3 プロットのはなし その2
物語の進行方向がはっきりしていて満足の得られる話が好き、という話です。
カクヨムにユーザー登録する前後で最も違うことは、レビューを書くという行為でした。
人様の作品を評価したくないので、基本的に星もハートも読み終えたらつけてしまいます。好きな小説、素晴らしと思った小説、参考になった文章は、つたないながらもレビューを書いています。「読みました」ではなく「好きな作品」ということを伝えたいからです。
お手本は公式のレビューです。
最初に作品の説明があり、どのような点が面白いのか書かれ、締めの文章という構成でレビューを書けば間違いはなさそうです。
なぜプロットの話を続けるのに長々とレビューの話を書いているのかといえば、レビューを書くことが好きな点を探し出すことにつながったからです。
プロットという観点において私の好きな点は今のところ二つあります。
1.物語の進行方向がはっきりしている
2.満足を得られる
『蒲生邸事件』は私の好きな作品の一つです。二度あることは三度ある。三話目も『蒲生邸事件』を例に説明させていただきます。
1.物語の進行方向がはっきりしている
前回で触れた「主人公が現代に帰れるのか?」ですね。メインストーリーを見失わないでいられるからこそ、「二・二六事件」や「蒲生邸で起きる事件」が濃くても最後まで物語を追いかけていけるのだと思いました。そう考えると、私がミステリーが好きな理由でもあるかもしれません。ミステリーは「謎を解く」という明確な進行方向がありますから。
2.満足を得られる
これは主に結末部分のことです。発端・展開・結末の三部構成でプロットを考察した前回。結末部分はネタバレになりそう、かつ、説明しなくても言いたいことは言えるので省略しましたが、語ります。語らせてください。
結末の部分では複数あったサブストーリーがいくつか終結していきます。「主人公が現代に帰れるのか?」の答えも出ます。答えが出た後は「主人公(たち)はどうなるのだろう?」と新たに知りたい点が出てきます。『蒲生邸事件』は、ここからが本当にすごい。私は「知りたい点」という表現を使いましたが、この作品はほかにもサブストーリーとは言えない「知りたい点」が物語のはじめから豊富にあり、それがきれいに、見事に解決していくのです。物語という川の上流から下流へ流れてきた「知りたい点」を筆者が一つ一つ丁寧に掬って、息吹を与えて羽ばたかせていく……(うまく言い表せません……)。そんな光景を思い浮かべるような伏線回収がなされていきます。それはもう満足感たっぷりです。
補足ですが、伏線回収が満足というわけではありません。
『蒲生邸事件』では「メインストーリーの解決」と「サブストーリーの解決」と「知りたい点の解決」が結末の部分に集合したことで、たくさんの満足を得られたということです。
例えば「主人公が恐怖の館から生還を目指す話」の場合。結末で主人公の生死が判明さえしていれば、どちらでも満足が得られる、ということです。
同じ設定でも「主人公が恐怖の館の謎を解く話」だった場合は、謎が解けさえすれば主人公が生死不明でも満足は得られる、と思います。
仮定の話ですし、実際の作品を例に挙げると完全なネタバレになってしまうのでうまく説明できないのですが……。(例えの話ですが、ラストで死んでてもいいなんて思われている主人公……、不憫)
以上の二点を踏まえ、自分の作品のプロットを分析する前に……プロットを書いたら自分の作品の大きな間違いに気づきました。
「魔法使いが勇者をおもてなしするコメディ」
そもそもこれが間違いでした。
自分でも本当にびっくりしました。プロットを書き起こして、とことん要素をはぎ落して、短くまとめたら全く違うんですから。正確には「魔法使いが勇者の訪問を乗り切る話」でした。
やっとプロット分析のスタートラインに立てます。
1.物語の進行方向がはっきりしている
これは大丈夫そうです。そもそも短編ですし、サブストーリーもひとつしかありません。いくら私が脱線しがちとはいえ、手直しぐらいで済みそうな範囲です。
2.満足を得られる
これ。完全にこの部分がダメでした。結末部分がふわっとしている。それに以前、言われたことがあるんですよ。「伏線の回収が早すぎる」と。でもどう後に持っていくのかわからなかったんです。
『蒲生邸事件』のプロットを考察してみて、メインストーリーの進展が目立たなくてもサブストーリーがそれを支えてくれる、ということに気づきました。
また第一稿をプロットに書き起こしてみると、余計な要素が抜けてメインストリーのラインが見えてきました。そのラインを消すことなく、サブストーリーを盛り上げれば伏線の回収を後に持ってくることができそうです。
これは手直しレベルではないので、本腰を入れて書き換えてみましょう。
では次回。
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