第14話 そんな堅物にはエッチな下着をおみまいしてやれです♡

 親戚の鳴彦の彼女、ミヨ。

 そんな彼女に保健室へと送ってもらっているのだが、さっきよりも心臓がバクバクして落ち着かない。


「そっか、私と及川先輩ってハジメマシテかなぁ? 私はナル先輩の彼女候補の香坂こうさかミヨって言います。以後、お見知りおきを♡」


 鳴彦さんはこんな彼女がいながら私に変態行為や告白をしてきたのだろうか? 神経を疑う。そんなことをしている暇があったら、彼女に尽くしてあげればいいのに。


「ナル先輩ってお家ではどんな感じですか? ちなみに私とナル先輩はこの前もたーっくさん愛し合ったんです♡ ホテルでたっぷり濃厚で熱ーいのを注いでくれて……♡」


 マウントを取るように上から目線で告げてくるミヨ。そんな情報、どうでもいいって今までの私なら聞き流していたけれど、今は少し興味がある。


「熱いのって、やっぱりアレ?」

「当たり前じゃないですかぁ♡ ナル先輩からたーくさん出た、ア・レですよ、アレ♡ 先輩の精子セーシです♡」


 避妊もしないで行為を行なって、やっぱり最低だ鳴彦さん。でも少し羨ましいと思っている自分がいる。私も絋さんにたくさん注いでもらいたい。


「あの、ミヨさん。どうしたらそんなふうにしてもらえるの?」


 あくまで絋さんとの行為の参考に聞きたかっただけなのだが、勘違いしたミヨは怪訝な顔をして睨みつけてきた。


「———はァ? まさか及川先輩……私のナル先輩を誑かそうとしてるんですか? いくら先輩とはいえ、コロ⚪︎ますよ? その大きなおっぱいをギタギタに切り刻んで犬の餌にして」

「待って、違う! 間違っても鳴彦さんに試そうとは思っていないから!」


 この子、思考が恐い!

 見た目は小動物のように可愛らしいのに、発想が病んでいる!

 私が試したいのは絋さんだ。どうしたら彼に想いを告げられるのか、そして甘えることができるのか。恋愛下手な私には、その術が分からない。


「えぇー、及川先輩とその人って結婚するんですよね? エッチなんて日常茶飯事なんじゃないんですか?」

「か、彼は年上で……まだ学生の私に気を遣ってて。私はいつでも受け入れられるんですけど」

「ほえー、彼女がいるのに我慢できる男なんているんですね? ちなみに私は出会ったその日にホテルでエッチやりまくりでしたよ♡ やっぱり及川先輩に魅力がないから勃たないんじゃないんですかァ?」


 私に原因………。


「それともインポなんじゃないですか? だって男の人ってブラ紐が見えただけで勃つはずですよ?」

「それはあまりにも極端なんじゃ……」

「あ、ごめんなさーい。私、ナル先輩しか知らないからァ(テヘペロ♡)」


 でも、ミヨの言い分も一理ある。普通は狭いベッドで密着しながら添い寝をしていたら何か起きてもおかしくないはずだ。

 やはり何か原因があるのでは?


「及川先輩は彼氏さんと進展したいんですか? それなら素敵なものをプレゼントするですよ? ネットサイト密林で販売しているイランイランたっぷりの媚薬とエッチな下着です♡」


 パパパッと画面に映し出された商品は、大事な部分が白塗りされた面積少なめの下着だった。


「こここ、こんなのを着るの⁉︎」

「裸よりもつけている方がエッチな下着ですよ♡」


 今、ポチっと購入すれば夜までに届くと記されていた。

 買うの? 買うしかないの?


「えぇー、買うしかないじゃないですかぁ。先輩はその人と関係を深めて、ナル先輩に引導を渡さないといけないんですヨ? それともやっぱりナル先輩のことを……」

「鳴彦さんはない! 絶対にないから安心して⁉︎」

「それじゃ、これを買って彼氏さんとエチエチな夜を過ごして下さい♡ もし買うのが恥ずかしいっていうなら私がプレゼントしますよ? 一気に天国までイッちゃうローションもプレゼントしちゃいますから♡」


 こうして私はエッチな下着を着て絋さんに迫らないといけないこととなってしまった。


 ———……★


「これで襲わない男はインポです。もう見切りをつけて捨てるに限ります」

「や、やだ! 私は例え絋さんが勃たなくても、絋さんのことが好きだから見切りなんてつけたくない」

「大丈夫、大丈夫。ミヨを信じて?」


 ………あれ? ヤンデレ彼女を描こうと思っていたのに、気づけば囃されていたw

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