えがあった。

 それは、昔よく遊んでいた女の子の幼馴染が俺呼ぶ時そういう愛称で言っていたのだ……


「お前……もしかして風華か……?」


「そうだよ!! そう言ってるじゃん!! 久しぶりー!! すーくん! 会いたかった!!」


 そう言って彼女は俺に抱きついてきた。

 俺はいきなり美少女幼馴染に抱きつかれて頭がショートする。


 「おい!!」


 「どういう事だ!? 鈴木!!」


 俺が彼女に抱きつかれている様子を見たクラスメイトの男子たちが俺に説明を求めろと言わんばかりの怒号をぶつけてきた……


「はい……感動の再会に水を差して悪いんだが……姫野さん席に戻って……」


「あ! ごめんなさい!! あ、すーくん! 私すーくんとまた会えてとっても嬉しい! じゃあね!!」


 そう言って彼女は俺から離れて自分の席へと向かっていった。


 

 そして、ショートホームルームが終わるとクラスメイトに尋問されていた。

 いつのまにか男子のほとんどが俺の席の前に集まっている。


「それで……お前は姫野さんとどんな関係なんだ?」


「ただの……幼馴染です……」


 俺はクラスメイトの男子に聞かれてそう答える。


「ほんとにそうか? さっき抱き合ってたけどな……ほんとはお前の恋人じゃないのか?」


「ちがうって! 風華は、ただの幼馴染!!」


 だって俺は……高崎さんのことが……


「鈴木!! 俺はお前が羨ましい!! あんな可愛い美少女が! 幼馴染とかお前はいくら得を積んできたんだ!!」


 俺はクラスメイトの長山ながやまに肩を掴まれて、泣きながらそう言われた。


 すると、俺の席の周りにいた武蔵が俺に話しかけてきた。


「まさか〜〜! お前に俺以外の幼馴染がいるとはな!! 昴!!」


「武蔵!!」


「いや〜俺も嬉しいぜ!! だってよ!! お前の幼馴染ということは俺の幼馴染であるということだろ!!」


「……は?」


 なに言ってんだこいつ《武蔵》……


「てか、お前には言ったことあるけどな……幼馴染風華の事……」


「そうだっけか? あはは! そんな事忘れちまつまたよ!!」


 ……お前というやつは……


「おい! 見ろよ!! あれ!!!」


「ああ! 女神様がお二人!!」


 そう男子たちが盛り上がる。

 気づけば……俺の尋問も終わっていた。


 ……ん? なんか騒がしいな?

 俺はなんか男子が盛り上がっている方を見ると……


 ……あれは!?

 高崎さんと……風華!?


 俺の好きな人と幼馴染が仲良さそうに楽しくお喋りをしていた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る