第42話 約束の日まで 【回想♡有】
杏樹side……★
「ねぇ、及川さーん? 及川さ——ん! ……だめだ、全く反応がない」
「もう及川先輩、どうしたんですか?」
学校の休み時間、必死に声を掛けてきた莉子さんとミヨさんだったが、フワフワと夢心地な私は上の空で全く聞こえていなかった。
「ねぇ、ミヨさん。エッチって本当にスゴいんだね♡」
「え? 及川先輩……! もしかしてシたんですか?」
正確には致していないのだけれども、あれはもう九割はしてると言っても過言ではないだろう。お互い一糸纏わぬ生まれたての姿でキスをしたり、触り合ったり……。
紘さんの骨ばった指が、私の敏感な部分を擦ったり刺激してきた感触が残っている。
『杏樹さん、エロ……。そんなにがっつかなくても大丈夫だって。ほら、どんどん触っていくから気持ちいいところを教えて?』
『少し触っただけでこんなに糸引いて。本当に触ったことがないん? 実は好きなんじゃねぇの……? 悪い子やね。そんな子にはもう少し本数を増やそうか?』
『ほら、自分の身体のことだから、どこをどう触ったら気持ちいいのか知っておかないと。杏樹さん、足を開いて……』
思い出しただけで顔から火が出そうになる。
普段の紘さんもカッコ良いのだけれども、あの時の彼は特にSっ気が強くて身体の奥からゾクゾクした。
背後から指導するように発せられた言葉が出る度に熱い吐息が耳元を掠めて、その度に思考が止まってしまったのものだ。
かと思えば、逆に私が紘さんに触れた瞬間、顔を真っ赤にして気持ちよさそうに顔を歪めて、年上相手なのに母性本能が擽られた。
ただ、少し残念なのは、添い寝が解消されてしまったこと。理由は寝不足になってしまう点と、感度を磨くために自主練を命じられた為だ。
『また一週間後に状態を見るから、しっかりシておいて?』
全ては初めてを最高な思い出にする為に。
「あぁ、もう……! 紘さん、好き過ぎる! 授業受けてる場合じゃないのに!」
「わっ! な、何? 及川さん、急に大声出さないでよ!」
え、あれ? いつの間にいたの?
頬を膨らませて怒っている莉子さんとニヤニヤと笑みを浮かべるミヨさんを見て、私はハッと我に返った。
自重しないと……。あまりエッチなことばかり考えていると変に思われるから、あくまで平常心を保っていかなければ。
「お二人とも、何か用ですか?」
「用ですかじゃないって! もうー! せっかく莉子が来てあげてるんだから無視しないでよー!」
「別に来て欲しいなんて一言も言ってないんですけど……? あ、ミヨさんには相談があるんですけど、聞いていいかな?」
「待ってって! 莉子のことを無視しないでよォー!」
「うるさいです、莉子先輩。及川先輩、何ですか?」
ギャーギャー騒がしい莉子さんを他所に、私はミヨさんに質問を投げた。
「やっぱり初めての時って……痛みを伴うものなのかな? 絋さんに指を挿れて慣れてて欲しいって言われたんだけど、実際どうなんだろうって思って」
遠慮のない生々しい問いかけに、さすがのミヨさんも口元を引き付かせていた。
そして何度か唸らせて、考え込んで、やっと口を開いた。
「——私の場合、未だに痛い時は痛いですよ? ナル先輩って容赦ないから。足もガクガクになって、ヒリヒリするほどヤり通されることも珍しくないし」
「え………?」
思わぬ答えに私は固まってしまった。
経験豊富なミヨさんですら、まだ痛い時があるの?
「あー、それ分かるかも! もしかしたら莉子もミヨちゃんも小さいからかもしれないけど、痛い時あるよねー。莉子は気分乗ってない時に、無理やりされたら萎える時もあるなァ」
莉子さんも?
え、私はあんなに気持ちよくて、思考も身体も蕩けそうになったというのに。
もしかして、これが運命?
やっぱり私と紘さんは運命の相手だから、身体の相性も良くて痛くないのかな?
そんな彼が、して欲しいと頼んできたのだ。
ちゃんと言うことを聞いて、しっかりと準備をしていた方がいいだろう。
そうだ、千華さんなら色々教えてくれるかもしれない。何となく絋さんと崇さんは似ている気がするし、千華さんもとても大事にされている気がする。
「はぁ……、恋って忙しいな。早く紘さんに会いたい」
「もう、及川さんって、何でそんなに無職野郎が好きなの? そんなにエッチが上手いの?」
もう無職じゃないけれど、莉子さんには絶対に教えてやらない。
私はクリスマスに【お泊まり♡】のスケジュールを入れ込んで、ニマニマと紘さんの写真を眺めていた。
———……★
千華「え? エッチの時に痛かったかって? ううん、私は全然痛くなかったよ? えっと一人エッチ? うちの場合、崇さんがそういうの嫌がるからなー。紘さんは一人エッチを強いてくるタイプなの? マニアックだねー♡」
杏樹「ま、マニアック?(紘さんはマニアックなんだ)」
崇は前戯をしっかりするタイプ。
紘は更に用意周到タイプ。
鳴彦は自己中でヤリたいときにヤるタイプ。
あと、添い寝の解消は一時的で、初体験♡を済ませたらタイトル復帰しますので、ご安心を✨
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます