5 夏の自由研究「興味を持つタイトルの共通点」

 「なんだろう」と思わせる言葉、という研究結果です。


<背景>

 どれがタイトルなんだろう? カクヨムを初めて見たときの感想です。キャッチコピーとタイトル。どちらも長いので最初は区別できませんでした。

 作品が完成し、タイトルを決めて不安になりました。これは人を惹きつけるようなタイトルなのだろうか、と。タイトルやキャッチコピーの作り方が書かれたエッセイや創作論も確かにあります。ですが自分の作品を自分好みの作品にして良い作品を目指しております。自分のことは自分で研究しなくてはなりません。


<目的>

 自分が興味を持つタイトルの共通点を発見する。


<手順>

 以下の手順で行いました。

・興味を持った作品を抽出する

・タイトルを分類する

・抽出理由を分類する

・結果を考察する


作品の抽出

 以下の手順で行いました。

・異世界ファンタジー、現代ファンタジー、SF、ホラー、ミステリーのジャンルを選択する(※1)

・新着順にソートする(※2)

・タイトル、キャッチコピーの順で読む

・紹介文に目を向けたらタイトルとキャッチコピーを記入する

・タイトルよりもキャッチコピーに興味を持ったものはその旨を記入する

・タイトル、キャッチコピー、紹介文(冒頭部分)に目を通し、ページを開いたものはその旨を記入する


 以下の点を補足します。

・紹介文のないもの、タイトルに興味を持ってもキャッチコピーが作品のキャッチコピーになっていないもの(※3)は除外する

・個人的に必ずクリックしてしまうワードを含む作品は除外する

・続編やスピンオフ作品を思わせるものは除外する

・タイトルは日本語か英語で表記されているものに限る

・キャッチコピーは日本語で表記されているものに限る(※4)

・たとえ紹介文にイラっとしても記入する


※1 読んだ経験の少ないジャンルは選ばない可能性が高いため除外した

※2 先入観を持たないよう初見のタイトルから抽出するため

※3 同名作者の別の二作品が同じキャッチコピーを採用していたため

※4 日本語しかわからないため


<結果>

タイトルの抽出結果

 一時間ほどかけ50作品を抽出しました。50作品中、タイトルに興味を持ったのは26作品、タイトルよりもキャッチコピーに興味を持ったのは24作品でした。

 また50作品、ページを開いたのは5作品でした。


タイトルの分類とその結果

 タイトルに興味を持った26作品のタイトルを4つに分類した結果、以下の通りになりました。

・単語(造語含む)のみ ……5作品

・文(※5)   ……4作品

・サブタイトル付き   ……4作品

・そのほか(※6)   ……13作品


 サブタイトル付きの作品の組み合わせは以下の通りです。

・単語(造語含む)と文 ……1作品

・そのほかと文   ……2作品

・そのほかとそのほか   ……1作品


 タイトルよりもキャッチコピーに興味を持った24作品のタイトルを4つに分類した結果、以下の通りになりました。

・単語(造語含む)のみ ……6作品

・文     ……3作品

・サブタイトル付き   ……4作品

・そのほか     ……11作品


 サブタイトル付きの作品の組み合わせは以下の通りです。

・そのほかと文 ……3作品

・文と文 ……1作品


※5 主語のない文、形容詞文を含む

※6 「〇〇と〇〇」、「〇〇の〇〇」、「〇〇な〇〇」など、国語力が足りずに分けられなかったもの


抽出理由の分類とその結果

 抽出理由は以下の5つに分類しました。

・設定 ……「なんだろう」と思わせる言葉に興味を持った作品

・展開 ……登場人物が「どうするんだろう」と思わせる作品

・結末 ……「どうなった」かが気になる作品

・理由 ……「なぜ」、「どういうこと」と理由が気になる作品

・そのほか ……タイトルか事実か判断できずに気になった作品


 タイトルに興味を持った26作品の抽出理由を5つに分類した結果、以下の通りになりました。

 内訳はタイトルを5つの分類に分けた順番で記載してあります。

・設定 ……15作品(内訳:5作品、1作品、1作品、8作品)

・展開 ……6作品 (内訳:0作品、2作品、1作品、6作品)

・結末 ……1作品 (内訳:0作品、0作品、0作品、1作品)

・理由 ……1作品 (内訳:0作品、0作品、1作品、0作品)

・そのほか ……2作品 (内訳:0作品、1作品、0作品、1作品)



 タイトルよりもキャッチコピーに興味を持った24作品の抽出理由を5つに分類した結果、以下の通りになりました。

 内訳はタイトルを5つの分類に分けた順番で記載してあります。

・設定 ……10作品 (内訳:4作品、2作品、1作品、3作品)

・展開 ……6作品 (内訳:1作品、1作品、2作品、2作品)

・結末 ……1作品 (内訳:0作品、0作品、0作品、1作品)

・理由 ……7作品 (内訳:1作品、0作品、1作品、5作品)

・そのほか ……0作品 (内訳:0作品、0作品、0作品、0作品)


<考察>

 まず興味を持った50作品中、タイトルに興味を持った作品とキャッチコピーに興味を持った作品はほぼ同数ということがわかりました。

 これはPCサイトで新着順にソートしたものを閲覧したからタイトルを先に見たというだけです。PCサイトのトップページやスマートフォンのアプリで表示される作品の場合、先に目に付くのはキャッチコピーです。

 タイトルは読者を混乱させるため容易に変えにくい、ということを考えると、力を注ぐべきなのはキャッチコピーなのかもしれません。

 また実際にページを開いたのは50作品中5作品でした。数が少ないため傾向を見ることが難しいですが、ページを開いた決め手は3作品が紹介文、1作品がタグ、1作品がキャッチコピーでした。


 次に文となっているタイトルが想定よりも少ないということがわかりました。

 サブタイトル付きの作品のうち、文を含むものを数に入れたとしても全50作品中14作品。3割ほどがタイトル中に文を採用していることになります。ただ、これは全体の傾向をとらえたものではありません。

 人が興味を持つ言葉を多く盛り込むことができる、という点においては、タイトルを文にすることは効果的だと思います。


 そして作品の抽出理由については、設定に興味を持ったものが最多でした。この設定は奇抜な設定というわけではありません。キャッチ―な単語であったり、「真の〇〇」、「とある〇〇」という言葉だけでも興味を持ち、紹介文に目を通していました。


 最後に抽出理由の「そのほか」については調べた結果、両方ともタイトルではなく事実だったことが判明しました。

 片方の作品はタイトル中に「削除します」と書かれており、作品を削除するのか、作品中で何かを削除するのか判別ができないため紹介文に目を通しました。

 もう一方の作品は「タイトル募集中」とあり、本当に募集しているのかそういう内容なのか判別できずに紹介文に目を通しました。

 閲覧者に興味を持たせるという意味だけとらえれば、そういうタイトルもありなのかもしれません。


<結論>

 研究の結果、タイトルは必ずしも長文である必要はないことがわかりました。またキャッチコピーだけでも興味を持たせることができます。「なんだろう」と思わせる言葉をタイトルやキャッチコピーに据えたり、盛り込んだりすることで、作品の魅力を伝えることができます。


 今後の課題は抽出作品数を増やすことです。抽出作品数が増えればジャンルごとタイトルの傾向などが見えてくるのではないかと思います。

 抽出方法を考え直し、客観性高めていく必要もあると感じました。今回はPCサイトのみで調査しましたが、スマートフォンアプリで調査を行えば違った結果が見えてくるかもしれません。本研究の目的とは異なりますが、客観性のある手法を確立できれば、自分だけでなく人が興味を持つタイトルの共通点を見いだせると思います。


<謝辞>

 誠に勝手ながら研究に使用させていただきました作品の作者の皆様には、お詫びとお礼を申し上げます。皆様の作品が広く読まれますことを心より応援しております。


以上、夏の自由研究でした。

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