第3話「王宮で明かされる真実」
広大な廊下を進んだ先に広がるのは、まばゆいばかりの大広間。天井には美しいフレスコ画が描かれ、豪華なシャンデリアが煌めいている。まるで物語の中の世界に足を踏み入れたような光景に、私はただ唖然とするしかなかった。
「こちらへどうぞ」
老紳士に促され、大広間の中央へと進むと、玉座に座る一人の壮年の男性が目に入った。彼の周りには豪華な衣装を纏った貴族たちが並び、全員がこちらを注視している。
「遠方よりの客人よ、ようこそ。この地の王である私が、心から歓迎しよう」
玉座の王は穏やかな声でそう語りかけてきた。彼の瞳には暖かさがありながらも、どこか厳粛な雰囲気が漂っている。
「えっと、ありがとうございます…。でも、どうして私たちがここに…?」
私が恐る恐る尋ねると、王は静かに頷いた。
「その質問は当然だ。あなた方がなぜこの世界に召喚されたのか、そしてこれから何をすべきか…そのすべてを説明しよう」
王の言葉に続いて、彼の隣に立つ賢者らしき老人が一歩前に出た。彼は長い白髪と長髯を揺らしながら、静かに語り始める。
「異世界からの召喚は、この世界の歴史において非常に稀なこと。しかし、時折訪れる重大な危機に際しては、異世界より選ばれし者が呼び寄せられるのです」
「え…選ばれし者…?」
私たちは何が何だかわからず、ただその言葉を呑み込むしかなかった。選ばれし者? 私たちが? 普通のOLである私たちが、一体何を選ばれたというのか。
「しかし、なぜ私たちが…」広瀬さんが不安げに問いかける。
「それはまだ明かせぬが、時が来ればわかるだろう」と賢者は答えた。「まずは、この世界に慣れることが先決。あなた方には、特別な宿泊所と手助けする者たちを用意している。どうか、しばし休息を取られよ」
「しばし休息を…って、私たちはどうなるんですか?」私はどうしても不安を隠しきれずに尋ねた。
「安心されよ、あなた方に危険が及ぶことはない。我が国の民全てが、あなた方の力に期待している。しかし、それがどういう力であるかは、これから共に見出していくのです」
賢者の言葉に、一瞬の安堵を覚えたものの、それはほんの束の間だった。私たちがこの世界で何をするべきなのか、何もわからないまま進むことに対する不安は増すばかりだった。
「これから何が起こるのか、正直、私は不安でいっぱいです」
そう言って広瀬さんと目を合わせると、彼女もまた、同じ不安を抱いていることがわかった。
「とりあえず、言われた通りにしてみるしかない…」
二人とも不安に押しつぶされそうになりながらも、私たちは王宮を後にし、用意された宿泊所へと向かった。この異世界で、私たちが本当に何かを成し遂げることができるのか――その答えは、まだ見つかりそうになかった。
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