7 読者を引っ張る要素のはなし
さすが巨匠、という話です。
私は以前、物語の進行方向がはっきりしている話が好き、と書きました。ですが世の中には物語の進行方向がはっきりしていなくても面白い作品があるはずです。以前に読んだ小説を思い返して探してみました。
『死者は噓をつかない』(スティーヴン・キング/著 土屋晃/訳)
ファンではありません。自分好みの内容だったため読んだだけです。作品を語れるほど作者にも詳しくありません。知っているのは巨匠というぐらいです。
本当に巨匠でした。
二十代の主人公が幼少期からの話をする、という体裁の小説でした。本文中で主人公が言及しているぐらい「後で」や「のちに」という表現が多く出てきます。
途中で「だから後でなんなのさ!」と思いながら読み進めました。
細かい出来事や謎はあるものの、序盤から続く事件のようなものはなく、物語の進行方向はよくわかりませんでした。けれど最後まで読みました。
そして最後まで引っ張る要素を考えてみたら「後で」や「のちに」だったのではないか、と思いました。
まさに「だから後でなんなのさ!」という好奇心ゆえに最後まで読んだのだ、と。
この作品の原題は「Later」だそうです。
さすが巨匠です。見事に術中にはまっていました。こうして改めて考えることをしなければ、おそらく一生気づかなかったと思います。
ただ悲しいかな、高度なテクニックすぎました。また「読んでいる間に、スティーヴン・キングというネームバリューが頭の片隅になかったか?」と問われると否定できません。
物語の進行方向がはっきりしていなくても面白い作品……長いうえに否定的なので「読者を引っ張る要素」と今後は言い換えましょう。
「読者を引っ張る要素」は何か。
ほかの小説も探してみます。
では、次回。
……短いですね、今回。
カクヨムのヘルプによると「読者にとって読みやすく適正な文字数を心がけてください」とあります。
「適正な文字数」が何文字なのか不明ですが、ここは変な二部構成エッセイ。最近の脳内の議題について書いておきます。
気に食わない作品と腑に落ちない作品について。
気に食わないのは好みの問題、という結論は出ているのですが、腑に落ちない作品は何なのでしょう? 突き詰めて考えていけば好みとして何とかでき……うーん?
つらつら考えています。
以上です。
※訳者のお名前を入れ忘れていました。追記しました。
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