第12話「最強軍団との出会い」


王から私たちが異世界に呼ばれた理由を告げられた翌朝、広瀬さんと私は緊張しながらも、新たな一歩を踏み出す準備をしていた。これから私たちが率いるべき「最強軍団」と出会い、その仲間たちと共に訓練を開始する日がやってきたのだ。


「最強の軍団って言われても、まだ実感が湧かないよね…」


広瀬さんが不安げに呟く。私も同じ気持ちだった。私たちがただのOLから、突然軍団を率いるリーダーになれるのか、その不安は消えないままだった。


しかし、王からの使命を受けた以上、私たちは逃げるわけにはいかなかった。勇気を振り絞って、私たちは軍団が集まっているという訓練場へと向かった。


訓練場に到着すると、そこには既に数十名の兵士たちが集まっていた。彼らは私たちが今まで訓練で見てきた普通の兵士とは違い、一目で強者だとわかる風格を持っていた。鋭い眼差しでこちらを見つめる彼らの視線に、私たちは思わず身を引き締めた。


「君たちが、この軍団を率いるリーダーになるのか?」


一人の大柄な男性が前に出て、私たちに問いかけた。彼は筋骨隆々の体格で、まるで戦士そのもののような雰囲気を纏っていた。


「え、ええ。そう、みたいです…」


私は緊張しながら答えたが、その声が震えてしまうのを感じた。しかし、彼は私の様子に気づくと、少しだけ笑顔を見せた。


「安心しろ。我々は王に仕える者として、君たちを全力で支えるつもりだ。私の名はヴァルド、この軍団の副官を務めている」


「ヴァルドさん、よろしくお願いします…」


広瀬さんが緊張しながらも挨拶すると、彼は頷いて他のメンバーを紹介し始めた。


「こちらはリリア、弓の名手で、遠距離攻撃を得意とする。彼女の狙いは決して外れないと言われている」


リリアと呼ばれた女性は、長い金髪をポニーテールにまとめた精悍な顔立ちの弓使いだった。彼女は軽く会釈をし、鋭い眼差しで私たちを見つめた。


「それから、ザック。彼はこの軍団のスカウトで、情報収集や潜入任務に長けている。戦闘だけでなく、頭脳を使った戦術も彼の得意分野だ」


ザックは細身の青年で、黒いフードを被っていた。その目は鋭く、どこか冷静沈着な雰囲気を漂わせていた。


「そして最後に、アイナ。彼女は回復魔法を扱うヒーラーだ。我々が戦うときには、彼女が背後からサポートしてくれる」


アイナは柔らかい笑顔を浮かべた女性で、長いローブを纏っていた。彼女の笑顔は、私たちに少し安心感を与えてくれた。


「このメンバーが君たちを支える最強の軍団だ。君たちがリーダーとして力を発揮できるよう、全力で協力する」


ヴァルドがそう言って締めくくると、私たちはようやく少しだけ落ち着きを取り戻すことができた。しかし、同時に自分たちの責任の重さを改めて感じた。


「リーダーとして何ができるかわからないけど…私たちは精一杯頑張ります」


広瀬さんが意を決して言うと、ヴァルドは力強く頷いた。


「それで十分だ。君たちがこの軍団を導くことで、この世界に平和をもたらすことができる。そのためには、共に力を合わせて戦おう」


その言葉に、私たちは小さく笑みを浮かべ、彼らと共に歩み出す覚悟を新たにした。


こうして、私たちは新たな仲間たちと共に、軍団を率いるリーダーとしての第一歩を踏み出した。試練はこれから始まるが、この仲間たちと共に乗り越えていけると信じて、私たちは前を向いて進んでいくことを決意したのだった。

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