第2話 秘密の話

「で、さあ~」


 眉間に、シワをよせるわたし。


「はい、プロデューサーさん」


 不思議そうな顔をするグミちゃん。


「なんで、わたしの横に座るの?」


 体が、ふれそうになるほど、近くに座るグミちゃん。


「だって、前のプロデューサーさんは横にくっついたら、うれしそうにしていたよッ」


 ほおに、人差し指をつけて上を見るグミちゃん。


「あー、そうなんだ~」


 おすしさん、手を出しているってウワサだったし、そうかもな~


「うれしいでしょ?」


「別に、うれしくなんてないんだからねッ」


 プニプニされて、大喜びするかよ。

 ちょっと、うれしいけど。


「またまた~ぁ」


 見透かしたように見るグミちゃん。


「近いから、少し離れようか?」


 会議室のイスを、少し横にずらした。

 こんなとこ、スタッフに見られたら恥ずかしい。


「えーッ、ワタシのことキライですか?」


 イスを、ずらしてくるグミちゃん。


「いゃ~、別にキライではないよ」


 また、イスをずらした。


「だったらイイでしょ?」


 また、イスをくっつけるグミちゃん。


「ちょっ、胸をくっつけるな」


 おっぱいを、腕に押し付けてくるグミちゃん。


「アハッ。それより、ネリモンズの番組に出れるようにしてよ~」


 ハシタカとノジの2人組みだ。


「えっ、夕方の出てたでしょ?」


 夕日ニャンニャーのメンバーとして、後ろの方に座っていた。


「そうそう、あれ面白かった~。パレットに茶色い物体が乗ってて指でこねる───」


「キャー、やめい気色悪いッ」


 思い出させるな、この野郎!


「それで、ワタシが出たいの9時からやってるじゃん」


「モジモジさん?」


 ネリモンズの冠番組に出たいと言うグミちゃん。


「そう、出たいの」


「あれってさぁ、ある程度人気のあるアイドルしか出れないよ?」


「そこを、なんとかプロデューサーさんのパワーで~」


 わー。息がかかるほど近づくなって!


「ないわよ、わたしにパワーなんて」


 プロデューサーのアシスタントをしていたら、やっとこさ回って来たくらい。


コンコン


 ふいに、ドアがノックされてドキッとするわたし。


「すいませーん」


 インカムをつけたスタッフが頭だけ会議室に入れる。


「ぁッハイッ」


 思わず、声が裏返るわたし。


「こちらにグミさん来て………あー、いたいた」


 手招きするスタッフ。


「はいっ」


 立ち上がるグミちゃん。


「もうそろそろ本番ですので!」


「は~い」


 アイドルスマイルを見せるグミちゃん。


「………妙なとこ見られたわね」


 あきらかに、スタッフの口角は上がっていたし、スーッとドアを閉めたわ。

 誤解してなきゃイイけどなぁ~。


「ここじゃなんだから、ザギンに寿司シースーでも食べに行って、続きを話しましょ?」


 グミちゃんが、ニヤニヤしながら言う。


「あんたねぇ………まぁ、局が落としてくれるから別にイイけど」


 タク代は、最近きびしくなってきたけど大丈夫しょ。


「やったぁ~」


「でも、今日は予定が詰まってるから明日ね」


 スケジュール帳をめくる。


「うん、わかった」

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