第2話「異世界での第一歩」

「これ、どういう状況なの…?」


異世界に突然放り込まれた私、今田カヨは、目の前に広がる壮大な景色を前にただ呆然と立ち尽くしていた。草原の中にぽつんと立つ巨大な城、その光景はまるでファンタジー映画の一場面のようだった。


「カヨさん!大丈夫ですか?」


広瀬さんの声が背後から聞こえた。振り返ると、広瀬さんも同じように驚いた顔をしている。どうやら私だけじゃなく、広瀬さんも一緒に異世界に来ちゃったみたいだ。


「広瀬さん、私たち…どうしちゃったんだろうね…」


「わからないですけど、これってもしかして…異世界転移とか?」


「えっ、異世界転移? そんなの漫画や小説の中だけの話じゃないの?」


そう言いながらも、目の前の光景が現実であることを否定できない。これはどう見ても、私たちがいたオフィスとは別の世界。心の中に不安が広がり、どうしたらいいのかわからなくなった。


その時、突然目の前の城の門が大きな音を立てて開いた。門の奥から現れたのは、鎧をまとった騎士たちの行列。そして、その行列の先頭には、一人の威厳に満ちた老紳士が立っていた。


「よくぞお越しくださいました、異世界よりの客人たちよ!」


老紳士は深々と頭を下げ、私たちに向かって恭しく礼をする。その様子に驚いた私は、思わず広瀬さんと顔を見合わせた。


「え、客人…? 私たちが?」


「その通りです! 遠く異世界から来られたあなた方に、この国の王が謁見を求めております。どうか、私についてお越しください」


「え、ちょっと待ってください! これ、どういうことなんですか? 私たちはただのOLで…」


老紳士は微笑みながら、しかしその目には緊張感が漂っていた。


「すべては王宮にてお話しいたします。どうか、少しの間だけお待ちいただけますか」


言われるがままに、私たちは老紳士に導かれ、城の中へと足を踏み入れた。何が起こっているのか、私たちがなぜここにいるのか、まったくわからないまま、不安だけが膨らんでいく。


広瀬さんも、黙ったまま不安げに周りを見回している。城の中はまるでおとぎ話のように豪華で美しいけれど、それがかえって現実感を失わせ、まるで夢の中にいるような気分だった。


「広瀬さん、私たち、これからどうなるんだろう…」


「……わからないですけど、カヨさんと一緒なら何とか…」


そう言ってくれる広瀬さんに少しだけ安心感を覚えたが、やはりこの状況に対する不安は拭いきれなかった。私たちはただ、どうなるのかもわからないまま、王宮に向かって歩みを進めるしかなかった。


「お願いだから、何も起こらないで…」


そう祈るような気持ちで、私は重い足を引きずりながら、王宮への道を歩んでいった。この先に何が待ち受けているのかもわからないまま、不安に押しつぶされそうになりながら…。







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