第2話
2024年7月某日、日本に帰国。
「暑いな~」
日本の暑さは赤道直下の国をも上回るものがある。
そんな気候に当てられながら、一緒に旅行していた10年来の友達と別れを告げ帰路につく。
私、
他にも、アニメ、漫画、勉強、動画配信が好きで、こっちのほうが頻度からして趣味らしい趣味だろう。
勉強というのは、学生時代からの習慣が抜けなかったもので、一般的な社会人からしたら考えられないかもしれないが、学生時代に継続して机に向かっていたタイプの方なら共感してくれるだろう。
最近は専ら英語の勉強をしている。
というのも、海外旅行に行くようになり、自分の英語力のなさを痛感しているからだ。
電車に揺られ、旅の疲れからくる睡魔と闘いながら考える。
今日の配信は旅行のことを話そう。
一週間空けちゃったけど皆見に来てくれるかな。
趣味に挙げた動画配信についてだ。
英語を勉強する中で、ネイティブのスラングなども知りたいと思い、英語圏の配信者の配信を見るようになった。
色々な配信者を見たが、その中でも日本文化に興味があり日本語をほぼネイティブ並みに話すバーチャルライバーが特に好きになった。
長年オタクをやってきた私にとって、イラストで存在しているバーチャルライバーは他の英語圏配信者と比べて受け入れやすかった。
イラスト素敵・・・
英語と日本語を切り替えると声のトーンが変わるんだなぁ
これは他では味わえない・・・。
などとトキメキを感じる当時の私であったが、その感情は現在進行形である。
英語を話すときは低めの声で大人っぽく感じるが、日本語になるとワントーン上がり、さらにほんの少し英語訛りなのもあり、子供っぽく可愛くなる。
キャラ付けじゃなくて意図せずこれなのがまた良い。
当初の目的とは違ってきてしまっているが、推しができることは喜ばしいことなので良しとしよう。英語を勉強するモチベにもなるし!
そこからしばらくは英語の勉強を兼ねて彼の配信を見る生活をしていたが、彼への憧れが止まらなくなり動画配信に挑戦するに至った。
彼に近づきたいとかそういった目的ではなく、彼と同じことをしたいみたいな感情だ。
言うなれば、推しと同じ香水をつけたいというのと同じだと思う。
だから同じようにバーチャルの皮を被る形式での配信を選んだ。
西東京にある自宅まで2時間。
無事帰宅したところで配信の準備を始める。
「Now Loading…」
待機中の画面が終了する。
「こんばんは~。
お待たせしました!
シンガポール行ってきたよ~~」
「お:こんばんは」
「Emi:こんばんは」
「カナ:こんばんはー待ってたー!」
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「みんな来てくれてありがとう!
ちょっと間空いちゃったから心配だったんだ~」
配信を始めて1年。
エンタメ向きでない自分の性格はわかっているので、事務所のオーディションなどは受けず、ずっと個人で活動している。
基本的には雑談配信をしている。
社会人生活を続けていると、話すネタは尽きない。
本業として配信をしている人にはできないことなので、存分に活用しようという作戦だ。
また、本業がプログラマなのを活かして視聴者と協力して簡単なプログラムを組む配信をしたり、趣味を活かして英語の勉強を一緒にする配信をしたりすることで一定数コアな視聴者層を獲得している。
日本の疲れた社会人には、仕事の愚痴を言うバーチャルライバーの姿がウケたようで当初の想定よりチャンネルは成長した。
そのせいで、やる気がないキャラが定着してしまったが・・・。
現に、本業を続けながら英語の勉強をしたり配信をしたりして、気合の入った生活をしているつもりだけど、それが表に出てこないんだよね・・・。
これがエンタメ向きではないといった性格の主な原因で、面接などその場だけでやる気を伝えなければいけないものが苦手だ。
やる気があることは継続できるし、勉強も怠らない。
長期的に見てもらえればやる気は伝わると思うが、その場だけで伝えるのはどうしても無理。
だから、個人で配信をすることにした。
せざるを得なかったと言ったほうがいいかな?
でもそれも個性だし。
自分のことを理解さえしていればそれを武器にできるのは今まで生きてきてなんとなくわかっている。
「この辺で終わろうかな!
明日も同じ時間にやるよ。来てね!」
楽しかったぁ。
応援してくれる人と話すのすごい癒される。
明日からの仕事も頑張れそう!
今日の配信が終わり、PCを閉じようとしたときメールの通知に気づいた。
件名:配信者交流パーティーのご案内
SAE様
お世話になっております。
株式会社Streamerの尾崎でございます。
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