第6話 ヤミのステージ

「お客さん、どちらまで?」


 週末の宵の口。

 タクシーに乗り込む。


「あー、プリンスホ、赤坂の………」


 行き先を伝えると、


「はい」


 走り出すタクシー。

 車窓から、流れる景色を見る。


「さてと」


 ホテルの車寄せで、料金を払って降車すると、早足で受付まで行き、


「予約してました………です」


「あっはい、308号室です。エレベーターは、こちらです」


 チェーンに、部屋番号の書いてあるプラスチックの付いたカギをカウンターに置くベルガール。


「ありがとう」


 カギを受け取って、エレベーターに乗る。


「ふぅ」


 部屋に入って、一息つくと、


コンコン


 ドアが、ノックされる。


「来たな」


 のぞき窓から見ると、グミちゃんだ。


ガチャ


「プロデューサーさ~ん」


 屈託のない笑顔のグミちゃん。


「おう。早く入っ………え?」


 死角のところに、もう一人誰かいる。


「さあ、まみな先輩。入って」


 手招きするグミちゃん。


「はっ、はい」


 売れっ子アイドルの、まみながいる。


「どうした? なんでまみながいる!?」


 血の気が引く。


「………んー」


 モジモジするまみな。


「まみな先輩。ちゃんと言ってくださいよぉ」


 目が、笑っていないグミちゃん。


「んぐ。ごめんなさぁい」


 いきなり、あやまるまみな。


「なんだ? なぜ、あやまっているの?」


 ワケが、わっかんない。


「プロデューサーさ~ん。先輩がワタシたちがラブホから出るのを、みちゃったみたいなの」


 とりあえず、部屋に入れて事情を聞く。

 グミちゃんに押されて、ベッドに横になるわたし。


「見ちゃいました~」


 手を合わせるまみな。


「えっ、じゃあみんなに言ったのって?」


 この子が、言いふらしたの?


「違うんです。一番仲のイイ、メンバー一人にだけグミちゃんがラブホから出て来たって言って、絶対だれにも言わないでって言ったのに………」


 困った顔をするまみな。


「そうなんだ」


 うーん、なるほど。

 わたしの横に、寝転がるグミちゃん。


「プロデューサーさんだけには、迷惑がかからないようにしたら、グミちゃんが一般人と遊びでセックスしてるって、尾ひれが───」


 そう、まみなが言うと、


「あんた、ワタシには迷惑イイの」


 グミちゃんが、苦笑いする。


「よくないですぅ」


「それじゃあ、ちゃんと癒してもらうわね」


 グミちゃんが、両手をふんわりと動かすと、まみなの両肩が上がる。


「はい、ごめんなさぁい」


 呼吸が、早くなるまみな。


「なにを、させる気なの?」


 なんか、これって………


「プロデューサーさんは、黙って寝ててください」


 動けなくなるわたし。


「それじゃあ、舐めてもらおうかしら」


 妖しく、手を動かすグミちゃん。


「えっ………?」


 キョトンとした顔をするまみな。


「あ・わ・び」


 わざと、セクシーに言うグミちゃん。


「はいっ。クリちゃんを舐めさせていただきます」


 理解するまみな。


「早くして」


 グミちゃんが、手招きするとベッドに飛び乗るまみな。


「ちょっ、彼女はトップアイドルよ?」


 こんなことって!?


「プロデューサーさん、黙っててください」


 起き上がろうとしたわたしを、また横にするグミちゃん。


「舐めさせて、いただきますね」


 グミちゃんの、股間を見つめるまみな。


「違う」


 冷静に言うグミちゃん。


「へっ?」


「プロデューサーさんの方が、先でしょ?」


「はい。そうでした」


 横に動いて、わたしの方に来るまみな。


「え゛、ちょっと、まみなちゃん!?」


 これって、現実なの?


「プロデューサーさん………マタを開いてください」


 グミちゃんが、そう言うけど、


「ねぇ、やめよ~?」


 絶対に、開かないわよ。


「ほいっ」


 グミちゃんが、右手の人差し指をクルッとすると、


「キャッ。勝手に開くぅ」


 ふんわりと、ひろがる。


「さあ、楽しみましょう。プロデューサーさん」


 天使のような笑顔のグミちゃん。


「やっ、本当に舐める気? あっ」


「おいしいです。プロデューサーさん」


「わー、マジでか」


 まみなが、わたしの股間に顔をうずめている。

 なんなんだコレは!?


「んッんッれろ~」


「ひぃ………あーん、やめよぉ~」


 止めるわたし。


「ひもひイイでふは?」


「そりゃあ、気持ちイイ………って、やーーーぁ」


 顔から、火が出そう。


「気持ちイイってさ。もっと舐めてあげなさい」


 目を、細めるグミちゃん。


「はひ!」


「ちょっと、止め、ん~、止めてよグミちゃん!」


 グミちゃんに、助けを求める。


「だって、この子がワタシとプロデューサーさんの仲を裂こうとするからイケナイのよ」


 まみなの肩を、なでるグミちゃん。


「はぁん、それでもこういうのはダメよぉ~」


 頭を振る。


「気持ちイイくせに、よく言えますね」


 そう言って、わたしの耳を舐めるグミちゃん。


「ひあッ」


 うわぁーッ。


「さあ、ワタシも気持ちよくなりたいわ」


 上半身を、ベッドから起こすグミちゃん。


「んッ、なにを」


 次は、どうするの。


「プロデューサーさん、胸を舐めて」


「エッ、ウソでしょ!?」


 グミちゃんの、胸を舐める!


「は~い」


 服を脱いで、胸を近づけるグミちゃん。


「んんッ」


 少しヒンヤリとする双丘が、顔面を圧迫する。

 それを、舌を出して抵抗するよう舐める。


「ぁあっ」


 甘い吐息を出すグミちゃん。


「んぁっんぁっ」


 突起をさけるように、舐めまくる。


「ああっ」


 悶えるグミちゃん。


「どう? これでもう満足したでしょ」


 舐めるのを、止めると、


「プロデューサーさん。まだ、これからよ」


 今度は、お返しとばかりにわたしの胸を舐めるグミちゃん。


「ひーん」


 股間と、胸と両方を巧みに攻められる。


「プロデューサーさん、脱いで」


「う、うん………」


「あの~」


「まみな先輩、どうしたの?」


「これって、セックスしているんでしょうか」


「いえ、まだしてないわ。あなたも早く脱ぎなさい」


「はいっ」

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