第2話 酒場

 バナナの木に池の水を与えると、あっという間にバナナが実っていく。

 この世界の水は驚異的だなと思いつつ成長に時間がかかりそうなので、岩の家に戻って、サンドバックを殴る蹴るを繰り返す。

 相変わらずレベルアップするんだけど現在何レベルか不明。

 そして何が強くなってるのかも不明。

 恐らく筋力関係なのだろうけど。


 まだ、太陽の位置的にはお昼時だろう。

 干し肉を食べて池の水を飲んで元気一杯にはならないけど、そうこうしているうちに、バナナが実った。またタックルをかますと、バナナの木が折れた。


「おおおおおおおお」


 喜ぶ以前の問題に、やらかした。

 バナナが30本とバナナの樹1本手に入った。

 まぁ、バナナ1本使えば、バナナの畑が出来る訳だけど。

 バナナの樹の等価交換を調べてみる事に。

 謎の声が相変わらず頭に響く訳だがスルーしてと。


【バナナの畑×10個】と言う物に等価交換できるそうなので、つまりバナナの樹が10本と言う事だろう。バナナの畑を近場に片っ端から出現させる。

 池の水やりが少し面倒くさくなってきたけど、まぁ気にしないでおこう。


 バナナ30本使って、酒場を出現させてみた。

 簡単に言うとファンタジー小説に出てくるような、ファンタジー映画に出てくるような恒例の酒場が出現した。


 酒場の中にはなぜか人が立っていた。

 それもお爺さんだった。

 険しい顔をしてこちらを睨んでいる。


「はて?」


「誰ですか?」


「わしは酒場の亭主のゴルじゃが、突然ここに出現させられたようじゃが、何をすればいいんじゃ?」


「じゃあ、バナナの畑に水をやってバナナを収穫してください」


「うむ、そうしよう」


 なぜか、酒場の亭主にバナナの畑を任せる事にした。

 ゴルさんは険しい顔をした爺なのだが、どことなく悲しそうな顔をしている。

 まぁただの爺なのだろうけどさ。


 ゴルさんはとてつもなく動きが遅いが、歩くだけで頭の上にレベルアップと出現している。

 スゴイ、この世界の人は頭の上にレベルアップと現れるようだ。

 しかも、何のレベルが上がってるのか不明だ。

 さらに、現在ゴルさんのレベルも不明だ。


 この世界の人はレベルアップと出るが年齢が分からないようにレベルも分からないようになっているのかもしれない。


 これではどれだけ強い敵かが分からないので倒せる自信がないのだが。


 石ころを集めて干し肉にする事を忘れなかった。


 ゴルさんは動くだけでレベルアップしていく。

 1歩歩く前のゴルさんは5歩歩くと進化している。

 あれか、猿から人間に進化する原理なのか。 

 腰が曲がっていたのに、30歩歩いて、バナナの樹に池の水を与えているだけで、レベルアップし続けている。

 ゴルさんの腰はまっすぐだ。


 進化してしまったようだ。

 上沢も負けじと、岩の家に入ってサンドバックを殴る蹴るを繰り返してレベルアップし続けている。


「ほれ、出来上がったぞ」


 ゴルさんは岩の家の前に献上品のように300個のバナナを置いてくれていた。


「ありがとうございますゴルさん、休んで下さい」


「うむ、酒場で休憩していようかのう」


 そう言ってゴルさんは酒場に筋骨隆々になった状態で戻っていった。


「あれか、若返ったのかゴルさんは」


 バナナ30本を等価交換してモンスター牧場を設置してみた。

 牧場というよりかはどこかに繋げるゲートが出現した。

 とりあえずそこのゲートをくぐると、広々とした世界が出現した。

 荒野から平原になり、さらにゲートが無数にある。

 

 ゲートの上には未開拓と書かれてある。

 

 小屋があったのだが、そこには1人の女性が立っていた。


「あれぇ? ここはどこかしら、モンスターを集めていたんだけどね」


「俺は上沢って名前だけど、君は?」


「あのぉ、ここはどうやら知らない世界のようですねぇ、私はリーリャです」


【モンスター牧場ではモンスターを集めて放牧しておく事が出来ます。モンスターをある程度集めると新しいモンスター牧場ワールドが開かれます。モンスターはリーリャの指示を聞きます。リーリャをパーティーに入れて行動する事で、モンスターを手なずける事が出来ます】


 急に饒舌になった謎の声に感謝しつつも。


「どうやってパーティーに入れればいいんだ」


【冒険者ギルドの名簿一覧に記入する事です。現在3人までパーティーを組む事が出来ます】


「冒険者ギルドか、何かの等価交換で建てれれば良いんだけどな、取り合えずバナナを使ってみるか。リーリャさん一緒に来てください」


「あ、はい」


 リーリャさんは黒髪のロングヘアーをしていて、獣の毛皮のような衣服をしている。

 酒場の亭主ゴルさんは白シャツに黒ズボンだったが、こちらは本当にモンスター使いと言うイメージであった。


 リーリャさんとゲートをくぐると、赤茶色の世界の荒野に戻った。

 バナナ270本を等価交換で使用して見た。


【冒険者ギルド】がリストに表示された。

 

 心の中でほっと溜息をつくと、酒場の隣に冒険者ギルドを設置した。

 ちなみに、ゴルさんの休憩は終了を迎えて、バナナの樹に水やりを始めている。

 

 冒険者ギルドは酒場よりかは大きく、中に入ると、1人の眼鏡をかけた女性がカウンターでにへらーと笑っていた。


 こちらと目が合うと、しょぼしょぼと目をぱちくりさせた。


「あのーここはどこなんでしょうか」


「俺にも分からないんですよ、取り合えずあなたは? 俺は上沢ですが」


「クルシマと言うものですよん、さてと、冒険者ギルドのギルドマスターをしているのよん、よろしくねー」


「よろしくお願いします。とりあえず、名簿にリーリャさんと俺の名前を記入でよろしくお願いします」


「パーティー名はどする?」


 このクルシマという冒険者ギルドマスターはフレンドリーに接してきてくれたので少しだけほっとする。


「バナナで」


「はいおー」


 パーティー名バナナに決まりました。

 少し意味不明だけど、もうバナナに助けられてるのでお礼を込めて見た。


 さてと、モンスターでも探してみようか。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

等価転生~なんでも生贄でクラフト~ @DrBOMB

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ