【隠し撮り】かげみ町役場【流出】

町長の五十嵐いがらし正志まさし、電話口にて(インタビュー中)


「あれは我が町の評判を貶める悪質な偽動画です。法的措置も検討中です!」


五十嵐町長は、怒りを抑えきれない様子で電話口で語気を強めた。その声には、単なる怒りだけでなく、何か隠そうとしているような焦りも感じられた。


【役場内部の様子】


【慌ただしく動き回る職員たち】


町長のインタビューが終わるや否や、役場内は騒然となった。職員たちは資料を抱えて廊下を行き交い、小声で何かを話し合っている。普段の落ち着いた雰囲気はどこにも見当たらない。


【緊急会議の様子】


会議室のドアは固く閉ざされているが、中からは激しい議論の声が漏れ聞こえてくる。


参加者

・五十嵐正志町長

・観光課長████

・広報担当████


会議室の外では、他の職員たちが不安そうな表情で立ち話をしている。「このままじゃ大変なことになる」「観光客が来なくなったらどうしよう」といった声が聞こえてくる。


観光課長の独白

会議室から出てきた観光課長は、深いため息をつきながらつぶやいた。


「これを逆手に取って、町おこしに使えないだろうか……」


その目には、困惑と共に、何かひらめいたような光が宿っていた。


追記


この日以降、かげみ町役場は外部からの問い合わせに対して、「調査中」という回答のみで詳細なコメントを避けるようになった。町の公式ウェブサイトにも、この件に関する説明は一切掲載されていない。


町民の間では、役場の対応を不審に思う声も上がっているが、表立って抗議する動きは今のところ見られない。




匿名研究者の編集室


彼は、散らばる資料の山を前に深いため息をついた。複数のモニターには、かげみ町に関する様々な分析結果が映し出されている。その目は、その膨大な情報の海を泳ぐように行き来していた。


眉間にしわを寄せながらつぶやく。


「この動画が本物だとしたら……かげみ町で一体何が起きているのか?」


デスクに広げられたかげみ町の古い新聞記事が、彼の注意を引いた。見出しには「連続失踪事件、未だ謎のまま」(1993年8月15日付)とある。記事の一部を目で追う。


「今年に入り、既に7人の若者が行方不明に。警察は捜査を継続中だが……」


彼はこの30年前の記事と最近の出来事との関連性に思いを巡らせてゆく。頭の中では、複雑なパズルのピースが少しずつ組み合わさりつつあった。


パソコンに向かい、検索を始めた。「かげみ町都市伝説」「影美失踪事件」「影美の森怪談」――次々とキーワードを入力していく。


検索結果の中から、特に興味深いものをピックアップする。


1.地元の怪談サイトでの「影美森」伝説に関するスレッド

2.ブロガーによる「かげみ町ミステリーツアー体験記」

3.「地方都市の衰退と都市伝説の関係性・かげみ町をケーススタディとして」という学術論文


彼は、これらの情報を頭の中で整理しながら、静かにつぶやいた。


「これは単なる都市伝説ではない。かげみ町には、何か大きな秘密がある。しかし、その真相に迫るのは容易ではなさそうだ……」


その表情に、不安と興奮が入り混じっていた。長年の研究者としての直感が、この事件の奥深さを告げている。彼は、もう一度資料に目を通し始めた。真実はきっとここにある。それを見つけ出すのが、自分の役目なのだと。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る