第22話 虚空界否定論
スフィアには滅多に降ってこない。何故だか、
「俺はこの現象に、『人工』『意図』を感じた。そこで、各地を実際に見て回り、それぞれの
星間車内、リビングスペースにて。
ユリウスは自らの研究資料を、アナへと見せた。アナは赤い目を忙しなく動かし、その大量の資料を読み込んでいく。
「誰?」
「ガチのお姫様らしい」
「へぇっ!?」
ソファの端で、エリーチェがキルトに訊ねている。彼女達もよく状況を分かっていない。
「……その通りじゃ。『虚空界否定論』。貴様の推理は、正しい。たまに出るんじゃ。こういう、閃く人間が。
「どういうこと? 僕さ、そのユリウスさんの本も内容知らないんだよね」
アナの隣に、ルピルが座っている。アナの持つ資料を覗くが、ちんぷんかんぷんだ。
「観測した結果。降星鉄量はまばらでもランダムでもない。はっきりと、差が出たんだ」
「…………普通に予想するなら、外側の
キルトが予想する。当然ながら、外から降ってくるのなら、外が最も多くなるだろう。外側の
「じゃあキルト。同じ外側だが、このラムダ-4から伸びる3本と、その隣のスフィアを挟んだ向こう側の
「ん……。同じ外側なら同じくらいじゃねえのか?」
「違う。ラムダ-4から角の向こう側までの3本の内、真ん中の
ユリウスはテーブルの上に、手のひらに乗るくらいの模型を置いた。小さな立方体のジャングルジム。その頂点は64個。つまり
「
模型を使って、指を差す。
そこは、
8つのスフィアに囲まれた、何も無い空間。
「…………
「その通りだルピル。
ユリウスは楽しそうだった。皆が真剣に彼の話を聴いている。大学の授業でもこんなことはない。聴衆皆が、彼の研究に興味を持っている。
「
模型を、回転させた。くるくると。皆が注目する。
その中心は。
やはり空洞だ。
「……64個のスフィアは、108本の
「そんなことを、僕が起こせるってこと?」
ルピルはちんぷんかんぷんではあるが、自分のことについて考察しているのだということは分かる。彼女はまだ自分が何者か知らないのだ。
「じゃから、『鍵』なんじゃろう。少なくとも革命軍はそう考えとる。…………ここからは、推測じゃ」
「ああ。お姫様にバトンタッチしよう」
「姫様」
「良い。どうせ放っておいても、妾が持つ情報くらいは辿り着くじゃろ。こやつらは」
執事のワタオが軽く諌めるが、アナは王族の知識を披露することを了承した。
「……まず言っておくことは。『
ふむ、とユリウスが頷く。
「妾にとってはこっちが大事じゃ。『
「そうなんだ」
ルピルが改めて自分の手を見る。
「スフィアは人工物。誰かが建造したのなら、解体もできよう。それを、
「!」
「天井!?」
エリーチェが驚きの声を挙げた。
「そうじゃ。……
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