第5話 露わになる正体
そして無事入部も決まり、寮の食堂での夕ご飯を迎えることができた。
今日は天ぷらが中心のメニューが用意されていて、沢山の天ぷらがバイキング形式で取り放題になっていて、天ぷらを選んだら天丼にするか、うどんもしくはそばと合わせて食べるか、それとも他のメニューを注文するかは個人の自由。
わたしは好きな天ぷらを選んだあと、萌黄さんと百地さんと同席するけれど、食べ放題なのに取り過ぎたりしている人がいないのはすごく平和でいいと思う。
それでも、運動部の人は食べ足りないのか、他の人より多めに食べているけれど。
「それで見つからなく——ゆかりん、それ本気?」
「秋川さん何を驚いて——え、忍足さん、他の天ぷらがなかったんですか? 一応、頼めば他のメニューも用意してくださるはずですよね……?」
二人は何故かご飯の上に、てんこ盛りに盛られたかぼちゃの天ぷらを見て驚いているけれど、や、やっぱりちょっと欲を出して取り過ぎたかな……?
「わ、わたしかぼちゃが大好きだから……、ちょっと食い意地が張っちゃったかな」
「量より種類が気になるよ。エビとかアナゴ、ウナギまであるのにかぼちゃだけって……」
「かぼちゃが好きなのは分かりますが、他の野菜などもあったほうが良かったと思います……。わたくしみたいに、ほうれん草のお浸しを付けくわえるなど……」
二人がわたしのことを白い目で見つめてくる。
まあ、近くにいた子も何故? っていう目でわたしを見ていたし、近くにいた食堂の人からもどうしたのかと驚きの目線を浴びていたし、厨房にいたお父さんと目が合った時にも露骨に呆れられていたし。
だって、この時期にこんな美味しそうなかぼちゃがいっぱい食べられるなんて思わなかったんだもん……。
「……知ってる? かぼちゃってカロチンが多いんだよ。つまり目に良いってこと。だからあの時霧山くんのボールペンを——」
「カロチンってそこまで目に良いわけじゃないでしょ! 誤魔化し方が適当過ぎだって!」
弁解しようがないからと、適当に誤魔化してお茶を濁そうとしたけれど大失敗。
次があるかどうかは分からないけれど、次があったら一個ぐらいは他の天ぷらをとっておこう。
「まあまあ、忍足さんもおいしそうに食べていますし、きっと問題ないと思います。……秋川さん、話が戻りますけれど、さっきの話題、今日霧山くんと八雲くんがいないことと関係してるんですか?」
「司は今日家の用事でいないだけだけど、蒼の方は多分そうだと思う」
「え? 何の話?」
「なんか私物がいつの間にかなくなるっていう話。多分入学や進級でうっかりしているだけど思うんだけどね~」
……部室や教室に置いてあったはずのものが、いつの間にかなくなっているという噂のことか。
実はさっきから萌黄さんと百地さんが話していたのも一応聞こえてはいたし、そういう噂が出回っていることも察知はしていたけれど、そろそろ話が広がって大きい火種になりかけている状態だ。
わたしが直接把握しているだけでも、約十人ほどがいつの間にか私物が無くなってしまったと主張している。
ここまで来ると何らかの形で誰かが盗んでいる……という話に発展しかねない。
少なくとも、初日に一年生の中でも一番目立っている霧山くんの私物が盗まれかけていることもある。
もし火種が燃えてしまったら、皆が皆がを信じられなくなってしまい、新学期が始まって早々、学園内に険悪なムードが広がりかねない。
「——ごちそうさまです。でも、現金やスマートフォンなどの高価なものは一切無くなっていないんですよね?」
「なら大袈裟にしなくても……ってわけにはいかないよね。霧山くんのボールペンみたいに、相対的な価値が低くても、本人にとっては唯一無二のものであるかもしれないから」
……やはりかもしれないけれど、調査をしてみる必要はあるかもしれない。
もしわたしの予想が正しければ、こんなことをするのは——
「あれ? 蒼、あんなところを一人で歩いてどうしたんだろ?」
ふと萌黄さんが窓の外にいる霧山くんを発見したけれど、本当にどうしたんだろうか。
特別寮のセキュリティのおかげか、特別寮内でそういうことが起っているわけじゃないのだから、こんな時間にわざわざ……いや、ちょっとまさか!
「あ! ごめん! 部屋でやることあるんだった! お休み!」
「お休みなさい……いきなりですね! ではまた明日——」
嫌な予想をしてしまったわたしは、急いで霧山くんの元に忍者モードで行くため、二人に挨拶をして遠回りだけれど一旦部屋に戻って、何故か校舎へ向かっている霧山くんを追いかける。
既に下校時刻を回った中等部本校舎。
事前に申請をしている生徒、もしくは職員などでない限り定められた下校時刻を過ぎて校舎内にいるのは校則違反だけれど、元々敷地内に入る時点で厳しいということもあり、万が一先生や警備の人に見つかっても、そこまで厳しくは罰せられはしないらしい。
でもらしいであって、ある程度の時間が経てば見回りの上施錠されるし、万が一許可なく朝までいることが発覚でもすれば即刻指導、もしくは退学処分なんてことだってありうる。
まあ、霧山くんは学園の関係者に近いからそこまで罰せられることはないだろうけれど。
そんな校舎内を、目立たないようにするためか、スマホのライトを使わず画面の明かりで廊下を照らして歩く霧山くん。
わたしは彼を追って天井に張り付いて、限界まで気配を殺し、また万が一他の人からも見つからないよう忍術でカモフラージュしながら慎重に彼の後ろを追っていくと、霧山くんはまだ施錠されていなかったわたしたちの教室の中に入る。
幸い、霧山くんは教室内に入る時にドアを閉めなかったから、わたしもすんなり教室内に入りこめた。
そして霧山くんは……自分の机の中を確認しだしたけれど、やっぱり。
「特に何も盗られてはいないか。盗んでくれれば、発信機が付いていたから特定できると考えたんだが……」
霧山くんは机の中に入れたあった私物であろう腕時計や、授業中で使用している普段使いのボールペンが机の中にあることを確認している。
やっぱり、一度私物が盗まれかけたということもあり、自分が釣り餌になれば半人が分かるかもしれないと思っての行動か。
霧山くんはひとまず自分の私物に問題がないことを確認したのか、再度机の中に私物を戻し終えようとしたその時だった。
突如教室内につむじ風が起り、まだ机の上に置いてあった腕時計が不自然な形で宙に舞い、そのままつむじ風に乗って教室を飛び出そうとする。
「——待て! いや、一体何だこれは……!」
彼の机から教室の扉まではある程度距離もあり、またつむじ風の速度も速かったことから、わたしはこのままでは彼の私物がどこかへ消える、いや盗まれてしまうと判断した。
わたしの任務は彼と親密な関係になり、彼を利用しようとするものから守ることだけれど、当然のことながら危害を加えようとする者からも守らなければいけない。
だから、わたしはつむじ風を使用し彼の物を盗むという危害を食い止めるべきだと判断した。
わたしは天井から身を下ろし、つむじ風に乗って教室内から廊下に行こうとする腕時計を手で捉え、奪取する。
いきなり現れたわたしに対し、霧山くんはすごく驚いているけれど、……身を隠し動きやすくしているこの忍装飾、見た目からして時代劇に出てくるような服装の上に、顔を隠すために付けている眼しか見えない狐のお面。
いきなりの事態が立て続けに起こり、霧山くんは完全にフリーズしているけれど、すぐに落ち着きを取り戻してくれた。
「お前、誰だ……?」
「私は、私は……」
霧山くんは目の前にいるわたしが、普段学校で接している忍足紫だとは気づいていないのか、わたしが誰かと質問を投げかけてきたけれど、しまった! もし彼の前に姿を現わす時にどう名乗るか、説明するか、こんなに早くわたしの存在を彼の目の前に立って明かすことになるとは思っていなかったから、何も考えていなかった!
えっと、まずは名前、名前名前……!
「——紫陽花と申します。あなたが昨年進学に合わせて秘密裏に依頼をしていた、ボディーガードの忍者です」
「ボディーガード……、忍者……? 俺はそんなことを頼んだ覚えはないが、きっと家に関係する誰かが頼んだのか。それはさておきひとまず俺の味方ってことでいいんだよな?」
「はい。少なくとも貴方の身の安全は守らせていただきます」
自分の名前である紫から、とっさに同じ漢字から始まる紫陽花を連想し、ノリで名乗ってしまったけれど、どうやら彼に違和感を抱かせたりはしていないみたいだ。
わたしとしてはてっきり霧山くん本人が周りから干渉されないよう、秘密裏に守ってくれるよう依頼していたと思っていたから、そこが違ったことの方が驚きだったりするけれど。
「なら早速聞かせてもらうが、今の旋風と最近多発している遺失物、何か関係があるのか?」
「はい。正確には旋風を起こしている者──そこか」
きっとわたしが霧山くんと話していることもあり、このまま逃げられると油断したのだろう。
わたしは咄嗟に身を翻し、こっそり教室の外に出て行こうとしていた手の平サイズ程の生き物を捕まえる。
……犯人の目星はついていたけれど、予想通りとは思わなかった。
「今、お前何かしたのか?」
「犯人を捕まえただけですよ。ご覧ください」
「……おい、だからなんだこれは!」
霧山くんはわたしの手の平の中にいる犯人を見て、ひどく狼狽する。
「そこまで驚く必要はないでしょう? 人に悪戯をする妖精、レプラコーンです」
わたしの手の中にいるのは、妖精レプラコーン。
もっと詳しく言うと、入学初日に霧山くんのボールペンを盗んだ女子、その女子がレプラコーンだったのだ。
ひとまず退学は免れて、停学処分になって寮にもいなかったはずだけれど、この程度のサイズになれるのなら学園内への出入りは多少気を付ければ全く問題ない。
鍵なども魔法を使えば簡単に出入りが出来るだろうし。
「──! ──!」
「どうやら苦しそうだぞ」
「ちょっと強く掴み過ぎていたかもしれません。少し緩めますが逃げようとはしないで下さい」
「──はあ! やっぱりあんたも亜人だったの?」
「亜人?」
「違います。検査しても結果には出ませんが正真正銘人間ですよ。特殊な訓練は受けていますが」
わたしとレプラコーン……名前を失念してしまったからレプラコーンさんとしよう、が話している中、何が何だか分からない霧山くんは混乱するばかりだ。
後から霧山くんの記憶を消去出来ればいいけれど、そんなことをする忍術はないし、諦めてきちんと説明した方が良さそうだ。
「きり──蒼様、簡単に魔族について説明しても良いでしょうか?」
「ん? ああ、このままなあなあで済まされても到底納得できそうにはないからな」
「では今から話す内容は内密でお願い致します。……この世界、日本どころか世界中では遥かな昔から姿形は人と似ていても、人を簡単に蹂躙したり、こちらの彼女のように人々から目を隠し特殊な能力や魔術を駆使できる存在がいます。それが通称亜人で、私が直接見たことがあるのはこちらのレプラコーンの亜人である彼女だけですが、エルフや獣人、この国ですと妖怪といった存在の者がいます」
「……忍者は亜人ではないのか?」
「私が使っているのは忍術、正確には亜人が使っている魔術を忍術として発展させたものを使用しています。亜人は元は人間から派生したような存在で、こちらの彼女のように完全な人間にいつでも成り替わることができます。なので言い難いのですが、逆に私が人間であることは完全に証明することはできません」
「なら、その上で質問をさらに続けるが、お前の身体能力、オリンピックにでも出れば好きなメダルを取ることができるだろう、……そんなことできるやつを同じ人間だとは思えないが……」
「この身体能力も忍術で補って、大幅な底上げをしているからです。例えばこの仮面と服も忍術で用意したものですので」
正確には制服の上から魔術で用意した忍装飾を身に纏って、忍術で生成したお面を付けているんだけど、護衛対象とはいえそこまで内実を明かさなくてもいいだろう。
一応話せることは話したけれど、これで彼が納得できるとは思えないし、何よりわたしという護衛がついていることを知らなかったんだ、彼からすればわたしも疑わしい対象だろうし。
「……一応その説明で納得しておこう」
「よろしいのですか?」
「お前がそこまで信頼できない人間だと、個人的に思えないだけだ。だが、その彼女はどうするんだ?」
霧山くんは私の手の中にいるレプラコーンさんを見ながら問いかける。
この彼女をどうするか、まずは──
「レプラコーンさん? 幾つか質問に答えて貰いますがよろしいですか?」
「何よ? っていうか早まったわたしの自業自得とはいえ、名前ぐらい覚えててよ。町田よ町田」
「では町田さん、最近学園内で私物が無くなっている件、貴女が関与していることには間違いないですかね?」
「そう、最後にあんたの部屋にでも置いてと思ったけれど、仮にやったとしても──」
「ほう、いい度胸をしているな……」
動機はわたしに復讐するためにした行動だったというわけか。
そんなことで人に迷惑をかけるなんて。
「く、苦し……、だって、そうでもしないと私の立場がないじゃない」
「窃盗をしておいて立場も何もないでしょう?」
「そうだけれど、あの人が近くに、同じクラスにいた以上、少しでも彼に群がる羽虫は削っておかなければいけないもの。何か物がなくなったって言ってた人、あんたには見覚えがあるんじゃない?」
「……そういえば、物がなくなったのは全員──」
「そう。霧山くん、君に興味を持っている女子」
ここまでするだなんて……確かに霧山くんの家柄などを含めて考えればそのぐらいの価値があるかもしれないとはいえ。
霧山くんもこの現状はむず痒いのか、少し顔を歪めている。
「……つまり、何かしらの亜人が俺の近くにいて、そいつさえ説得できればお前はこんなことをする必要はないんだな?」
「まあそうだけど……私からはこれ以上喋れないよ。本人は無自覚で私のことなんか意に介していないみたいだけれど、亜人からすればすごく有名な一家のご令嬢だもの」
「今、ご令嬢と仰ったことは問題ないのですか?」
わたしが指摘すると、完全に無意識の発言だったのだろう。
ただでさえわたしの手に押さえつけられている上、失言が露呈することへの恐怖で町田さんの顔色が真っ青になってしまった。
「……でしたらこうしましょう。何とかして私がその亜人の女子を説得してみます。それまではあなたはこれ以上動かずきちんと停学処分を受け止めてください」
「え、もうこうなったら返してもいいんだけど、いいの?」
「その亜人の方がどんな方かはわかりませんが、自業自得とはいえこのタイミングではあなたも色々と危険です。なので今はこれ以上何もせずに大人しくしていてください。……その後はきちんと物を返して学校に来てくださいね。その際は私も何かしらの手伝いをしますから」
わたしは手の中から町田さんを解放すると、そのまま彼女は何も言わずに教室の外へ飛び去ってしまった。
早まった彼女にも責任があるとはいえ、それほど強大な亜人がいるのならきっと彼女の焦りも行動も把握していたはず。
許す許さないという点以上に、この現状を放置したらきっと霧山くんも影響を受けるだろうし、手遅れになる騒動だって起こりかねない。
「逃して良かったのか?」
「本当の驚異となる亜人が明らかでない以上、彼女をこちら側に引き込めるかもしれないという打算を考慮しての判断です」
「本当にそれだけか? ……まあいい、もうちょっとゆっくり話せるか?」
「構いませんが、ここから移動しましょう。まだ校舎にいた先生が近くまで近づいているようです」
既に霧山くんにも微かに聞こえる程度まで、先生、もしくは警備の人の足音が迫っている。
監視カメラなどから身を隠してわたし一人がここから抜け出すことは簡単だけれど、霧山くんはそうもいかないだろう。
「ひとまず外から校舎の適当なところまで移動します。声を出したり、舌を噛まないようにしてください」
「え、ちょっと待て──」
わたしは有無を言わせず霧山くんを両手で抱え上げて、教室がある四階の窓から外に向かって飛び出す。
そのまま地上……だと誰かと鉢合わせる可能性もありそうだし、一旦壁を走って上階に上がり、普段は立ち入り禁止になっている屋上に移動した。
「ここなら騒がない限りは発見されないでしょう。急に驚かせて申し訳ございません」
「急の範囲がお前と俺とで噛み合ってなさそうだがな。改めてありがとうおし……紫陽花だったか。もう少し話をしてみたいんだが問題ないか?」
「私は問題ありませんが、今この時間と場所だと他の方に見つかった場合、貴方に妙な噂が立ってしまったり、怪しまれてしまう可能性もあります。なので、ひとまず明日以降でも問題ないでしょうか」
霧山くんは質問を後ろ倒しされたことに全く納得ができていなさそうだけれど、実際問題既に十九時を過ぎているし、さっきチラッとスマホを確認したら夕食からいきなりいなくなった後なんの音沙汰もないからなのか、萌黄さんと百地さんからも連絡が来ている。
こうなった以上はもう少し話をした方が彼の身の安全的にも適切なのだけれど、話すと大分時間を貰ってしまうし……。
「……分かった。確かに俺もそろそろ寮に戻っておかないと、なにをしていたのかと疑われかねないし今日のところは引き下がろう。お前は忍者みたいだから、部屋番号さえ教えておけば夜間、俺の寮室まで来られるか?」
彼も危ない橋を渡ってしまっていたことの自覚はあるようで、少しだけ考えた後納得をしてくれた。
だけれど、特別寮の霧山くんの部屋か。
そこなら誰かに話を聞かれたりする必要もないから、気兼ねなく話すことができるけれど、
「申し訳ございません。特別寮のセキュリティはすごく厳しく、私ではとても侵入できません」
「そうなのか。……なら明日二十時に俺の部屋に来てくれ。実は特別寮の中からセキュリティを少しだけ緩める方法があるんだ。そうすればお前なら来れるはずだ」
特別寮の中からセキュリティを緩める方法?
「まあ、部屋番号も今は言わないが、時間になればそこだけセキュリティが緩くなるはずだからお前なら来れるだろう。……助けてもらったことには感謝しているが、お前のことを完全に信用したわけじゃないからな、これぐらいの障害は越えてもらう」
「構いませんよ。その言葉が嘘ではないことを信じています」
「ああ、……それはそうと、ひとまず降ろして貰えないか?」
「抱きかかえたままでしたね。とはいえ、このまま校庭の人気のないところまで送らせていただきますのでご容赦下さい」
そしてわたしは霧山くんを抱えて校庭の人気のないところまで移動し、彼を降ろした後、そこから彼が寮まで移動するのを見送った後、ようやく自分の部屋に戻れた。
お父さんにも今日のことは報告して、これからどうするかを考えるけれど……強力な亜人を突き止めないと今度は霧山くんが直接狙われたり、同じような亜人による事件が起きる可能性がある。
それに町田さんにも行動を保留してもらっているし、……色々とやらなきゃいけないことは山積みだ。
明日から部活が始まるけれど、わたしに対する妙な噂も広がったままだから、そこも何とかしないと私生活の方で彼に迷惑をかけてしまう。
……ん? 任務のこととはいえ、わたし、なんか霧山くんのことばっか考えてるし、行動も霧山くん中心になって動いてるなあ。
まあ、写真で見た時にはただのかっこいい男子としか思っていなかったけれど、いざ話すと堅物っぽいのに変に抜けてて天然だし、教室とか夕ご飯の時とか話していて普通に楽し——違う違う違う、任務任務! あくまで任務で付き合ってるんだから!
でも、私生活は別枠で考えてもいいよね。うん。
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