第5話 スケルトン大量生産

 骸骨と目が合った。

 

「あのー」


「なんでございましょうか、わたくしはマイケルと言います」


「マイケルさん、ここは、そしてあなたは?」


「わたくしは死んでしまった死霊使いです」


「そうですか」


「スケルトンを大量生産する事が出来ます」


「それは怖いですね」


「怖いですねーそして生産するには食べ物が必用です。出来れば黄色い食べ物が良いです」


「答えはおのずと出ている気がするが、どうせバナナだろうが」


「バナナ1本につき、スケルトンが10体出来上がります」


「ここはバナナで骨を生み出す工場か何かなのか?」


「いえ、墓場です」


「そうか、取り合えず、ゴルさんにバナナを運ばせるからさ」


「ありがとうございます」


 いやに礼儀正しい死霊使いだなと思いつつも。


 ちょうどゴルさんがバナナの収穫を終えて、散歩がてらこちらにやってきていた。

 どうやって作ったのか分からないが背中にはカゴがある。

 バナナがざっと100本入っているのだろう。


「ゴルさーんバナナをこっちにー」


「ふむ」


 ゴルさんはゆっくりと歩きながら。

 レベルアップをし続けている。


 死霊使いの墓場に到着すると。

 ゆっくりと背中のカゴを下ろして間違ってぶちまけてしまう。

 土の中にバナナを吸収して。

 

「ああ、バナナがああああ」


 ゴルさんが悲しみの声を上げる。

 次の瞬間、死霊使いの頭上にレベルアップの文字がフィーバーならぬ連打で起きる。

 100回くらいはレベルアップしたと思われる。


 最初1000体のスケルトンが出現したのだが、死霊使いのマイケルがとてつもないレベルアップをしたせいで、スケルトンがウォーリアースケルトンになり、ジェネラルスケルトンになり、キングスケルトンになり、エンペラースケルトンになった。

 

 1体1体から宝石のような光が発せられる。

 なぜ名前が分かったのかと言うと、1体の骨が近くにいて、触って等価交換で調べていたんだが、それが変わり続けていたので理解出来た。


 エンペラースケルトンを1体生贄にすると。

 なんと勇者1/100となっていたので、エンペラスケルトンを100体生贄にした。

 面倒くさいので勇者を10体生産する事にした。


 ゲームに出てくる勇者が10人出現した。

 彼等はこちらに忠誠でも誓っているのか。片膝を下ろして。

 

 一言も発さない辺り、言葉が出ないようで。

 

「では、勇者1号、2号、3号、4号、5号、6号、7号、8号、9号、10号城の警備をしろ」


 すぐに、勇者10号までのメンバーが動き出した。

 ちなみに、歩くだけでレベルアップをし続けている。

 恐ろしいなこの世界はと思う次第。


 ゴルさんが次なるバナナ収穫に向かった。

 またエンペラースケルトンでも召喚しようか。


 何かよくわからないけど。

 着々と軍備が整ってきている気がする。

 始まりは本当にバナナからだし今もバナナに助けられている。


★ 


 上沢は、ゲートを通ってモンスター牧場にやってきた。

 なんか、ゲートの中にさらにゲートが生まれており。

 名前はゴゴリラの里と書いてある。


 あの後、どうやらリーリャは勝手に動いて、ゴゴリラを集め続けていたようで。

 ゴゴリラの里牧場には、数えきれないほどのゴゴリラがいた。

 おそらく300体は超えているだろう。

 

 リーリャが食事でいなくなってるのを見計らって、どうせバナナでも食べているのだろうけど。

 ゴゴリラを等価交換する事に。

 城は1つだけでは足りないかもしれないので、さらに3つ周りに配置させる事に。


 真ん中の主城。

 北に1城、南東に1城、南西に1城を建設。

 ゴゴリラ300体が消滅。

 リーリャがそれを見て発狂。

 放っておこう。


 城壁も出来上がり。


 城壁の周りを勇者10名が巡回。

 あの後、ゴルさんが死霊使いの元へとバナナを100本持っていき。

 さらにエンペラースケルトンを1000体増産。

 しかし、死霊使いマイケルがレベルアップしてしまい。

 エンペラースケルトンからゴッドスケルトンに変貌。


 ゴッドスケルトンに触れてみると。

 どうやら等価交換できない部類に位置するようだ。


 彼等を主戦力とする為にさらなる増産を。

 バナナが必用だ。

 目指せバナナ10000本。

 その為にはバナナの畑が必用。


 バナナを生贄にして。

 さらにバナナの畑を100個用意。

 バナナが枯渇状態になってきた。


 バナナの畑が成長するまで、上沢はサンドバックを殴り続けていた。

 もちろんレベルアップし続けていたのだが。

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